報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「事件後の打ち合わせ」

2024-03-04 20:36:22 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月7日13時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 予定通り、午後イチに善場主任が事務所にやってきた。

 善場「昨夜は大変お疲れさまでした。愛原所長も、ケガが大したことなくて何よりです」
 愛原「BSAAの回復薬、本当によく効きますね」
 善場「グリーンハーブを調合したものに、レッドハーブを調合したものです。ケガによく効きますよ」
 愛原「さすがは天下御免のBSAAです」
 善場「それでは早速、本題に入らせて頂きたいと思います」
 愛原「分かりました」

 私達は事務所内の応接コーナーに移動した。

 善場「まずは常盤台の伊藤家のことですが、伊藤縁の両親は、息子や栗原蓮華により食い殺されたと断定しました。また、それにより、特異菌の感染が確認できましたので、モールデッド化する前に焼却処分としました」
 愛原「お葬式をする前に、もう火葬とは……」
 善場「モールデッドになってしまっては、更なる被害拡大になってしまうので致し方ありません。伊藤縁に関しましては、BSAAの対処により、死亡が確認されました」
 愛原「リサや蓮華は銃弾では死なないようですが、伊藤縁は死んだんですね?」
 善場「まだ2人しか食人をしていないので弱いのです」
 リサ「わたしは、まだ1人も食べてないけど強いよ?」
 善場「あなたは特異菌だけじゃなく、Gウィルスの保有者でもあるからでしょう?そもそも考え方が違います」
 リサ「あ、そうか」

 Gウィルスにより増殖された心臓や脳が体内にある。
 部位破壊で1つくらいそれら急所たる臓器が壊されても、用意されていたスペアがすぐに起動するので。
 それでリサは死なない。

 善場「それに、あなたは時々吸血しているから、全く食べていないとは言えないのよ?」
 リサ「あー……」
 善場「話を元に戻します。無人となった伊藤邸内は、現在も尚、BSAA日米合同隊が調査中です」
 リサ「すると、レイチェルも学校を休んでいるのかな?」
 善場「そうかもしれませんね。あくまでも、部隊の訓練が優先ですから。それと、東武東上線の件につきましては、特段被害はありません。強いて言うなら、上りの池袋行きの電車がレイチェルに衝突した弾みで、フロントガラスにヒビが入ったことくらいでしょうか」
 愛原「レイチェルが放った光の球、下り電車の進行方向に落ちたみたいですけど、特に被害は無かったんですね」
 善場「そのようです」
 リサ「手から光の球を出したの!?」
 愛原「そうなんだ。蓮華のヤツ、どんどん強くなっているみたいだぞ」
 善場「BOWは、人を食らえば食らうほど強くなると言われています」
 リサ「じゃあわたしも食べる!」
 愛原「おい!」
 善場「それはBSAAによる対処案件ですね。お気をつけください」
 愛原「でも、どうするんですか?まさか、BSAAの手にすら負えない状態になってしまったら……」
 善場「そこで、愛原公一容疑者です。何でも、公一容疑者は栗原蓮華を弱体化させる薬を作るとのこと。まだ届きませんか?」
 愛原「ま、まだです」
 善場「届き次第、報告してくださいね」
 愛原「分かってますよ」

