[3月18日20:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原:「明日は晴れるみたいだから、天気は明日に期待だな」
リサ:「確かに。わたしは雨でもいいけど、先生達が大変だもんね」
愛原:「最強のリサ・トレヴァーは雨でも平気ってか」
リサ:「うん」
愛原:「明日は思いっ切り楽しんでくれな?特に、絵恋さんとの思い出作りは大切だから」
リサ:「サイトー、やっぱり転校しちゃうの?」
愛原:「少しは気づいてたか?」
リサ:「学校ではそういう噂だから。サイトーはそんなこと言ってないけど……」
愛原:「まあ、言い難いさ。自分の責任で転校せざるを得ないのなら自業自得だが、父親の不祥事で地域や学校に居られなくなり、転出しなくてはならないんだから」
リサ:「サイトーはどこに転校するの?」
愛原:「まだ言えない。ただ、外国ではないが、どこか遠い地方ということにはなりそうだ。絵恋さんのお母さんのツテを使うんじゃないかな?」
リサ:「そう、なんだ」
愛原:「宿泊先のホテルは絵恋さんと2人一緒の部屋にしたから、存分ガールズトークを楽しんで」
リサ:「分かった」
[現地時間3月19日02:00.天候:雨 ロシア連邦ウラジオストク市 某総合病院]
(ここは三人称です)
雨の中、病院の建物の外側敷地内を巡回するのは……ただの警備員ではないようだ。
警察官?あるいは軍人?のような者達が巡回している。
警備隊員A:「そっちはどうだった?」
警備隊員B:「ああ、異常無しだ」
警備隊員A:「日本人達が収容されてから、こちとら残業続きだぜ。カンベンしてほしいよな?」
警備隊員B:「それじゃ、代わりにウクライナに行くか?」
警備隊員A:「カンベンしてくれよ」
警備隊員B:「日本人は1人も脱走させるなって命令だけど、まさか上は日本人達のケガが治っても、この国から出さない気か?」
警備隊員A:「さぁなァ……。上の考えてることなんか……」
と、そこへ無線連絡が入る。
警備隊長:「こら!何をサボッてるんだ!日本人を脱走させたら、ウクライナ行きだぞ!」
警備隊員A:「さ、サーセン!」
警備隊員B:「じゅ、巡回を再開するであります!」
警備隊員A:「オマエ、向こうを見てきてくれ。俺はそっちを見て来る」
警備隊員B:「ああ、分かった」
警備隊員Aは警備隊員Bとは反対方向に歩いた。
すると、背後から何かが倒れる音がした。
それが人だというのは、それまでの勤務経験からしてすぐに分かった。
警備隊員A:「どうした?」
警備隊員Aが駆け寄ると、警備隊員Bは倒れた音がしたはずの場所にいなかった。
警備隊員A:「B、どうした!?どこに行った!?」
すると警備隊員Aの背中に、何かが刺さった。
それは麻酔針であった。
警備隊員A:「うっ……!」
警備隊員達が倒れた後、飛び交う無線。
特殊部隊員A:「館外の巡回員を始末した。これで館内に突入できる」
特殊部隊員B:「こちらも守衛所を制圧した」
HQ:「了解。館内への突入を許可する!」
特殊部隊員達は複数個所から院内に突入した。
HQ:「狙うは大日本製薬社長の斉藤秀樹だ!敵戦闘員以外の殺傷は固く禁ずる!」
特殊部隊員達はヘルメットの下にガスマスクを着けていた。
各病室には催眠ガスのボンベを投げ込んで行く。
これで患者や職員達は眠らされ、余計なパニックを起こさずに済む。
ただ尤も、皆が寝ている間に重篤患者の容体が急変したり、妊婦が産気づいた場合は【お察しください】。
まあ、前者はそもそも意識不明の重体者なわけだから、院内で特殊部隊員が騒いでも気づくことはないだろうが。
特殊部隊員C:「この病室だ!」
特殊部隊員達が個室に突入する。
そこには包帯でグルグル巻きにされた男性患者が横たわっていた。
特殊部隊員D:「重傷患者を装っているとの情報だ。実際はほぼ軽傷だ!」
特殊部隊員E:「確認させてもらう!」
特殊部隊員達は、患者の包帯を引き剥がした。
その下の皮膚は、全く傷が無い物だった。
顔も隠すように包帯が全体に巻かれていたが、その下の顔も包帯など要らない程度の軽傷であった。
特殊部隊員D:「斉藤秀樹だな!?」
特殊部隊員E:「我々と同行してもらおう!」
斉藤秀樹:「お、オマエ達、何者だ?」
高野芽衣子:「斉藤社長、いえ、元社長、お久しぶりですねぇ……」
本来なら『特殊部隊員F』とクレジットされる者が、ヘルメットとマスクを外した。
