報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「雪の登校日」 2

2023-09-29 20:30:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月17日09時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 サイレンを鳴らし、1台の救急車が学校の敷地内へと入って行く。
 学校の警備員が、救急車を誘導していた。

 坂上修一「愛原リサは大至急、現場まで来るように」
 リサ「はーい」

 教育資料館(旧校舎)の前の除雪された雪山に、応援部3年生の徳田部長が埋まっているのが、他の応援部員によって発見された。
 すぐに救出され、まずは保健室に運ばれたが、凍傷と電撃熱傷が酷く、それでいて、うわ言でリサの名前を何度も呼んでいたので、リサが疑われて呼ばれたのだとか。

 教頭「それじゃ、キミは正当に防衛をしただけだというんだね?」
 リサ「はい、そうです」
 上野凛「突然、徳田部長がリサ先輩に飛び掛かって行ったんです。何もしなかったら、リサ先輩が襲われていました」
 徳田の担任「確かに徳田は、猪突猛進な所が目立ち過ぎて、色々と問題を起こすようなことがありましたが……」
 教頭「先生。こちらは我々に任せて、あなたは救急車で一緒に行ってください」
 徳田の担任「わ、分かりました」

 徳田の担任教師は、救急車に乗った。

 坂上「本当に、正当防衛しただけなんだな?」
 リサ「そうだよ。わたしから襲ったりしてないよ。リンも一緒にいた」
 坂上「それにしても、雪山に埋めることもないだろうに……」
 リサ「わたしが埋めたわけじゃないもん」

 リサは唇を尖らせて反論した。

 教頭「坂上先生。寒いので、あとの話は職員室でしましょう」
 坂上「教頭先生、分かりました。愛原、続きは職員室だ」
 リサ「へーへー」

 リサは面倒臭そうに職員室に向かった。

 坂上「さすがに電撃はマズいだろ」
 リサ「金棒でボコして良かったんですか?」
 坂上「そういう問題じゃない。そういう態度だと、保護者の愛原さんに来てもらうことになるぞ?」
 リサ「! そ、それだけはダメ!」
 坂上「じゃあ、ちゃんと反省する態度を見せないと。俺は良くても、教頭先生は厳しいぞ」
 リサ「うう……」

[同日11時20分 天候:晴 東京中央学園新校舎2階 2年5組]

 リサ「ただいまぁ……」
 小島「あっ、魔王様が帰って来た」
 淀橋「魔王様の御帰還だよ!」

 何故か拍手で出迎えられるリサなのだった。
 普通なら鼻息荒くしてそれに答えるリサなのだが、今回は戸惑った。

 リサ「なになに?反省文は書かされたけど、停学までは食らってないよ?」
 男子生徒A「あの徳田部長をボコすなんて、さすがは魔王様です!」
 男子生徒B「反省文書くの、本当は徳田氏の方だよな」
 リサ「やっぱりそう思う?!」
 坂上「ほら、授業を始めるぞ。席に着け。愛原が反省文を書いたのは、あくまで正当防衛後の処置が悪かったことに対するものだ」
 小島「と、言いますと?」
 坂上「対応した後、すぐに職員室に報告しなかったこと。それと、あのまま雪山に埋めていたことだ。この時期、そんなことをしたら凍死の恐れがある。事実、徳田部長は凍傷だけで全治1週間だ」

 凍傷よりも、リサから受けた電撃熱傷の方が重かったらしいが、それは内緒にされた。

 リサ(うーん……。防衛力としては電撃は頼りがいがあるんだけど、後で面倒臭いな……。やっぱ、最後まで隠蔽できる蟲の方がいいかなぁ……?攻撃力は頼りないけど)

 坂上「入院期間は1週間。因みに病院は、コロナ対策の為、面会は一切禁止とのことです」
 男子生徒C「ということは、トドメ刺しに行けないってことですね。残念でしたね、魔王様?」
 リサ「いや、もういいよ」

 むしろリサは、もう関わりたくないといった感じである。

 坂上「というわけで、授業を始めます。来週は定期テストがあるので、それの出題範囲を中心に……」

[同日12時30分 天候:晴 同学園別館・食堂]

 リサ「はー、やっとお昼だ。長いような短いような……」

 午前の授業が終わり、食堂へ向かうリサ達。

 淀橋「反省文、何枚書いたの?」
 リサ「原稿用紙2枚分。愛原先生が警備員時代に書いたっていう、始末書の文言を参照にして書いた」
 小島「何でそんなものが未だにあるの?」
 リサ「さあ……」
 レイチェル「リサは何を食べますか?」
 リサ「そりゃもう、肉をガツ食い。今日のB定食は『豚肉生姜焼き』だ。これにしよう」
 レイチェル「これは何の料理ですか?」
 リサ「ポークジンジャーだよ」
 レイチェル「I see.Pork gingerね」
 淀橋「これも日本料理かな?」
 小島「日本料理でしょ。ポークソテーは西洋料理だけど」
 淀橋「ポークジンジャーは日本料理で、ポークソテーは西洋……違いが分からん」
 小島「ヨドって料理したことない?調味料がソテーは、西洋のヤツだからだよ」
 淀橋「いや、たまにするけどさぁ……」