 どうあっても、伯父さんを捕まえる気満々のようだ。

 善場「噂では、“青いアンブレラ”と手を組んでいるという話もあります」
 愛原「ええっ!?高野君と!?」
 善場「はい。ですので、どんな情報でも良いので、手に入り次第、報告をお願いします」
 愛原「分かりました」
 善場「最後に栗原蓮華の行方についてですが、東海地方という所までしか申し上げることはできません」
 愛原「東海地方。その根拠は?」
 善場「まず、警視庁の捜査によると、栗原蓮華は東武東上線の上り電車に跳ね飛ばされた後、たまたまガード下の国道17号線新大宮バイパス下り線に落ちました。しかし、道路の上ではなく、たまたまそこを通過中のトラックの荷台に落ちたようです」
 愛原「ええっ?」
 善場「トラックの運転手は気づかなかったようですね。まあ、無理もありません。バスと違って、運転席……キャブとコンテナが独立したタイプでしたので、コンテナの方に何かが落ちて来ても気が付かないことはあるでしょう。そのトラックは、高島平の板橋トラックターミナル行きでした」
 愛原「! それって……?」
 善場「愛原所長が搬送された板橋区医師会病院の近くですね」
 愛原「灯台下暗しか……」
 善場「その後、蓮華は静岡方面に行くトラックに便乗したと思われます。ターミナルの防犯カメラに、彼女らしき者が写ってました。そのトラックは1時過ぎに、ターミナルを出発しています」
 愛原「1時過ぎ……静岡方面行き……ん!?」
 善場「気が付きましたか?」
 愛原「私達が高島平の入口から首都高に乗ったとの同じように、そのトラックもそこから首都高に乗ったということは……。途中までは、私達とルートが同じなのでは?」
 善場「そうですね」
 愛原「志村パーキングで受信した警報は……蓮華だったんですね!」
 善場「その公算は大きいと思います」
 愛原「蓮華が便乗したトラックの目星は付いたんですか?」
 善場「はい。特定しまして、今、静岡県内にBSAAが向かっております。場所は足柄サービスエリアです」
 愛原「足柄?」
 善場「はい。そのトラック運転手が足柄サービスエリアで休憩していたところ、警報が鳴ったそうです」
 愛原「警報?」
 善場「コンテナタイプだと、中に閉じ込められる恐れがあるじゃないですか」
 愛原「ああ!あの警報!」

 その為、トラックのコンテナの内側には、運転手や周囲の人間に閉じ込めを知らせるボタンまたはスイッチがある。
 それを操作すると、クラクションが勝手に鳴る仕組みとなっているのである。
 運転手が急いでコンテナを確認する為、後ろの扉を開けると、そこから蓮華が飛び出してきたのだという。
 運転手はすぐに警察に通報したそうだが、そうしている間に蓮華は消えてしまったという。

 善場「静岡県警とBSAAがサービスエリア内の防犯カメラを確認していますが、別の車両に便乗した可能性があります。ただ、足柄サービスエリアは広大で、車両の往来も引っ切り無しなので、どの車に便乗したかまでは分かっていません。下り線なので、更に静岡県を東の方向へ向かった可能性はあるのですが……」
 愛原「なるほど……」

 この時、わたしはふと思い出した。

 愛原「確か、記憶な曖昧な鬼は、その記憶を辿ろうとする習性があると聞いたことがあります」
 善場「蓮華にもそれがあると?」
 愛原「分かりませんが、その可能性があるとなれば、彼女の向かおうとしている所、1つだけ心当たりがあります」
 善場「それはどこですか?」
 愛原「富士宮市ですよ」
 善場「富士宮?」
 高橋&リサ「ああ!」

 高橋とリサは気づいたようだ。

 リサ「前に一緒に行ったよね!まだ、蓮華が鬼斬りセンパイだった頃!」
 高橋「新幹線で新富士駅まで行って、そこからレンタカーで行きましたね!あの時っスか!」
 善場「なるほど。そういうことですか。可能性はありますね。分かりました。この情報、BSAAに伝えておきましょう。有益な情報でしたら、報奨金をお支払い致します」

 こうして、打ち合わせは大方終了した。
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“私立探偵 愛原学” 「一夜明けた事件後」

2024-03-04 16:04:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月7日07時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階]

 愛原「おはよー……」
 高橋「あっ、先生。おはようございます」
 パール「おはようございます」
 高橋「昨夜はお疲れっした」
 愛原「いや、それはオマエも同じだよ。殆ど仮眠だな……」
 高橋「いや、ハハハ……」
 パール「リサさんはどうですか?」
 愛原「死んだように寝てるよ。あいつが1番、エネルギーを使ったからな」
 高橋「電車を追い掛けるなんて無茶しやがりますね」
 愛原「そうだな。リサの学校には、俺から休むと連絡しておこう。まずは飯だ」
 パール「はい、どうぞ」

