報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原の孤独な戦い」 ラージローチ戦

2023-09-05 21:02:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日15時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階]

〔「……このゴキブリは、『ラージローチ』と呼ばれるものですが、アメリカのラクーン市で発生したものとは少々性質が異なるようです」〕

 愛原「おわっ!?」

 私は急いでリビングに移動した。
 しかしその時、床に落ちているテレビのリモコンを踏んでしまい、その時に電源ボタンが押されたか、テレビが点いてしまった。
 私は慌ててテレビを消そうとした。

〔「……実は今度のゴキブリは、殺虫剤が全く効かないんですね」〕

 愛原「……え?」

〔「……それどころか、殺虫剤の成分を栄養に、どんどん巨大化してしまうのです。それが今回のゴキブリの恐ろしいところです」〕

 愛原「ええーっ!?」

 私は真逆の対応をしてしまったということか!

〔「……ですので視聴者の皆さん。墨田区内でゴキブリを見つけても、けして殺虫剤を使わないでください」〕

 愛原「今更遅いわ、アホーッ!」

 すると、ダイニングが荒らされる音がした。
 見るとゴキブリが冷蔵庫の中を開けて、食べ物を漁っている。
 どうやら、食べ物に夢中で、私のことなど眼中に無いらしい。
 今のうちだ!
 私は急いで、隣の高橋とパールの部屋に移動した。
 あの2人の部屋なら、武器になるものが保管されているはずだ。
 マグナムは私も扱ったことは無いが、他にもあるはずだ。

 バタン!

 愛原「しまった!」

 部屋のドアを閉める時、風圧で勢い良くドアが閉まってしまった。
 その音でゴキブリは、私の事を思い出したらしい。

 愛原「あった!」

 クロゼットの中には、マグナムは無かった。
 どうやら高橋のヤツ、全部持って行ったらしい。
 あったのは、私でも扱えるハンドガンと、高橋に貸していたショットガンだ。
 よし!これであいつを退治できる!
 殺虫剤がダメなら、銃弾を撃ち込めば良い!

 愛原「この野郎、これでも食らえ!」

 私はドアを開けると、ゴキブリに向かってハンドガンを発砲した。
 しかし!

 愛原「ん!?」

 何故か銃弾は、ゴキブリの羽に当たって弾かれてしまった。

 愛原「ど、どういうことだ!?」

 ハンドガンが効かない!?
 そ、それならば、ショットガンだ!

 愛原「うらぁーっ!!」

 ショットガンの弾も、間違いなくゴキブリに命中した。
 しかし、やっぱり効かない。
 被弾している間、ゴキブリは動きを止めるものの、その後すぐにまた動き出した。

 愛原「ウソぉ!?」

 このゴキブリ、リサ以上に銃弾が効かない!?

 ラージロージ「シャーッ!」

 ゴキブリは私の攻撃が止んだと見るや、ゆっくりと近づいてきた。
 ゴキブリは素早い動きというイメージがあるが、デカくなり過ぎたからなのか、それともワザとなのか、動きは緩慢になっていた。
 んでもって、さっき冷蔵庫の中身を食い漁ったせいか、さっきよりまたデカくなったような……?

 愛原「ちょ、ちょっと!聞いてよ、ゴキちゃん!俺って、凄く不味いんだから!縄文系の顔で、体毛も特にすね毛が濃いから、食いづらいよ!?リサは気にしないみたいだけど!キミは違うよね!?」
 ラージローチ「シャーッ!」
 愛原「わぁーっ!!」

 私は急いで高橋の部屋に戻ると、鍵を掛けた。

 愛原「はー……!あのゴキブリ、人間は肉より毛の方が好きだったりして?……すね毛の1本も食わせるか」

 私は自分のスマホを取り出すと、それでリサのスマホに架電した。

 愛原「あ、もしもし、リサ!?緊急事態発生!今すぐ家に帰ってこい!俺、今、デッカいゴキブリに襲われてんの!……そう!ゴキブリのヤツ、今度は俺の肉だか毛を食うつもりだぞ!……その通りだ!お前の獲物が横取りされようとしているぞ!?分かったら早く帰って来い!」

 私は電話を切った。
 ……あ。
 リサが今どこにいるのか聞くの忘れた。
 すぐ電話に出た上、電車の音とかはしてないから、電車に乗っているとか、駅の中とか、そういうことではないようだが……。

 バキィッ!