 そんなことを話しながら、4人は学食に入った。

 淀橋「よくある料理だから、夕食と被らないといいね」
 小島「うちはメニューを家に置いてるよ。それだと被らない」
 リサ「わたしは肉が出れば、被ったって平気」
 小島「さすがは魔王様。昨日も肉だったの?」
 リサ「ハンバーグ」
 小島「ハンバーグか」
 淀橋「ハンバーグは昨日だったみたいよ。勿体ないね」
 小島「冷凍のレトルトだから、また後で出すんじゃない?土曜日、午前中だけ授業があるみたいで、食堂も開くみたいだから」
 リサ「なるほど。土曜日はハンバーグ……」

 リサは真顔で頷いた。
 どうやら、狙うつもりらしい。
 そして、今日は豚肉生姜焼き定食を食べる。

 リサ「この前の焼き鳥パーティーどうだった?」
 レイチェル「最高です。またやりたいね」
 淀橋「焼き鳥パーティーなんてやったの?」
 リサ「先生の事務所でね。先生がアキバの鳥貴族予約してくれて、そこで食べた」
 淀橋「トリキか。アニキがバイトしてるっけな」
 リサ「アキバで?」
 淀橋「いや、別の店。やっぱ居酒屋系はバイト代高いから」
 小島「だよね」
 リサ「パチンコ屋はもっと高いって、兄ちゃんが言ってた」
 淀橋「そう思って最初パチンコ屋で働いてたんだけど、店内がクッソうるさくて耳悪くなったからってんで、辞めたよ」
 小島「居酒屋も結構賑やかでしょ?」
 淀橋「それでもパチンコ屋よりはマシだってよ」
 小島「それもそうか」
 リサ「ヨドバシのお兄さん、フリーターか何か?」
 淀橋「いや、大学生です。だから、居酒屋でバイトできんの」
 小島「そりゃそうだ」
 レイチェル「面白い話ですね」
 リサ「ところで、いつ、BBQ招待してくれるの?」
 レイチェル「もうすぐテスト期間ですね。テストが終わったら、招待しますよ」
 淀橋「レイチェルの近所に、バーベキュー場なんてあるんだ」
 レイチェル「そうですね」

 リサはレイチェルの含みに、やや違和感を覚えた。

 リサ(BSAAの基地内だったりして?)
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“愛原リサの日常” 「雪の登校日」

2023-09-29 16:34:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月17日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 予定通り、今日は学校が再開された。
 JR電車は多少の遅れはあったものの、昨日の大混乱と比べると、まあまあ平常に近い運転だったとリサは思った。

 上野凛「だいぶ除雪されたなぁ……」
 リサ「リン、おはよう」
 凛「あっ、リサ先輩!おはようございます!」
 リサ「旧校舎の方はどうだった?」
 凛「いえ、まだ見てません。古い建物なんで、雪が積もると心配ですね」
 リサ「見に行ってみよう」
 凛「はい」

 鬼の女番長と半鬼の四天王の1人は、新校舎裏手の旧校舎に向かった。
 都心にある高校ということもあり、校庭はダートではなく、ウェザーコートになっている。
 なのでダートと違い、そこまで足元がグチャグチャというわけではない。
 但し、普段から人の出入りが無い旧校舎(教育資料館)は、あまり除雪されていなかった。
 辛うじて、屋根の雪下ろしがされているくらい。

 凛「栃木と違って、東京の学校は土じゃないから、足元がグチョグチョにならなくていいですね。これなら、今日の部活は外でできそうです」
 リサ「体育は体育館だろうけどな。とにかく、『トイレの花子さん』との思い出の場所だから、この場所は大切にしておきたい」
 凛「『イジメ、ダメ、絶対!』ですね」
 リサ「そう」
 凛「……先輩、LINEでチラッと聞いたんですが、『蟲の力』を戻せそうって本当ですか?」
 リサ「アメリカのルイジアナ州では、蟲使いのオバさんがいたらしい。特異菌に感染してからその能力が開花したらしいから、私でもできるんじゃないかって思ってる。ただ、その為には今の電撃使いを捨てないといけないけどね」
 凛「それって、どうなんですか?」
 リサ「確かに攻撃力は強いけど、いざって時に出せないと意味無いからね」
 凛「いざって時に出せないことってあるんですか?容量不足とか?」
 リサ「バッテリーじゃないからな?……なんかね、そんな気がするんだ」
 凛「今はどうですか?」
 リサ「今は出せると思う」

 リサは軽く右手から電撃を出してみた。
 パチッと火花が飛び散る。

 凛「攻撃力としては?」
 リサ「攻撃力……」

 と、その時だった。

 応援部長「リサさぁぁぁぁん!好きだぁぁぁぁっ!!」
 リサ「げっ!?」
 凛「あれは応援部3年生の徳田部長!リサ先輩、モテモテですね!?」
 リサ「鬼の男といい、どうしてわたしは化け物みたいなヤツにモテるんだ?!」