 テレビではニュースや情報番組をやっているが、やはり昨夜の事件のことで持ち切りである。
 そこで分かったことなのだが、どうも仙台から東京へ向かっていた郵便トラックが事故を起こしたらしい。
 それも運転手の過失によるものではなく、何かがぶつかってきたというもの。
 その何かというのは分からない。
 ただ、ドライブレコーダーの解析によると、何事も無く東北自動車道を走行していた郵便トラックに側方から強い衝撃が走り、それでバランスを失って横転事故を起こしたというものだった。
 その際に郵便物を積んでいたコンテナが破損。
 壊れたコンテナから郵便物が飛散するという事態が発生した。
 高橋達の婚姻届も、その中にあった可能性が高い。

 愛原「しょうがない。もしも届かないようなら、また新たに作成しよう。お手数だが、また役所に行って書類もらってこい」
 高橋「分かりました」
 愛原「今度はちゃんと速達とか書留とかにしておくんだ。金はケチっちゃいかん」
 高橋「はい」
 愛原「うちの父さんにもそう言っておこう」
 高橋「サーセン」

 テレビは他にも昨夜の東武東上線で起きた事件や、常盤台で起きた事件などを報道している。

 愛原「さすがに拉致られた上、電車の屋根の上に乗せられるとは思わなかった」
 高橋「先生が御無事で良かったです」
 愛原「何で俺は、鬼の女に『しか』モテないんだろうなぁ……」

 まあ、BOWになると、人間だった頃の感覚とはかなりズレるというのは、リサを見ていれば分かる。

 高橋「先生。今日は事務所を開けるんですか?」
 愛原「そりゃ開けるさ。善場主任もまた午後に来ることになっている。その時には、リサも起きてくれるといいな」

 私はそう言って、パールが作ってくれた目玉焼きに齧り付いた。

[同日12時00分 天候:雨 同地区 愛原学探偵事務所2階]

 プー!というブザーが事務所内に鳴り響く。
 これは建物内にいくつか設置されている内線電話の呼び出し音だ。
 まるで昔の営団地下鉄の駅の発車ブザーとか、あるいは車掌から運転士の発車オーライのブザー音に似ていたりする。

 愛原「俺が取るよ」

 恐らく、リサからだろう。
 私は席を立って、内線電話を取った。
 因みに内線電話は、エレベーターのドアの横にある。

 愛原「もしもし?」
 リサ「あ……先生……。おはよう……」

 電話の向こうから、リサの寝ぼけた声が聞こえた。
 どうやら今起きたようだ。

 愛原「起きたか。体の具合はどうだ?」
 リサ「寝過ぎて逆に体が痛い……」
 愛原「ああ、そうか」

 それはあるな。
 私も体の具合が悪い時に、ずっと1日中ベッドで寝ていたりすると、そういうことが起きる。

 リサ「あとお腹空いた」
 愛原「そうか。ちょうど今、高橋が昼食を作っているところだ。今は来客も無いし、昼休みにするところだから、お前も2階に下りて来い」
 リサ「分かった……」

 そして電話が切れる。
 今朝はパールが作ったこともあり、昼食は高橋が作っている。
 3階のキッチンとは別に、2階にも給湯室はある。
 私も電話を切ると、給湯室に向かった。

 高橋「あっ、先生。今、作ってるところなんで」

 高橋はホットドッグを作っているところだった。
 今、フライパンでウィンナーとキャベツを炒めているところだ。

 愛原「分かってる。実は、追加注文だ」
 高橋「追加注文?」
 愛原「今、リサが起きてきたから、リサの分も作ってやってほしいんだ」
 高橋「ああ、分かりました。リサのことだから、普通の1人分じゃ足りないっスね」
 愛原「あー……た、確かにな」
 高橋「まあ、いいっス。2人前追加で作っときます」
 愛原「悪いな、頼んだぞ!」

 高橋に追加注文すると、私はその足でトイレに行くことにした。
 それから自分の席に戻ると、エレベーターから、着替えずにそのままの姿で来たと思われるリサが降りてきた。

