[3月27日10:37.天候:晴 日本国内上空 ピーチ航空MM503便機内]
(ここでは三人称です)
斉藤絵恋とその母親を乗せたLCCは、順調に沖縄に向かって飛行を続けていた。
使用機種はエアバスA320で、1つの通路を挟んで両側に3人席が並んでいる感じである。
さながら、やや幅の広いフル規格の新幹線普通車といった感じだろうか。
シートピッチはそれより明らかに狭いが。
進行方向左側の窓側に絵恋、真ん中席に母親が座っていた。
通路側には、絵恋と似た年恰好の少女が座っている。
リサと同じショートボブだが、リサと違ってウェーブは掛かっておらず、直毛である。
赤い縁の眼鏡と、白いマスクを着けて本を読んでいた。
絵恋:「ちょっと、お手洗い行ってくる」
母親:「行ってらっしゃい」
A320機は前方と後方にトイレがある。
比較的前の方に座っていた絵恋は、前方のトイレを目指した。
少女:「……順調に脱出できたようだな?」
ふいに少女が母親が声を掛ける。
母親:「……おかげさまで」
少女:「あんたのダンナは失敗したようだが、どうやら“青いアンブレラ”が保護しているようだぞ?」
母親:「分かっています」
少女:「この体もおかげで順調だ。あんたのダンナに感謝しなくては……」
母親:「それで、あなたの事は何てお呼びしたら良いのでしょうか?」
少女:「まあ、待て。まだ決めておらん」
母親:「従来の名前にしますか?白井さんと」
少女:「取りあえずはそれでいい。この体の持ち主の名前を呼ぶのも、それはそれで一興だが……」
母親:「まさか、本当に遺骨で人間を蘇生させることができるなんて、とんでもない話ですね」
少女:「この技術を使って、永遠に生きてみせるわい」
母親:(白井伝三郎。何て罪なヤツなの……)
アレックス・ウェスカーが2011年、転生の技術を使用しようとして失敗したことはBSAAを通して全世界に伝わっている。
しかし失敗の原因は、アレックスが元の体を捨てる為に自殺しようとした際、死の恐怖に憑かれてしまったことである。
つまり、それさえ無ければ成功していたかもしれないのだ。
そして、白井伝三郎は誰かに殺してもらう形で元の体を捨てている。
絵恋:「ただいま」
絵恋がトイレから戻ってきた時、少女に転生した白井伝三郎は何食わぬ顔して、ひたすらに手持ちの本を読んでいた。
絵恋:(何となくリサさんに似てるわね、このコ……)
そう思いながら、自分の席へと戻った。
[同日10:37.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]
(ここから愛原の一人称です)
私達を乗せた都営新宿線は、無事に菊川駅に接近した。
愛原:「それじゃ、俺達はここで」
高橋:「あっ、了解っス」
高橋はレンタカーショップに行く為、隣の森下駅まで行くという。
〔……各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕
私とリサは電車を降りた。
愛原:「ちょっと一旦、事務所に行くぞ」
リサ:「うん、分かった」
私達はエスカレーターに向かった。
先頭車からエスカレーターまでは、少し歩く。
その間に電車は発車して行き、ホームに強風が巻き起こった。
リサ:「おっ、サイトーからLINE」
愛原:「ま、結局はLINEをやってるわけだから、けして寂しいわけじゃないだろ。無料で通話もできるんだし」
リサ:「うん」
愛原:「歩きスマホはダメだぞ」
リサ:「うん。何かね、飛行機でサイトーの近くの席に、わたしに似てるコがいるんだって」
愛原:「そうなのか」
リサはかわいい方だが、しかし、珍しい容姿をしているわけではない。
もちろん、第1形態以降は別だが。
なので、例えばアキバとかに行けば、リサに似てるコか他にもいるかもしれない。
それがたまたま飛行機に乗っていたのだろう。
愛原:「どれ、1日ぶりの事務所だ」
事務所に入ると、私は自分の席に向かった。
リサ:「ねぇ、先生。明日来るリコって、どんなコ?」