 愛原「うわぁっ!?」

 ゴキブリのヤツ、器用に木製のドアを壊し始めた。

 愛原「腹減ったんだろ!?もうちょっと待ってくれよ!?今、リサが上野駅のエキナカで限定ドーナツ買ってきてるから!俺の分、やるからさ!」

 バキャッ(鍵が壊される音)
 バッン!(蝶番が壊される音)
 ……ドォン!(ドアが倒れる音)

 愛原「わぁぁぁぁっ!!」

 私はダイニングに出る方のドアを開け、そこからゴキブリの動きを交わした。
 そして、風呂場の脱衣所に逃げ込んだ。

 愛原「全く!どうして、こんなドアがすぐ壊れる構造になってるの!」

 すぐ、隣の風呂場のドアも開ける。
 そして、バスタブを見た。

 愛原「中入って、蓋閉めたら隠れられるかな?……ダメだな」

 ドン!ドンドンドン!!

 愛原「入ってまーす!」

 ま、まずい!こんな所に武器になるものなんて無いぞ!
 一応、殺虫剤はここにも配備しているが、こんなものは効かないどころか、むしろ更に巨大化させてしまうだけだ。
 しかし、他に武器となるものは……。

 バキッ!バキバキ……メキィッ!

 愛原「ゴキブリなのに、お風呂入りたいの!?待って!順番だから、もう少し待ってよ!」

 そして、ついに脱衣所のドアが破られた。

 愛原「ま、待ってくれ!ぼ、暴力はいけない!は、話し合おうじゃないか!……なんちゃって!これでも食らえ!」

 私は風呂掃除用に設置されていたカビキラーを噴射した。
 だが、これも逆効果で、更にゴキブリが一回り大きくなってしまう。

 愛原「ま、待って!今のは冗談!今のはナシ!だから、元の大きさに戻ってくれよ!?」

 ゴキブリはグングン近づいてくる。
 その時、私の目に入って来たのは……。

 愛原「最後の手段!これでも食らえ!」

 私は目に入ったスプレー容器を手に取ると、それをゴキブリに噴射したのだった。

 愛原「どうだ!いい匂いがするだろ!……何か変な匂いだけど!」
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の孤独な戦い」 当日

2023-09-05 16:04:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月11日06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 朝はいつもの時間に朝食を取った。

 愛原「高橋は車で行くんだよな?」
 高橋「そうです。ついでに、パールを乗せて行きます」
 愛原「そうか。それなら、リサも乗せてやったら?」
 高橋「靖国通り経由で行くつもりなんで、上野は遠回りっスよ?」
 愛原「じゃあ、秋葉原駅はどうだ?それだけでも、リサにとっては楽になるが……」

 朝ラッシュの都営地下鉄新宿線も、なかなかの混みようだ。
 だが、秋葉原から上野駅まではそんなに混んでいないという。
 オフィス街のある神田から南へ通勤する客が多いので、外回りは混んでいるが……。
 池袋、新宿方面への通勤客が乗ってくるのは上野、日暮里、田端などである。

 高橋「まあ、アキバ駅なら何とか……」
 リサ「おおっ!ありがとう!」
 高橋「先生の御命令だから特別乗せてやるが、帰りは電車で帰れよ?」
 リサ「分かってるよ。それはメイドさんも同じでしょ?」
 パール「私は……何も無ければ、明日の午前中に退院です」

 パールはチラッと高橋を見た。

 高橋「先生……」
 愛原「あー、分かった分かった。パールへの迎えを許可する」
 高橋「あざーっす!」

[同日09時00分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 朝食を終え、片付けた後で、私を除く3人のメンバーは出発の準備をした。
 1階のガレージに止めていたライトバンに乗り込む。
 私が電動シャッターを開けて、車を出させてやった。
 そして、車が出たらシャッターを閉める。
 来客が車で来るというアポがあれば、シャッターは開けたままにしておくが、今日はそういうのは無いので。
 その後でエレベーターに乗り込み、2階に戻った。

 ガリガリガリ……。

 愛原「?」

 エレベーターが2階に到着し、片開きの2枚ドアが開く。
 その時、ドアの鴨居部分からガリガリという音がした。
 ドアが開いた時、何かを巻き込むような音だ。
 調子が悪いのか?
 ドアはちゃんと開いたが……。
 エレベーターを降りて、またドアが閉まる。
 この時は、特にガリガリという音はしなかったが……。

