[3月19日21:00.天候:曇 場所不明(とある会場) とある船舶(医療船?)]
(ここの項目は三人称です)
高野:「斉藤さん、消灯の時間ですよ」
まるで病院の処置室のような場所に斉藤秀樹はいた。
秀樹:「まるで入院患者だな」
高野:「そうですよ。斉藤さんは、御自分で『全治1ヶ月だ』と仰ったではありませんか。“青いアンブレラ”も鬼ではありませんから、病院から連れ出して『ハイ、さようなら』なんてマネはしませんよ」
秀樹:「救急車のような物に乗せられて、また別の病院に行くかと思ったら、まさか船とはな。これは病院船かね?」
高野:「そうですね。似たようなものです」
秀樹:「私はケガが治るまで、ここにいなくてはならないのだね?」
高野:「はい、そうしてください。ここにいる限り、斉藤さんの安全は保障します。ですが、私達の指示に従えない場合は【お察しください】」
秀樹:「分かった。これから消灯時刻のようだが、明日の起床時刻は?」
高野:「6時半となっております」
秀樹:「6時半か。……壁に時計はあるな」
高野:「はい」
秀樹:「トイレは自由に行っていいんだろ?」
高野:「そうですね。廊下を出てすぐの所にありますから。ただ、みだりに船内を歩かないでください。警備兵も乗船してますので……」
秀樹:「分かった。気を付けよう」
秀樹は先にトイレに行くことにした。
まるで、船内は海に浮かぶ診療所といった感じだった。
そりゃ病院船なんだから、当たり前と思うだろう。
しかし、傷病兵を輸送する為の軍艦としての病院船とは違うような気がした。
受付や待合室ロビーの造りを見ると、離島を回る巡回診療船のような気がした。
これが日本の船なのか、或いはロシアの船なのかは分からない。
船内にあるはずの案内板は全て取り外され、非常口や身障者マークのピクトグラムしか無かったからだ。
トイレの丸窓から外を見ると、真っ暗であったが、少なくとも海の上であることは分かった。
秀樹:「これからどうなるのやら……」
トイレから出て廊下を歩くと、高野の言う通り、武装した警備兵と出くわした。
警備兵:「!」
警備兵は持っていたショットガンを秀樹に向ける。
秀樹は両手を挙げた。
秀樹:「トイレに行ってただけだ。すぐに戻るよ」
どうやら日本語が通じるのか、或いは両手を挙げたのが功を奏したのか、警備兵は銃を下ろした。
そして、松葉杖で歩きながらも処置室に戻った。
秀樹:「なるほど。警戒は厳重のようだ」
室内の洗面所で水を飲む。
コップもあったから、飲用可能だろう。
実際飲んでみたが、変な味はしなかった。
秀樹:「まあいい」
秀樹はベッドに横になると、布団に潜り込んだ。
少なくとも、ケガが治るまでは、すぐに殺すわけではないらしい。
[3月20日07:00.天候:晴 静岡県熱海市 KKRホテル熱海・客室フロア→レストラン]
(ここから愛原視点の一人称です)
枕元のスマホがアラームを鳴らす。
愛原:「もう朝か……。高橋、起きろ」
高橋:「うっス……」
私はアラームを止めて起き上がった。
高橋:「朝風呂行くんスか?」
愛原:「今日は昼風呂に入るんだから、朝はいいだろう。それより顔を洗って、朝飯食いに行くぞ」
高橋:「うス」
私はテレビを点けた。
朝の情報番組では、相変わらずロシアのウクライナ侵攻について報道していた。
たまに全国のニュースが流れるが、どうもウラジオストクに連れて行かれた日本人達の今後の雲行きが怪しいらしい。
ロシア政府が非友好国に指定した日本にそっぽを向いているせいで、日本人乗客達のケガが治っても、本当に帰国できるかどうか不明とのことだ。
このまま日本人達が人質に取られる恐れがあると、評論家が言っている。
で、斉藤元社長の行方については、未だに不明のままだ。
“青いアンブレラ”も、知らぬ存ぜぬを繰り返しているらしい。
どうやらBSAAもそうだが、“青いアンブレラ”も一枚岩ではないようだ。