愛原:「俺達、まだ会ったことないよな。一応、写真を送ってくれることになっている」
私はPCを立ち上げた。
そして、そこのメールボックスに凛さんからのメールが来ていた。
愛原:「これだ、これ」
写真は数枚入っていて、小学校の通学服を着ていたり、体操服を着ていたり、私服のワンピースを着ていたり、天長会のものだろうか、巫女装束を着ている写真もあった。
いずれにせよ、長い黒髪を2つ結び(ツーサイドアップ?)にしていることが分かった。
この辺、どこにでもいるかわいい女の子といった感じだ。
他にも写真は2枚添付されていて、来年度から着る東京中央学園中等部の制服を着ているのと、私服ではあるが、鬼姿の写真もあった。
姉の凛と同様、2本角が短く生えて、耳の先が尖る程度のようだ。
但し、爪と牙はそれなりに長く鋭くなる。
半分BOWの血、半分人間の血の特徴なのだろう。
1本角が長く生えるリサとは、少し違った系譜なのだと分かる。
リサ:「ほおほお……。なかなかかわいい」
愛原:「リサの妹の娘だからな、どことなくリサと似ていても不思議じゃないよな」
なので本来は姪にあたるわけだが、リサが早くからアンブレラに捕まって人体改造を受けたせいで成長が極端に遅くなり、とても姪と伯母の関係には見えなかった。
従姉妹同士と言った方が、しっくりくる感じである。
あんまり運動をしているようには見えなかった。
姉の凛の方がリサよりも更に短く髪を切り、日焼けしているのとは対照的である。
凛は陸上部に所属していたので。
愛原:「迎えに行くから、妹さんの顔とかも覚えておかないとな」
リサ:「リンが一緒にいるから、大丈夫だと思う」
愛原:「まあな」
リサ:「東京駅で待ち合わせした後はどうするの?」
愛原:「そのまま車に移動して、そこから藤野に向かうさ。面会は、なるべく早い方がいいからな」
リサ:「なるほど。八王子ラーメン食べたい」
愛原:「まあ、タイミング良くあり付けたらな」
明日は平日だから、行楽客で混むことはないだろう。
学生は春休みだから、鉄道やバスは混むかもしれないが。
(ここでは三人称です)
斉藤絵恋とその母親を乗せたLCCは、順調に沖縄に向かって飛行を続けていた。
使用機種はエアバスA320で、1つの通路を挟んで両側に3人席が並んでいる感じである。
さながら、やや幅の広いフル規格の新幹線普通車といった感じだろうか。
シートピッチはそれより明らかに狭いが。
進行方向左側の窓側に絵恋、真ん中席に母親が座っていた。
通路側には、絵恋と似た年恰好の少女が座っている。
リサと同じショートボブだが、リサと違ってウェーブは掛かっておらず、直毛である。
赤い縁の眼鏡と、白いマスクを着けて本を読んでいた。
絵恋:「ちょっと、お手洗い行ってくる」
母親:「行ってらっしゃい」
A320機は前方と後方にトイレがある。
比較的前の方に座っていた絵恋は、前方のトイレを目指した。
少女:「……順調に脱出できたようだな?」
ふいに少女が母親が声を掛ける。
母親:「……おかげさまで」
少女:「あんたのダンナは失敗したようだが、どうやら“青いアンブレラ”が保護しているようだぞ?」
母親:「分かっています」
少女:「この体もおかげで順調だ。あんたのダンナに感謝しなくては……」
母親:「それで、あなたの事は何てお呼びしたら良いのでしょうか?」
少女:「まあ、待て。まだ決めておらん」
母親:「従来の名前にしますか?白井さんと」
少女:「取りあえずはそれでいい。この体の持ち主の名前を呼ぶのも、それはそれで一興だが……」
母親:「まさか、本当に遺骨で人間を蘇生させることができるなんて、とんでもない話ですね」
少女:「この技術を使って、永遠に生きてみせるわい」
母親:(白井伝三郎。何て罪なヤツなの……)
アレックス・ウェスカーが2011年、転生の技術を使用しようとして失敗したことはBSAAを通して全世界に伝わっている。
しかし失敗の原因は、アレックスが元の体を捨てる為に自殺しようとした際、死の恐怖に憑かれてしまったことである。