 愛原「んん?」

 特にボタンを押したわけでもないし、挟んでもいないのに、エレベーターのドアがまた開いた。
 そして閉まる時、またガリガリという音がした。
 もう1度ボタンを押してドアを開ける。
 しかし、ドアをよく見たが、何が挟まっているとか、そういうのは見当たらなかった。
 旧型の機種であり、そのせいかもしれない。
 一応、定期点検は業者によって行われている。
 今月中にも、行われる予定だ。
 その時、業者に言っておくか。
 私は自分のデスクに座ると、PCメールのチェックをした。
 今日、依頼者が何人か来る予定になっていたのだが、ピンポイントでTウィルスが流出したということもあり、キャンセルや延期の連絡が入っていた。
 他にも直接電話で……。

 愛原「……ああ、さようでございますか。……まだ、滅菌完了のお知らせも無いことですし、致し方無いことだと思います。ですので、どうかお気になさらず……。ええ、またの御依頼、お待ち申し上げます」

 小口の仕事ばかりであるが、それらが全部と言って良いほどキャンセルになるのだから、損害だ。
 これって、警察に請求していいのかな?
 因みに今朝のテレビの情報番組では、バイオハザード発生地の墨田区では、避難命令は出ていなかった。
 外出の自粛を勧告する、という程度であった。
 で、やっぱりゴキブリホイホイは使わないと方がいいという。
 それよりも、如何にゴキブリを侵入させないかが大事みたいなことを言っていた。
 まあ、リサが帰ってくるまで、何事も無いことを祈ろう。
 今日は学校が午後まであるから、帰りは15時台から16時台になるとのことだ。

[同日13時00分 天候:晴 愛原学探偵事務所2階]

 昼はパールや高橋が作ってくれた弁当を食べた。
 彼らに気を使わせない為にも、昼は外に買いに行ったりしているのだが、今日は外出自粛勧告が出ているので。
 事務所内の給湯室で弁当の空き容器を洗い、それをシンクの横に置いた時だった。

 愛原「うおっ!?」

 ついにゴキブリと遭遇してしまった!
 天井のダクトから侵入してきやがった!
 しかも、ある程度の大きさ。
 私の掌くらいの大きさだ。

 愛原「これでも食らえ!」

 私は同じく給湯室内にあった殺虫剤を手に取ると、それをゴキブリに噴射してやった。
 ゴキブリは悶え苦しみながらも、ダクトの中に逃げ込んでしまった。

 愛原「逃がすか!」

 私はダメ押しで、更にダクト内に殺虫剤を噴射してやった。
 これで果たして、ゴキブリを倒せたかは不明だ。
 だがもう、ここには現れないことを信じて、私は殺虫剤を元あった場所に戻したのだった。
 一応、この事はリサ達にも伝えておこうと思った。
 グループLINEで、報告する。
 高橋は私を称賛し、リサは不安だからなるべく早く帰ると言った。
 まあ、侵入したのは、私が遭遇したあの一匹とは限らないかもしれない。
 こんな時、仲間がいると心強い。
 今度からは、ダクトにも注意しないといけないな。

[同日15時00分 天候:晴 愛原家3階]

 リサ達がお土産を買ってくるというので、私はお茶の在庫を確認することにした。
 コーヒーなら先日買っておいたので心配無いはずだが、和菓子に合うお茶があったかどうか……。
 それと、事務所の方に融通しておきたい。
 だが……。

 愛原「ん?」

 エレベーターに乗り込んで3階に向かう時、上からガッシャーンという音がした。
 何か金属製の物が外れて落ちるような音だった。
 そんなもの、あったっけ?

 愛原「こ、これは……!」

 エレベーターが3階に着いた時、天井のダクトの金網が外れていた。
 こんなものが外れるなんて、珍しい。
 下に誰もいなくて良かった。
 だが、拾い上げると、どうやら自然に外れたのではなく、無理やり外されたのだと分かった。
 一体、誰がこんなことを……?

 ラージローチ「…………」
 愛原「……!……!」(;゚Д゚)

 ダイニングには、ゾウガメほどの大きさのゴキブリが一匹……!!
 な、何か目が合ってしまった。
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