[1月21日22:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
凛:「明日早いので、そろそろ寝ます。おやすみなさい」
風呂から出た上野凛は、セーラー服からジャージに着替えていた。
しっとりと濡れた黒髪は、リサよりも短く、パールよりも長い。
中学校では女子陸上部だったというのも頷ける。
愛原:「ああ。その方がいいな。リサも寝ろ」
リサ:「BOWは夜の方が元気なんだよ」
愛原:「人間に戻りたくないのなら、このまま起きててもいいが?」
高橋:「人間に戻れなかったら、先生と結婚できねーぞ?」
リサ:「う……。そ、それはイヤだ」
愛原:「人間に戻る為には、より人間らしい生活規則が大切だ」
凛:「それは言えてると思います」
凛も愛原に同調した。
リサ:「しょうがない。寝ます」
愛原:「おっ、そうしろ。……っと、その前に……。凛さん、明日は7時50分に学校に着けばいいんだな?」
リサ:「はい。受付は7時50分から8時20分までですので」
高橋:「えっ?それなら、8時20分に着けばいいんじゃ?」
愛原:「アホだな。そんなギリギリの時間狙うから、何かあった時にすぐ遅刻確定になるんだ。その30分前に着こうとすれば、ちょっとくらいアクシデントがあっても、何とか立ち回れるし、気持ちに余裕が出る」
高橋:「それが一流の探偵の秘訣ですね!メモっておきます!」
高橋は急いで手帳を出して、ババッと書き込んだ。
高橋……手帳……。
手帳……高橋……いや、何でも無い。
愛原:「ここから車で行くから、7時半くらいに出ればいいかな。幸い土曜日だから、平日みたいな朝ラッシュの混雑は無いはずだ。6時半に起きて、朝食を食べ、それから学校へ向かう。これでいいかな?」
凛:「はい。よろしくお願いします」
愛原:「高橋も、それで頼む」
高橋:「分かりました!」
リサの部屋に入る凛。
夏はTシャツと短パンのリサも、冬はパジャマを着ている。
リサ:「先生の言う事は絶対だから、さっさと寝るよ」
リサは自分のベッドに潜り込みながら言った。
凛:「先輩ほどの方が素直に命令を聞くなんて、愛原先生、かなり凄い方なんですか?」
リサ:「凄いよ。そもそも、あの霧生市のバイオハザードを生き延びただけでも凄いのに、ハンターやらリッカーやら蠢くお寺でも生き延びて、しかも自爆装置で爆発する直前の研究所から、私を救い出してくれたんだから」
凛:「え?でも、愛原先生って、元自衛隊や警察の人とかじゃないんですよね?」
リサ:「違うよ。だから、凄いって言ってるんだよ。リンも死にたくなかったら、あの先生の命令は素直に聞くことだよ」
凛:「そんなに……?分かりました」
リサ:「パンツ見せろって言われたら素直に見せて、ヤらせろって言われたら、ヤらせてあげること。分かった?」
凛:「え?え?え?どういうことですか!?」
リサ:「なんてなw」
凛:「じょ、冗談ですか……」
リサ:「先生とヤるのはこの私。オマエにはヤらせない」
凛:「え?え?え?」
リサ:「じゃ、電気消すよ。私の姿を見て、ビビるなよ」
リサはリモコンで室内の照明を消した。
ボウッと闇夜に浮かび上がる赤色の目。
消灯と同時に第一形態に戻ったのだ。
もっとも、凛の瞳も金色にボウッと浮かび上がっていた。
但し、どちらかというと片目だけが鈍く光っている感じ。
明るい所では、どちらも黒い瞳なのだが……。
リサ:「片目だけ?」
凛:「私は、鬼と人間のハーフなので……」
リサ:「ふーん……。きれいに半分なんだ……。そうか……」
凛:「完全に人間に戻れる見込みのある先輩が羨ましいです。私は、遺伝子レベルで鬼の血が入っているので、先輩とは違って、完全な人間にはなれないらしいです」
リサ:「そうなの!?……あー、確かに違うかも……」
リサは元々人間だったものを、人体改造で鬼になったようなもの。
しかし、凛は違う。
リサ:「なるほどねぇ……」
他にも満月を見ると食人衝動に駆られる、あるいは見ていなくても、そういった衝動で体がムズムズする。
新月の時でも、似たような現象に見舞われるなどの弊害があるという。