つまり、それさえ無ければ成功していたかもしれないのだ。
そして、白井伝三郎は誰かに殺してもらう形で元の体を捨てている。
絵恋:「ただいま」
絵恋がトイレから戻ってきた時、少女に転生した白井伝三郎は何食わぬ顔して、ひたすらに手持ちの本を読んでいた。
絵恋:(何となくリサさんに似てるわね、このコ……)
そう思いながら、自分の席へと戻った。
[同日10:37.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]
(ここから愛原の一人称です)
私達を乗せた都営新宿線は、無事に菊川駅に接近した。
愛原:「それじゃ、俺達はここで」
高橋:「あっ、了解っス」
高橋はレンタカーショップに行く為、隣の森下駅まで行くという。
〔……各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕
私とリサは電車を降りた。
愛原:「ちょっと一旦、事務所に行くぞ」
リサ:「うん、分かった」
私達はエスカレーターに向かった。
先頭車からエスカレーターまでは、少し歩く。
その間に電車は発車して行き、ホームに強風が巻き起こった。
リサ:「おっ、サイトーからLINE」
愛原:「ま、結局はLINEをやってるわけだから、けして寂しいわけじゃないだろ。無料で通話もできるんだし」
リサ:「うん」
愛原:「歩きスマホはダメだぞ」
リサ:「うん。何かね、飛行機でサイトーの近くの席に、わたしに似てるコがいるんだって」
愛原:「そうなのか」
リサはかわいい方だが、しかし、珍しい容姿をしているわけではない。
もちろん、第1形態以降は別だが。
なので、例えばアキバとかに行けば、リサに似てるコか他にもいるかもしれない。
それがたまたま飛行機に乗っていたのだろう。
愛原:「どれ、1日ぶりの事務所だ」
事務所に入ると、私は自分の席に向かった。
リサ:「ねぇ、先生。明日来るリコって、どんなコ?」
愛原:「俺達、まだ会ったことないよな。一応、写真を送ってくれることになっている」
私はPCを立ち上げた。
そして、そこのメールボックスに凛さんからのメールが来ていた。
愛原:「これだ、これ」
写真は数枚入っていて、小学校の通学服を着ていたり、体操服を着ていたり、私服のワンピースを着ていたり、天長会のものだろうか、巫女装束を着ている写真もあった。
いずれにせよ、長い黒髪を2つ結び(ツーサイドアップ?)にしていることが分かった。
この辺、どこにでもいるかわいい女の子といった感じだ。
他にも写真は2枚添付されていて、来年度から着る東京中央学園中等部の制服を着ているのと、私服ではあるが、鬼姿の写真もあった。
姉の凛と同様、2本角が短く生えて、耳の先が尖る程度のようだ。
但し、爪と牙はそれなりに長く鋭くなる。
半分BOWの血、半分人間の血の特徴なのだろう。
1本角が長く生えるリサとは、少し違った系譜なのだと分かる。
リサ:「ほおほお……。なかなかかわいい」
愛原:「リサの妹の娘だからな、どことなくリサと似ていても不思議じゃないよな」
なので本来は姪にあたるわけだが、リサが早くからアンブレラに捕まって人体改造を受けたせいで成長が極端に遅くなり、とても姪と伯母の関係には見えなかった。
従姉妹同士と言った方が、しっくりくる感じである。
あんまり運動をしているようには見えなかった。
姉の凛の方がリサよりも更に短く髪を切り、日焼けしているのとは対照的である。
凛は陸上部に所属していたので。
愛原:「迎えに行くから、妹さんの顔とかも覚えておかないとな」
リサ:「リンが一緒にいるから、大丈夫だと思う」
愛原:「まあな」
リサ:「東京駅で待ち合わせした後はどうするの?」
愛原:「そのまま車に移動して、そこから藤野に向かうさ。面会は、なるべく早い方がいいからな」
リサ:「なるほど。八王子ラーメン食べたい」
愛原:「まあ、タイミング良くあり付けたらな」
明日は平日だから、行楽客で混むことはないだろう。
学生は春休みだから、鉄道やバスは混むかもしれないが。