その下には、斉藤秀樹も見覚えのある顔があった。
秀樹:「た、高野芽衣子……いや、『エイダ・ウォン』か?」
高野:「私は高野芽衣子ですよ。エイダ・ウォン氏みたいな、有名人ではありません」
高野は再びマスクとヘルメットを着用した。
秀樹:「まさかBSAAではなく、“青いアンブレラ”の御出座しとは……」
[日本時間08:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原:「おはよう」
私はいつもより、少しゆっくりめに起きた。
高橋:「おはようございます。先生、大変なことが起きましたよ」
愛原:「何が?」
高橋:「テレビを観てください」
愛原:「んん?」
テレビを観ると、朝の情報バラエティをやっていた。
しかし、速報が流れていた。
またロシアとあったから、ウクライナとの戦闘で何か進展でもあったのかと思ったが違った。
〔「何度もお伝えしておりますように、今日現地時間の午前2時頃、ロシア極東部に位置するウラジオストク市内の病院に、謎の戦闘部隊が侵入する事件がありました。この病院には、日本でハイジャック事件に巻き込まれ、その後、ウラジオストク郊外に墜落した飛行機の日本人乗客達が収容されており、そこに入院していた斉藤秀樹容疑者が連れ去られました」〕
愛原:「ええっ!?」
因みに斉藤社長に対する逮捕状は昨日出た。
昨日の夕方のニュースで報道されていた。
なので、肩書も『元社長』から『容疑者』となった。
〔「戦闘部隊はロシア軍でもなければ、ウクライナ軍でもなく、所属は不明です。ただ、目撃者によりますと、隊員達は英語を話していたことから、西側諸国のどこかの部隊ではないかとみて、現地当局では確認を急いでいます」〕
愛原:「斉藤社長、連れ去られたの!?」
高橋:「すると……どこだ?ヴェルトロ?」
愛原:「マジか!ヴェルトロが斉藤社長を助けに来たのか!?」
高橋:「白井と斉藤社長は繋がっていたわけですよね?で、白井はヴェルトロと繋がってました。白井を通して、斉藤社長もヴェルトロと繋がっていて、『救助』されたのかもしれません」
愛原:「マジかよ!」
日本で逮捕状が出たことで、ヴェルトロが動いたというわけか……。
と、私はこの時そう思っていた。
愛原:「明日は晴れるみたいだから、天気は明日に期待だな」
リサ:「確かに。わたしは雨でもいいけど、先生達が大変だもんね」
愛原:「最強のリサ・トレヴァーは雨でも平気ってか」
リサ:「うん」
愛原:「明日は思いっ切り楽しんでくれな?特に、絵恋さんとの思い出作りは大切だから」
リサ:「サイトー、やっぱり転校しちゃうの?」
愛原:「少しは気づいてたか?」
リサ:「学校ではそういう噂だから。サイトーはそんなこと言ってないけど……」
愛原:「まあ、言い難いさ。自分の責任で転校せざるを得ないのなら自業自得だが、父親の不祥事で地域や学校に居られなくなり、転出しなくてはならないんだから」
リサ:「サイトーはどこに転校するの?」
愛原:「まだ言えない。ただ、外国ではないが、どこか遠い地方ということにはなりそうだ。絵恋さんのお母さんのツテを使うんじゃないかな?」
リサ:「そう、なんだ」
愛原:「宿泊先のホテルは絵恋さんと2人一緒の部屋にしたから、存分ガールズトークを楽しんで」
リサ:「分かった」
[現地時間3月19日02:00.天候:雨 ロシア連邦ウラジオストク市 某総合病院]
(ここは三人称です)
雨の中、病院の建物の外側敷地内を巡回するのは……ただの警備員ではないようだ。
警察官?あるいは軍人?のような者達が巡回している。
警備隊員A:「そっちはどうだった?」
警備隊員B:「ああ、異常無しだ」
警備隊員A:「日本人達が収容されてから、こちとら残業続きだぜ。カンベンしてほしいよな?」
警備隊員B:「それじゃ、代わりにウクライナに行くか?」
警備隊員A:「カンベンしてくれよ」
警備隊員B:「日本人は1人も脱走させるなって命令だけど、まさか上は日本人達のケガが治っても、この国から出さない気か?」
警備隊員A:「さぁなァ……。上の考えてることなんか……」
と、そこへ無線連絡が入る。
警備隊長:「こら!何をサボッてるんだ!日本人を脱走させたら、ウクライナ行きだぞ!」
警備隊員A:「さ、サーセン!」
警備隊員B:「じゅ、巡回を再開するであります!」
警備隊員A:「オマエ、向こうを見てきてくれ。俺はそっちを見て来る」