高橋:「先生、浴衣のままでいいんでしたっけ?」
愛原:「どっちでもいいと思うよ。まあ、どうせここではもう風呂には入らないから、俺は私服に着替えるけど」
高橋:「じゃあ、俺もそうします」
朝の支度が変わる頃、7時半くらいになる。
私は隣の部屋に内線電話を掛けてみた。
リサ:「もしもし?」
愛原:「おはよう、リサ。どうだ?もう準備はできたか?」
リサ:「今、準備してるとこ」
愛原:「絵恋さんの具合、どうだ?もう落ち着いたか?」
リサ:「うん。昨夜思いっ切り泣いたら、少しスッキリしたみたい」
愛原:「そうか。それじゃ、朝食、一緒に行くか?」
リサ:「うん、もうすぐ終わるから待ってて」
電話の後でリサ達の方から部屋にやってきた。
愛原:「おはよう。絵恋さん、昨日は悪かったな?」
絵恋:「いえ、何も無かったですから」
愛原:「そうか」
リサ:(『それなら今日は、お詫びに先生が……オマエに浣腸してやろう!』『きゃあーっ!』『いいじゃないかいいじゃないかいいじゃないか』)( ̄m ̄〃)
高橋:「リサ、オマエなにニヤニヤしてんだ?」
リサ:「何でもなーい!」
エレベーターに乗り込み、1階のレストランに向かう。
スタッフ:「いらっしゃいませ。おはようございます」
愛原:「4名です」
スタッフ:「4名様ですね。こちらへどうぞ」
席に案内された後、朝食券をスタッフに渡した。
リサ:「食べ放題じゃないの?」
愛原:「コロナ対策で、バイキング形式じゃなく、定食形式らしいな」
リサ:「うう……マジか」
愛原:「これから行くスパは、10時にオープンだから、それに合わせて着くように行こう。最寄りのバス停からバスに乗れば、そこに行けるから」
リサ:「分かった」
愛原:「土産は……駅前とかで見繕えるだろう」
高橋:「誰に買って行くんスか?」
愛原:「善場主任に決まってるだろ!誰のおかげで、こんなリゾートホテルに泊まれたと思ってんだ!」
高橋:「さ、サーセン」
高橋もたまに間の抜けることがあるな……と、私もかw
(ここの項目は三人称です)
高野:「斉藤さん、消灯の時間ですよ」
まるで病院の処置室のような場所に斉藤秀樹はいた。
秀樹:「まるで入院患者だな」
高野:「そうですよ。斉藤さんは、御自分で『全治1ヶ月だ』と仰ったではありませんか。“青いアンブレラ”も鬼ではありませんから、病院から連れ出して『ハイ、さようなら』なんてマネはしませんよ」
秀樹:「救急車のような物に乗せられて、また別の病院に行くかと思ったら、まさか船とはな。これは病院船かね?」
高野:「そうですね。似たようなものです」
秀樹:「私はケガが治るまで、ここにいなくてはならないのだね?」
高野:「はい、そうしてください。ここにいる限り、斉藤さんの安全は保障します。ですが、私達の指示に従えない場合は【お察しください】」
秀樹:「分かった。これから消灯時刻のようだが、明日の起床時刻は?」
高野:「6時半となっております」
秀樹:「6時半か。……壁に時計はあるな」
高野:「はい」
秀樹:「トイレは自由に行っていいんだろ?」
高野:「そうですね。廊下を出てすぐの所にありますから。ただ、みだりに船内を歩かないでください。警備兵も乗船してますので……」
秀樹:「分かった。気を付けよう」
秀樹は先にトイレに行くことにした。
まるで、船内は海に浮かぶ診療所といった感じだった。
そりゃ病院船なんだから、当たり前と思うだろう。
しかし、傷病兵を輸送する為の軍艦としての病院船とは違うような気がした。
受付や待合室ロビーの造りを見ると、離島を回る巡回診療船のような気がした。
これが日本の船なのか、或いはロシアの船なのかは分からない。
船内にあるはずの案内板は全て取り外され、非常口や身障者マークのピクトグラムしか無かったからだ。
トイレの丸窓から外を見ると、真っ暗であったが、少なくとも海の上であることは分かった。
秀樹:「これからどうなるのやら……」