きっかけが予め分かっているものの、避けようが無い弊害。
リサの場合は決まったタイミングがあるわけではないが、ふとしたきっかけで食人衝動に見舞われる弊害。
果たして、どちらが良いのだろうか。
リサ:「ま、人を食ったりはしない方がいい。食ったりしたら、もうあの世行きだ」
凛:「はい……」
[1月22日01:10.天候:晴 愛原のマンション・リサの部屋]
リサ:「うーん……」
リサは夜中にふと目が覚めた。
どうも、同室内に他人が寝ているということで、落ち着かない所がある。
日本アンブレラに捕らわれていた時も、個室に監禁されていたからだ。
これは研究所側が1人1人監視する為と、リサ・トレヴァー同士でトラブルが起きたり、逆に協力して造反するのを防ぐ為である。
その為、部屋には1人というのが当たり前の生活が長かった為、同室者がいるというのに不慣れであり、自分の眠りが浅くなっているようだ。
隣のエアーベッドでは、凛が寝ている。
こちらは、特にリサが隣にいても気にならないようだ。
聞けば学校では部活の合宿で、大部屋で寝ることが多かったり、或いは天長会の合宿でも似たような生活をしていたことがあったりで、他人と同室で寝ることに、そんなに抵抗感は無いらしい。
リサ:(ちょっとトイレ……)
リサは凛を起こさないよう、そっとベッドから出てトイレに向かった。
闇夜でも目が利くリサは、照明など点けなくても、暗視カメラで見ているかのように、はっきりとよく見える。
そして、また部屋に戻って来ると……。
リサ:「ん?」
凛が、何か呻き声を上げるのが聞こえた。
よもや、今さらゾンビ化するというわけでもあるまい。
それにしては、前兆が無さ過ぎる。
よくよく耳を傾けてみると、どうやら寝言を言っているように聞こえた。
凛:「お母さん……どうして……お父さん……食べちゃったの……」
リサ:「! (そうか。こいつの母親は……やっぱり人食い鬼だったんだ……。まあ、分かってたけど。愛原先生への、あの襲いっぷりといい……)」
やはり、凛は親元を離れ、独立した方が良いのだろうとリサは思った。
凛:「明日早いので、そろそろ寝ます。おやすみなさい」
風呂から出た上野凛は、セーラー服からジャージに着替えていた。
しっとりと濡れた黒髪は、リサよりも短く、パールよりも長い。
中学校では女子陸上部だったというのも頷ける。
愛原:「ああ。その方がいいな。リサも寝ろ」
リサ:「BOWは夜の方が元気なんだよ」
愛原:「人間に戻りたくないのなら、このまま起きててもいいが?」
高橋:「人間に戻れなかったら、先生と結婚できねーぞ?」
リサ:「う……。そ、それはイヤだ」
愛原:「人間に戻る為には、より人間らしい生活規則が大切だ」
凛:「それは言えてると思います」
凛も愛原に同調した。
リサ:「しょうがない。寝ます」
愛原:「おっ、そうしろ。……っと、その前に……。凛さん、明日は7時50分に学校に着けばいいんだな?」
リサ:「はい。受付は7時50分から8時20分までですので」
高橋:「えっ?それなら、8時20分に着けばいいんじゃ?」
愛原:「アホだな。そんなギリギリの時間狙うから、何かあった時にすぐ遅刻確定になるんだ。その30分前に着こうとすれば、ちょっとくらいアクシデントがあっても、何とか立ち回れるし、気持ちに余裕が出る」
高橋:「それが一流の探偵の秘訣ですね!メモっておきます!」
高橋は急いで手帳を出して、ババッと書き込んだ。
高橋……手帳……。
手帳……高橋……いや、何でも無い。
愛原:「ここから車で行くから、7時半くらいに出ればいいかな。幸い土曜日だから、平日みたいな朝ラッシュの混雑は無いはずだ。6時半に起きて、朝食を食べ、それから学校へ向かう。これでいいかな?」
凛:「はい。よろしくお願いします」
愛原:「高橋も、それで頼む」
高橋:「分かりました!」
リサの部屋に入る凛。
夏はTシャツと短パンのリサも、冬はパジャマを着ている。
リサ:「先生の言う事は絶対だから、さっさと寝るよ」
リサは自分のベッドに潜り込みながら言った。