 リサ「おはよう……」

 リサは体操服にブルマ姿だったが、上には長袖のジャージを羽織っていた。
 紺色の物を着用していたので、学校のではない。

 愛原「よく眠れたか?」
 リサ「うーん……よく分かんない」

 眠りが浅くなった時に変な夢を見たり、それでいて目が覚めるわけでもなく、また眠りが深くなり……の繰り返しだったらしい。
 リサは窓に近づいた。

 リサ「今日は雨か……」
 愛原「ちょうど休めて良かったな」
 リサ「まあ……明日は行かなきゃ」
 愛原「無理はするなよ」

 そして、給湯室からオーブントースターのチンベルの音が聞こえて来る。

 高橋「お待たせしました」
 愛原「おー、悪いな」
 リサ「ホットドッグ!」
 愛原「リサは朝から食べてないんだから、多目にするよう言っておいたから」
 高橋「先生の御命令じゃ、しょうがないっスね」
 愛原「午後から善場主任から来る。リサも話聞かれると思うから、食べたら着替えてこいよ」
 リサ「分かったよ」
 高橋「ねーちゃんも大変っスね」
 愛原「家に帰ってないんじゃないか、もしかして?」
 高橋「そりゃ大変っスね」
 愛原「いや、分かんないけど」

 リサはホットドッグに齧り付いた。

 愛原「それで、婚姻届は持って来た?」
 高橋「はい」
 愛原「面倒だけど、また書いてくれな。俺がサインして、また実家に送っとくから」
 高橋「サーセン」
 愛原「今度は速達と簡易書留でな」
 高橋「はい」
 愛原「郵便料金も経費で落とせるから、そこは心配しないでくれ」
 高橋「分かりました」
 愛原「うちの父さんに言ったら、『マジか!?』ってびっくりしてたよ。だから今度は、速達と簡易書留で送るように言っといた」
 高橋「あざっス。……いえ、ありがとうございます」
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“愛原リサの日常” 「深夜の帰宅路」

2024-03-04 11:20:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日23時00分 天候:晴 東京都板橋区高島平 板橋トラックターミナル]

 都営地下鉄三田線西高島平駅の近くにあるトラックターミナル。
 そこに進入した大型トラックの上に、栗原蓮華がいた。

 栗原蓮華「うっ……くっ……!」

 電車に跳ねられたことで体はグチャグチャになり、しかも跳ねられた衝撃で、線路下の国道に落ちてしまった。
 しかし、そこを通過中の大型トラックのコンテナの上に落ちたことで、戦線離脱することになったのである。
 持ち前の回復力で、体の方は回復していく。

 蓮華「さ……さすがは愛原先生。霧生市を生き延びただけのことはある……うっ!」

 蓮華に襲い掛かる激しい頭痛。
 人間としての記憶が失われていく中、霧生市に住んでいた頃の記憶が一瞬蘇った。

 蓮華「今のは一体……」

 そして、トラックが荷捌き場のホームに到着する。
 どうやらここで、荷物の積み下ろしをするようだ。

 蓮華「…………」

 蓮華はトラックから飛び下りた。
 そして……。

 蓮華「静岡行き……か」

 荷物を積み込み中の別のトラックの中に、『静岡』と書かれたカゴ台車を見つけた。

 蓮華「これでいい」

 蓮華はそうほくそ笑むと、荷物に紛れてトラックに乗り込んだ。

 蓮華(愛原先生は必ず私が手に入れる)

[3月7日01時30分 天候:晴 東京都板橋区前野町 志村パーキングエリア]

 善場「連絡のやり取りなどがありますので、一旦ここで休憩を」
 リサ「ん……」

 深夜の首都高速。
 そこのパーキングエリアに車は止まる。
 車は病院を出た後、高島平の入口から首都高に入り、そこから都心をまずは目指している。
 リサの隣に愛原は座っていて、打撲した所に湿布などを貼っている有様だった。

 愛原「まあこんなの、BSAAの回復薬や救急スプレーでも使えば完治するレベルさ」

 とのこと。

 リサ「トイレ……」
 愛原「ああ、行ってこい」

 リサは車を降りて、建物の中に向かった。
 眠い目を擦っている。
 先に降りた高橋は、外の自販機で缶コーヒーを買っていた。
 建物の中は休憩スペースとトイレ、自販機コーナーがある。
 外にあった喫煙所も、中に移設されたようだ。
 リサは真っ直ぐトイレに向かった。
 トイレの中は明るく、しかも全部洋式だったので、リサは安心して用が足せた。

