報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「伊藤家の探索」 2

2024-03-01 20:28:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日14時00分 天候:晴 東京都板橋区常盤台 伊藤家]

 マイケル「いや、参ったね。一体、どこを探したらいいか分かったもんじゃねぇ」

 レイチェル達は探索を終えると、家の外に出て来た。
 家の外の広い庭には、BSAAが本部テントを建てていた。
 既に捜査権は、警視庁からBSAA日米合同隊に移管されたのだ。

 BSAA日本人隊長「本当に邸内を隈なく探したのか?」
 ジム「はい。この通り、BSAA北米支部自慢のBOW探索装置“ジェネシス”を使って尚、発見できませんでした」
 マイケル「息子どころか、BOWの気配すら無し。一体、どうなってんだ?レイチェルはどう思う?」
 レイチェル「私は……既に逃走したものと思います」
 日本人隊長「だが、警視庁の捜査によると、息子の伊藤縁君の目撃情報は一切無い。この付近の防犯カメラの画像を当たってみたのだが、全く映りもしなかった」
 ジム「侵入してきたBOWに、骨ごと食われてしまったんでしょうかねぇ?」
 日本人隊長「だとしたらおかしい。確かにハンターγなど、人間を丸呑みしてしまうようなBOWはこれまでにも登場してきた。だが、両親の遺体は、まるでゾンビが食い荒らしたかのような状態になっていたのに、息子だけ丸呑みというのもおかしいだろう」
 マイケル「ゾンビとハンター、両方侵入したとか?……なワケないか」
 日本人隊長「当たり前だ。もしそうならこの家だけじゃなく、常盤台地区やその周辺も大騒ぎになっているはずだ。奴らには知性というものが無いのは、キミ達も知っての通り。そんな奴らが、人間をどのように襲うかは想像に難くないだろう?」
 レイチェル「あの……」

 レイチェルは手を挙げた。

 レイチェル「縁もまたBOWと化してしまったとしたら、どうでしょうか?」
 ジム「やっぱり、そう思うか?」
 マイケル「なに?ジム、お前もそう思ってたのか?」
 日本人隊長「根拠は?」
 レイチェル「BSAA日本地区隊からお尋ね者になっている、レンゲ・クリハラの目撃情報はあったと聞いています」
 日本人隊長「うむ。ヤツについては、付近の防犯カメラに映っていたそうだ」

 その為、今現在は栗原蓮華が容疑者なのである。
 NPO法人デイライトは愛原リサを疑ったが、彼女は伊藤縁の家を知らない上、付近の防犯カメラにも映っていないかったことから、容疑は晴れた。
 また、むしろ栗原蓮華が映っていたことで、彼女が容疑者となった。

 レイチェル「彼女はリサの血が入ったことで、BOWとなりました。つまり、ヴァンパイアと同じです。レンゲがエンを襲ったことで、エンもまたBOWになり、両親を襲ったのだとしたら?」
 日本人隊長「して、その2人はどこにいる?」
 レイチェル「外に出た目撃情報が無いのなら、恐らくまだ屋敷の中……私達がまだ探索していない所に隠れているのではないかと」
 ジム「さて、この展開、再び我々の出番だと思いますけどー!?」
 マイケル「また始まった。で、今度はどこを探す気だ?」
 ジム「地下室ですよ、地下室!」
 マイケル「地下室ぅ?」
 ジム「さっき、レイチエルが言ってたじゃないですか!ヴァンパイアだって。ヴァンパイアが昼間、どこで寝ているかは、映画を観れば明らかでしょう!」
 レイチェル「古城の……地下室」
 マイケル「……の、棺桶の中か?」
 ジム「棺桶があるかどうかは分かりませんが、地下室はあると思います。探しましょう!」
 日本人隊長「今、この家の図面を持っているが、地下室は無さそうだぞ?」
 ジム「ええっ!?」
 マイケル「何とかは小説より奇なりってな。現実は、そんな簡単な物じゃねぇよ。とにかく、少し休んだら、もう少し探してみよう。地下室じゃなくても、隠し部屋くらいあるかもしれんぞ」
 ジム「りょ、了解です!グラインダー!」

[同日20時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 善場「……というわけで、BSAAが雁首揃えて探索したにも関わらず、発見には至りませんでした」
 愛原「地下室も隠し部屋も見つからなかったんですか?」
 善場「はい。一応これが、伊藤家の家の図面なんですが……」

 善場は机の上に、図面を広げた。

 リサ「わぁ、大きなお家!」
 高橋「さすがは金持ちは違うね!あのレズガキの家よりデカいんじゃねーの?」
 善場「延べ床面積的には、埼玉の斉藤家と五十歩百歩なんですよ。まあ、若干、こちらの伊藤家の方が広いって感じでしてね」

 斉藤家は土地が狭かった分、縦方向に延べ床面積を確保した。
 地下1階、地上4階の屋上付き。
 もちろん、ホームエレベーターが付いていた。
 それに対して伊藤家は図面上、地上2階建てである。

 善場「息子の伊藤縁君の部屋は、リサに関する写真とか、リサに渡せなかったラブレターの山とかがあったそうです」
 リサ「キモ!
 善場「しかも、婚姻届まで書いてあって、リサに書いて欲しいのだとか……」
 リサ「絶対ヤダ!!」

 リサは人間形態から鬼形態となった。

 リサ「あー、くそっ!わたしも、火を吹く血気術でもあればなぁっ!そしたらそいつのキモいコレクション、全部焼き払ってやるのに!!」

 今のリサの鬼としての特技は軽い放電、それと日本式プラーガや特異菌の操作くらいである。
 鬼というよりは、やっぱりBOWである。
 もちろん、鬼ならではの怪力や鋭い爪による引き裂き攻撃も可能だが。

 愛原「それでは善場主任、我々に何をしろと?」

 善場はリサを見た。

 善場「レイチェルの推理が正しければ、伊藤縁は栗原蓮華と共に、伊藤邸内に潜んでいるものと思われます。また、蓮華にBOWにされたことにより、彼もまた夜にしか行動できなくなっているのかもしれません。そして、そんな彼はリサに夢中でした。これからリサには、伊藤邸に向かってもらいます」
 愛原「リサに囮になれと!?」
 善場「簡単に言えばそうです。大好きなリサが訪問したとあっては、むしろ伊藤縁は喜んで出て来るでしょう。そこを、BSAAで集中攻撃します」
 高橋「で、ついでにリサもブッ殺すと」
 リサ「お兄ちゃん!」
 善場「リサにはそんなことしません。攻撃が始まったら、リサには即行待避してもらいますので」
 愛原「もしその推理が間違っていたら?」
 善場「作戦の立て直しですね。ただ、リサのそのBOWの力を利用して、蓮華くらいは探し出せるかもしれません。鬼は鼻が利くでしょう?」
 リサ「一応ね」

 実は、鬼が鼻が利くという言い伝えはあまりない。
 むしろ、人食い鬼の場合、血肉の臭いに鼻をやられて、むしろ鼻は利かないのではとまで言われている。
 リサの場合は、まだ人食いをしたことが無いので。

 善場「できれば、早めに決行しましょう。もう夜です。今はBSAAが見張っていますが、リサを狙いに今夜、行動を起こすかもしれません」
 愛原「分かりました。リサ、今から準備できるか?」
 リサ「分かった。準備する」

 リサは階段に走って行き、それから自室のある4階へ駆け上った。
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