警備隊員B:「ああ、分かった」
警備隊員Aは警備隊員Bとは反対方向に歩いた。
すると、背後から何かが倒れる音がした。
それが人だというのは、それまでの勤務経験からしてすぐに分かった。
警備隊員A:「どうした?」
警備隊員Aが駆け寄ると、警備隊員Bは倒れた音がしたはずの場所にいなかった。
警備隊員A:「B、どうした!?どこに行った!?」
すると警備隊員Aの背中に、何かが刺さった。
それは麻酔針であった。
警備隊員A:「うっ……!」
警備隊員達が倒れた後、飛び交う無線。
特殊部隊員A:「館外の巡回員を始末した。これで館内に突入できる」
特殊部隊員B:「こちらも守衛所を制圧した」
HQ:「了解。館内への突入を許可する!」
特殊部隊員達は複数個所から院内に突入した。
HQ:「狙うは大日本製薬社長の斉藤秀樹だ!敵戦闘員以外の殺傷は固く禁ずる!」
特殊部隊員達はヘルメットの下にガスマスクを着けていた。
各病室には催眠ガスのボンベを投げ込んで行く。
これで患者や職員達は眠らされ、余計なパニックを起こさずに済む。
ただ尤も、皆が寝ている間に重篤患者の容体が急変したり、妊婦が産気づいた場合は【お察しください】。
まあ、前者はそもそも意識不明の重体者なわけだから、院内で特殊部隊員が騒いでも気づくことはないだろうが。
特殊部隊員C:「この病室だ!」
特殊部隊員達が個室に突入する。
そこには包帯でグルグル巻きにされた男性患者が横たわっていた。
特殊部隊員D:「重傷患者を装っているとの情報だ。実際はほぼ軽傷だ!」
特殊部隊員E:「確認させてもらう!」
特殊部隊員達は、患者の包帯を引き剥がした。
その下の皮膚は、全く傷が無い物だった。
顔も隠すように包帯が全体に巻かれていたが、その下の顔も包帯など要らない程度の軽傷であった。
特殊部隊員D:「斉藤秀樹だな!?」
特殊部隊員E:「我々と同行してもらおう!」
斉藤秀樹:「お、オマエ達、何者だ?」
高野芽衣子:「斉藤社長、いえ、元社長、お久しぶりですねぇ……」
本来なら『特殊部隊員F』とクレジットされる者が、ヘルメットとマスクを外した。
その下には、斉藤秀樹も見覚えのある顔があった。
秀樹:「た、高野芽衣子……いや、『エイダ・ウォン』か?」
高野:「私は高野芽衣子ですよ。エイダ・ウォン氏みたいな、有名人ではありません」
高野は再びマスクとヘルメットを着用した。
秀樹:「まさかBSAAではなく、“青いアンブレラ”の御出座しとは……」
[日本時間08:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原:「おはよう」
私はいつもより、少しゆっくりめに起きた。
高橋:「おはようございます。先生、大変なことが起きましたよ」
愛原:「何が?」
高橋:「テレビを観てください」
愛原:「んん?」
テレビを観ると、朝の情報バラエティをやっていた。
しかし、速報が流れていた。
またロシアとあったから、ウクライナとの戦闘で何か進展でもあったのかと思ったが違った。
〔「何度もお伝えしておりますように、今日現地時間の午前2時頃、ロシア極東部に位置するウラジオストク市内の病院に、謎の戦闘部隊が侵入する事件がありました。この病院には、日本でハイジャック事件に巻き込まれ、その後、ウラジオストク郊外に墜落した飛行機の日本人乗客達が収容されており、そこに入院していた斉藤秀樹容疑者が連れ去られました」〕
愛原:「ええっ!?」
因みに斉藤社長に対する逮捕状は昨日出た。
昨日の夕方のニュースで報道されていた。
なので、肩書も『元社長』から『容疑者』となった。
〔「戦闘部隊はロシア軍でもなければ、ウクライナ軍でもなく、所属は不明です。ただ、目撃者によりますと、隊員達は英語を話していたことから、西側諸国のどこかの部隊ではないかとみて、現地当局では確認を急いでいます」〕
愛原:「斉藤社長、連れ去られたの!?」
高橋:「すると……どこだ?ヴェルトロ?」
愛原:「マジか!ヴェルトロが斉藤社長を助けに来たのか!?」
高橋:「白井と斉藤社長は繋がっていたわけですよね?で、白井はヴェルトロと繋がってました。白井を通して、斉藤社長もヴェルトロと繋がっていて、『救助』されたのかもしれません」
愛原:「マジかよ!」
日本で逮捕状が出たことで、ヴェルトロが動いたというわけか……。
と、私はこの時そう思っていた。