 リサ「んー……」

 ビデを使って性器を洗っていると、突然、スマホが一瞬『警報』を鳴らした。

 リサ「うっ!?」

 びっくりして立ち上がってしまった為……。

 リサ「うわっ!?」

 お湯が足にも掛かってしまった。

 リサ「あー、もうっ!」

 リサはビデを止めた。
 急いで、濡れた部分をトイレットペーパーで拭く。
 そうこうしているうちに、『警報』は『注意報』に切り替わった。

 リサ「んん?」

 BSAAが作ったアプリ。
 BOWなどが接近してくると、通知してくれる機能がある。
 何とかトイレから出たリサは、スマホの画面を確認した。
 しかし、もう警報も注意報も解除されていた。

 リサ「何だったんだろう?」

 リサはお湯が掛かって湿ったショートパンツを気にしながら、休憩所に戻った。

 リサ「先生、今のは?」

 愛原もまたスマホを持っていた。
 どうやら、愛原のアプリも通知したようである。

 愛原「分からん。かなり強力なBOWが接近してくるという警報が鳴った後、注意報に格下げされて、それから解除されたな」
 高橋「もしかしてさっき、高速を通過してったんじゃないっスか?」
 愛原「なにっ!?」
 高橋「今の通知の仕方、それっぽくないっスか?」
 愛原「あ、なるほど」

 ここはパーキングエリアである。
 ここに寄らずに本線を通過して行った車にBOWが乗っていたのであれば、そういう反応にもなるだろう。
 だがあいにくと、このアプリではどんなBOWが接近し、そして遠ざかって行ったのかまでは分からない。

 善場「皆さん!」

 そこへ善場が入って来る。

 愛原「善場主任、どうなさいました?」
 善場「今のアプリの通知、確認されたかと思います」
 愛原「はい。どうやら今は遠ざかったようですが……」
 善場「どうやら、そこの高速を車で通過した可能性があります」
 愛原「やはりそうですか」

 しかし真夜中とはいえ、そこは平日の首都高速。
 昼間より空いているというだけで、けしてガラガラというわけではない。
 深夜営業のタクシーも走っているし、高速バスも走行しているし、何より、トラックが1番多く走っている。
 どの車に、BOWが乗っていたのかまでは分からないのだ。

 善場「もしも方向が都心方面だとしたら、今すぐ出発すると鉢合わせになる恐れがあります。しばらくここで待機した後、菊川に向かおうと思いますが、如何でしょうか?」
 愛原「そうですね。そうしましょう」
 リサ「学校は……?」
 愛原「さすがにその様子じゃ、明日……いや、もう日付変わったか。今日は無理だろう。今日はゆっくり休め」
 リサ「分かった……」

 さすがに深夜ということもあり、休憩所は空いている。
 中・大型車は駐車できないので、それもあるだろう。

 リサ「夜食食べていい?」
 愛原「いいよ」

 自販機コーナーには飲み物の他に、軽食も自販機で販売している。
 リサは愛原に、紙コップの自販機からココアを買ってもらい、それから軽食の自販機からはスナック菓子とサンドイッチを買ってもらった。
 愛原や高橋はコーヒーとパンを購入する。

 善場「私は車に戻って連絡してきます。出発の時はお知らせしますので、ここで休んでいてください」
 愛原「分かりました」

 喫煙所移設に伴い、減設された丸テーブルと丸椅子に座り、ここでリサ達は出発まで軽い夜食を取ったのだった。

 愛原「蓮華は……電車に轢かれたくらいじゃ死なんよ」

 愛原がコーヒーを啜りながら、呟くように言った。

 高橋「ですよね」
 リサ「イトーエンは?死んだの?」
 高橋「あいつはな。BSAAの奴ら、容赦無ェよ」
 愛原「……だろうな」

 休憩所内は特にBGMは掛かっていない。
 外から聞こえて来る車の走行音と、空調や自販機のモーター音だけがBGMである。
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