 リサは発情して突進してくる、大柄の応援部長に電撃を食らわせた。

 応援部長!「ぎゃああああああっ!!……も……もっとォ……!もっと食らわせてくださぃぃぃぃっ!」

 リサ達の前でバタッと倒れる応援部長。

 リサ「キモッ!」
 凛「ドMの変態さんだぁ……」

 1年生の凛、2年生のリサだが、3年生の応援部長には容赦が無い。

 凛「リサ先輩、前にも告白されてましたよね?」
 リサ「わたしは愛原先生一筋だから。オマエはオマエで、男子陸上部の本田と付き合ってるらしいな?」
 凛「ま、まだ友達ですよ!?」
 リサ「食い殺すなら、手伝ってやるから言ってくれよ」
 凛「……リサ先輩、愛原先生以外の男性も食べるんでしたっけ?」
 リサ「そんなことより、コイツどうする?」
 凛「応援部に連絡して、連れ帰ってもらいましょうか」

 だが……。

 応援部長「リサさぁぁぁん!俺、もうすぐ卒業して会えなくなるから寂しいんだよぉぉぉ!!」

 ガシッとリサの両足にしがみ付く。

 リサ「放せ、コラ!!」

 リサは足からも電撃を放った。

 応援部長「ぎゃあああああっ!!……さ、最後に幸せ……」
 リサ「M野郎!」
 凛「い、いや、ちょっと待ってください!今、先輩のスカートが少し捲れたんですけど……」
 リサ「『幸せ』って、そういうことか!おらぁーっ!!」

 リサは大柄の応援部長に卍固めして、更に電撃。

 凛「そ、そうじゃなくて、先輩の方が問題です」
 リサ「大丈夫だって。このくらいの電撃じゃ、このアホは死なない!」
 凛「ですから、そうじゃないんです!」
 リサ「何なんだよっ!?ハッキリ言えよ!」
 凛「先輩、ブルマもスパッツも穿いてません!」
 リサ「……え?」

 リサは既に気を失っている応援部長を放すと、自分のスカートの中に手を入れた。

 リサ「ヤベッ!ブルマ穿いてくるの忘れた!」
 凛「今日、体育は?」
 リサ「幸いにして、今日は無い」
 凛「さすがにパンツだけというのは校則違反ですよ」
 リサ「分かってる。確か、ロッカーの中にスパッツが入ってたはず。今日はそれを穿いておくよ」
 凛「一応、持ってるんですね」
 リサ「愛原先生がブルマ好きだって分かる前は、わたしもスパッツを穿いてたから」
 凛「なるほど」
 リサ「そういうオマエは?」

 リサは凛のスカートを捲り上げた。
 その中には、緑色のブルマがあった。
 女子陸上部のユニフォームであるエメラルドグリーンのレーシングブルマではなく、かつてこの学校で女子体操服用として着用されていた学販ブルマである。
 女子陸上部のそれが色違いの緑になっているのは、体育用と区別する為と、青山学院大学のユニフォームと混同しないようにする為だという。

 リサ「やっと買ったんだな」
 凛「ええ、まあ……」

 既に事実上の廃止になっている為、かつての物は殆ど手に入らない。
 そこで似たような色合いのブルマを、他のメーカーから購入して着用するというのが『魔王軍』の掟となっている。
 陸上部のユニフォームを造っているメーカーとは、また別のメーカーだったことが災いしている。

 リサ「朝礼が始まる前に穿いてくるから、そいつ何とかしといて」
 凛「応援部に連絡しておきます」
 リサ「そのまま、そこの雪山に埋めといてもいいんだぞ」
 凛「さすがにこんな見た目化け物でも、中身は普通の人間ですから、それはマズイかと……」
 リサ「それもそうだ。そこはリンに任す」
 凛「分かりました」

 リサは後の処理を凛に任せると、自分は教室に急いだ。

 リサ(少し寝坊したから、ブルマのことすっかり忘れてた)

 朝は起きて顔を洗ったりした後はすぐに制服に着替えるので、愛原からも指摘されなかったのである。

 レイチェル「リサ、おはようです」
 リサ「おー、レイチェル!おはよう!」

 途中でレイチェルと会った。

 レイチェル「急いでますね。トイレですか?」
 リサ「んー……似たようなもん!」

 女子校なら教室で堂々と着替えられるのだが、共学校のここでは難しい。
 スカートは穿いたままとはいえ、スパッツを穿くという行為も男子生徒の前ではやりにくいので、トイレに行く必要があった。

 レイチェル「私もお供します」
 リサ「BOWのトイレシーンなんか観察したって何も面白くないぞ!」
 レイチェル「違います。生理現象です」
 リサ「……何のヒネリも無い回答だな」
 レイチェル「Huh?」
 リサ「何でもない。早く行こう」

 2人の外人名を持つ少女達は、新校舎に入って行った。
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