トイレから出て廊下を歩くと、高野の言う通り、武装した警備兵と出くわした。
警備兵:「!」
警備兵は持っていたショットガンを秀樹に向ける。
秀樹は両手を挙げた。
秀樹:「トイレに行ってただけだ。すぐに戻るよ」
どうやら日本語が通じるのか、或いは両手を挙げたのが功を奏したのか、警備兵は銃を下ろした。
そして、松葉杖で歩きながらも処置室に戻った。
秀樹:「なるほど。警戒は厳重のようだ」
室内の洗面所で水を飲む。
コップもあったから、飲用可能だろう。
実際飲んでみたが、変な味はしなかった。
秀樹:「まあいい」
秀樹はベッドに横になると、布団に潜り込んだ。
少なくとも、ケガが治るまでは、すぐに殺すわけではないらしい。
[3月20日07:00.天候:晴 静岡県熱海市 KKRホテル熱海・客室フロア→レストラン]
(ここから愛原視点の一人称です)
枕元のスマホがアラームを鳴らす。
愛原:「もう朝か……。高橋、起きろ」
高橋:「うっス……」
私はアラームを止めて起き上がった。
高橋:「朝風呂行くんスか?」
愛原:「今日は昼風呂に入るんだから、朝はいいだろう。それより顔を洗って、朝飯食いに行くぞ」
高橋:「うス」
私はテレビを点けた。
朝の情報番組では、相変わらずロシアのウクライナ侵攻について報道していた。
たまに全国のニュースが流れるが、どうもウラジオストクに連れて行かれた日本人達の今後の雲行きが怪しいらしい。
ロシア政府が非友好国に指定した日本にそっぽを向いているせいで、日本人乗客達のケガが治っても、本当に帰国できるかどうか不明とのことだ。
このまま日本人達が人質に取られる恐れがあると、評論家が言っている。
で、斉藤元社長の行方については、未だに不明のままだ。
“青いアンブレラ”も、知らぬ存ぜぬを繰り返しているらしい。
どうやらBSAAもそうだが、“青いアンブレラ”も一枚岩ではないようだ。
高橋:「先生、浴衣のままでいいんでしたっけ?」
愛原:「どっちでもいいと思うよ。まあ、どうせここではもう風呂には入らないから、俺は私服に着替えるけど」
高橋:「じゃあ、俺もそうします」
朝の支度が変わる頃、7時半くらいになる。
私は隣の部屋に内線電話を掛けてみた。
リサ:「もしもし?」
愛原:「おはよう、リサ。どうだ?もう準備はできたか?」
リサ:「今、準備してるとこ」
愛原:「絵恋さんの具合、どうだ?もう落ち着いたか?」
リサ:「うん。昨夜思いっ切り泣いたら、少しスッキリしたみたい」
愛原:「そうか。それじゃ、朝食、一緒に行くか?」
リサ:「うん、もうすぐ終わるから待ってて」
電話の後でリサ達の方から部屋にやってきた。
愛原:「おはよう。絵恋さん、昨日は悪かったな?」
絵恋:「いえ、何も無かったですから」
愛原:「そうか」
リサ:(『それなら今日は、お詫びに先生が……オマエに浣腸してやろう!』『きゃあーっ!』『いいじゃないかいいじゃないかいいじゃないか』)( ̄m ̄〃)
高橋:「リサ、オマエなにニヤニヤしてんだ?」
リサ:「何でもなーい!」
エレベーターに乗り込み、1階のレストランに向かう。
スタッフ:「いらっしゃいませ。おはようございます」
愛原:「4名です」
スタッフ:「4名様ですね。こちらへどうぞ」
席に案内された後、朝食券をスタッフに渡した。
リサ:「食べ放題じゃないの?」
愛原:「コロナ対策で、バイキング形式じゃなく、定食形式らしいな」
リサ:「うう……マジか」
愛原:「これから行くスパは、10時にオープンだから、それに合わせて着くように行こう。最寄りのバス停からバスに乗れば、そこに行けるから」
リサ:「分かった」
愛原:「土産は……駅前とかで見繕えるだろう」
高橋:「誰に買って行くんスか?」
愛原:「善場主任に決まってるだろ!誰のおかげで、こんなリゾートホテルに泊まれたと思ってんだ!」
高橋:「さ、サーセン」
高橋もたまに間の抜けることがあるな……と、私もかw