凛:「先輩ほどの方が素直に命令を聞くなんて、愛原先生、かなり凄い方なんですか?」
リサ:「凄いよ。そもそも、あの霧生市のバイオハザードを生き延びただけでも凄いのに、ハンターやらリッカーやら蠢くお寺でも生き延びて、しかも自爆装置で爆発する直前の研究所から、私を救い出してくれたんだから」
凛:「え?でも、愛原先生って、元自衛隊や警察の人とかじゃないんですよね?」
リサ:「違うよ。だから、凄いって言ってるんだよ。リンも死にたくなかったら、あの先生の命令は素直に聞くことだよ」
凛:「そんなに……?分かりました」
リサ:「パンツ見せろって言われたら素直に見せて、ヤらせろって言われたら、ヤらせてあげること。分かった?」
凛:「え?え?え?どういうことですか!?」
リサ:「なんてなw」
凛:「じょ、冗談ですか……」
リサ:「先生とヤるのはこの私。オマエにはヤらせない」
凛:「え?え?え?」
リサ:「じゃ、電気消すよ。私の姿を見て、ビビるなよ」
リサはリモコンで室内の照明を消した。
ボウッと闇夜に浮かび上がる赤色の目。
消灯と同時に第一形態に戻ったのだ。
もっとも、凛の瞳も金色にボウッと浮かび上がっていた。
但し、どちらかというと片目だけが鈍く光っている感じ。
明るい所では、どちらも黒い瞳なのだが……。
リサ:「片目だけ?」
凛:「私は、鬼と人間のハーフなので……」
リサ:「ふーん……。きれいに半分なんだ……。そうか……」
凛:「完全に人間に戻れる見込みのある先輩が羨ましいです。私は、遺伝子レベルで鬼の血が入っているので、先輩とは違って、完全な人間にはなれないらしいです」
リサ:「そうなの!?……あー、確かに違うかも……」
リサは元々人間だったものを、人体改造で鬼になったようなもの。
しかし、凛は違う。
リサ:「なるほどねぇ……」
他にも満月を見ると食人衝動に駆られる、あるいは見ていなくても、そういった衝動で体がムズムズする。
新月の時でも、似たような現象に見舞われるなどの弊害があるという。
きっかけが予め分かっているものの、避けようが無い弊害。
リサの場合は決まったタイミングがあるわけではないが、ふとしたきっかけで食人衝動に見舞われる弊害。
果たして、どちらが良いのだろうか。
リサ:「ま、人を食ったりはしない方がいい。食ったりしたら、もうあの世行きだ」
凛:「はい……」
[1月22日01:10.天候:晴 愛原のマンション・リサの部屋]
リサ:「うーん……」
リサは夜中にふと目が覚めた。
どうも、同室内に他人が寝ているということで、落ち着かない所がある。
日本アンブレラに捕らわれていた時も、個室に監禁されていたからだ。
これは研究所側が1人1人監視する為と、リサ・トレヴァー同士でトラブルが起きたり、逆に協力して造反するのを防ぐ為である。
その為、部屋には1人というのが当たり前の生活が長かった為、同室者がいるというのに不慣れであり、自分の眠りが浅くなっているようだ。
隣のエアーベッドでは、凛が寝ている。
こちらは、特にリサが隣にいても気にならないようだ。
聞けば学校では部活の合宿で、大部屋で寝ることが多かったり、或いは天長会の合宿でも似たような生活をしていたことがあったりで、他人と同室で寝ることに、そんなに抵抗感は無いらしい。
リサ:(ちょっとトイレ……)
リサは凛を起こさないよう、そっとベッドから出てトイレに向かった。
闇夜でも目が利くリサは、照明など点けなくても、暗視カメラで見ているかのように、はっきりとよく見える。
そして、また部屋に戻って来ると……。
リサ:「ん?」
凛が、何か呻き声を上げるのが聞こえた。
よもや、今さらゾンビ化するというわけでもあるまい。
それにしては、前兆が無さ過ぎる。
よくよく耳を傾けてみると、どうやら寝言を言っているように聞こえた。
凛:「お母さん……どうして……お父さん……食べちゃったの……」
リサ:「! (そうか。こいつの母親は……やっぱり人食い鬼だったんだ……。まあ、分かってたけど。愛原先生への、あの襲いっぷりといい……)」
やはり、凛は親元を離れ、独立した方が良いのだろうとリサは思った。