[3月7日13時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]
予定通り、午後イチに善場主任が事務所にやってきた。
善場「昨夜は大変お疲れさまでした。愛原所長も、ケガが大したことなくて何よりです」
愛原「BSAAの回復薬、本当によく効きますね」
善場「グリーンハーブを調合したものに、レッドハーブを調合したものです。ケガによく効きますよ」
愛原「さすがは天下御免のBSAAです」
善場「それでは早速、本題に入らせて頂きたいと思います」
愛原「分かりました」
私達は事務所内の応接コーナーに移動した。
善場「まずは常盤台の伊藤家のことですが、伊藤縁の両親は、息子や栗原蓮華により食い殺されたと断定しました。また、それにより、特異菌の感染が確認できましたので、モールデッド化する前に焼却処分としました」
愛原「お葬式をする前に、もう火葬とは……」
善場「モールデッドになってしまっては、更なる被害拡大になってしまうので致し方ありません。伊藤縁に関しましては、BSAAの対処により、死亡が確認されました」
愛原「リサや蓮華は銃弾では死なないようですが、伊藤縁は死んだんですね?」
善場「まだ2人しか食人をしていないので弱いのです」
リサ「わたしは、まだ1人も食べてないけど強いよ?」
善場「あなたは特異菌だけじゃなく、Gウィルスの保有者でもあるからでしょう?そもそも考え方が違います」
リサ「あ、そうか」
Gウィルスにより増殖された心臓や脳が体内にある。
部位破壊で1つくらいそれら急所たる臓器が壊されても、用意されていたスペアがすぐに起動するので。
それでリサは死なない。
善場「それに、あなたは時々吸血しているから、全く食べていないとは言えないのよ?」
リサ「あー……」
善場「話を元に戻します。無人となった伊藤邸内は、現在も尚、BSAA日米合同隊が調査中です」
リサ「すると、レイチェルも学校を休んでいるのかな?」
善場「そうかもしれませんね。あくまでも、部隊の訓練が優先ですから。それと、東武東上線の件につきましては、特段被害はありません。強いて言うなら、上りの池袋行きの電車がレイチェルに衝突した弾みで、フロントガラスにヒビが入ったことくらいでしょうか」
愛原「レイチェルが放った光の球、下り電車の進行方向に落ちたみたいですけど、特に被害は無かったんですね」
善場「そのようです」
リサ「手から光の球を出したの!?」
愛原「そうなんだ。蓮華のヤツ、どんどん強くなっているみたいだぞ」
善場「BOWは、人を食らえば食らうほど強くなると言われています」
リサ「じゃあわたしも食べる!」
愛原「おい!」
善場「それはBSAAによる対処案件ですね。お気をつけください」
愛原「でも、どうするんですか?まさか、BSAAの手にすら負えない状態になってしまったら……」
善場「そこで、愛原公一容疑者です。何でも、公一容疑者は栗原蓮華を弱体化させる薬を作るとのこと。まだ届きませんか?」
愛原「ま、まだです」
善場「届き次第、報告してくださいね」
愛原「分かってますよ」
どうあっても、伯父さんを捕まえる気満々のようだ。
善場「噂では、“青いアンブレラ”と手を組んでいるという話もあります」
愛原「ええっ!?高野君と!?」
善場「はい。ですので、どんな情報でも良いので、手に入り次第、報告をお願いします」
愛原「分かりました」
善場「最後に栗原蓮華の行方についてですが、東海地方という所までしか申し上げることはできません」
愛原「東海地方。その根拠は?」
善場「まず、警視庁の捜査によると、栗原蓮華は東武東上線の上り電車に跳ね飛ばされた後、たまたまガード下の国道17号線新大宮バイパス下り線に落ちました。しかし、道路の上ではなく、たまたまそこを通過中のトラックの荷台に落ちたようです」
愛原「ええっ?」
善場「トラックの運転手は気づかなかったようですね。まあ、無理もありません。バスと違って、運転席……キャブとコンテナが独立したタイプでしたので、コンテナの方に何かが落ちて来ても気が付かないことはあるでしょう。そのトラックは、高島平の板橋トラックターミナル行きでした」
愛原「! それって……?」
善場「愛原所長が搬送された板橋区医師会病院の近くですね」
愛原「灯台下暗しか……」
善場「その後、蓮華は静岡方面に行くトラックに便乗したと思われます。ターミナルの防犯カメラに、彼女らしき者が写ってました。そのトラックは1時過ぎに、ターミナルを出発しています」
愛原「1時過ぎ……静岡方面行き……ん!?」
善場「気が付きましたか?」
愛原「私達が高島平の入口から首都高に乗ったとの同じように、そのトラックもそこから首都高に乗ったということは……。途中までは、私達とルートが同じなのでは?」
善場「そうですね」
愛原「志村パーキングで受信した警報は……蓮華だったんですね!」
善場「その公算は大きいと思います」
愛原「蓮華が便乗したトラックの目星は付いたんですか?」
善場「はい。特定しまして、今、静岡県内にBSAAが向かっております。場所は足柄サービスエリアです」
愛原「足柄?」
善場「はい。そのトラック運転手が足柄サービスエリアで休憩していたところ、警報が鳴ったそうです」
愛原「警報?」
善場「コンテナタイプだと、中に閉じ込められる恐れがあるじゃないですか」
愛原「ああ!あの警報!」
その為、トラックのコンテナの内側には、運転手や周囲の人間に閉じ込めを知らせるボタンまたはスイッチがある。
それを操作すると、クラクションが勝手に鳴る仕組みとなっているのである。
運転手が急いでコンテナを確認する為、後ろの扉を開けると、そこから蓮華が飛び出してきたのだという。
運転手はすぐに警察に通報したそうだが、そうしている間に蓮華は消えてしまったという。
善場「静岡県警とBSAAがサービスエリア内の防犯カメラを確認していますが、別の車両に便乗した可能性があります。ただ、足柄サービスエリアは広大で、車両の往来も引っ切り無しなので、どの車に便乗したかまでは分かっていません。下り線なので、更に静岡県を東の方向へ向かった可能性はあるのですが……」
愛原「なるほど……」
この時、わたしはふと思い出した。
愛原「確か、記憶な曖昧な鬼は、その記憶を辿ろうとする習性があると聞いたことがあります」
善場「蓮華にもそれがあると?」
愛原「分かりませんが、その可能性があるとなれば、彼女の向かおうとしている所、1つだけ心当たりがあります」
善場「それはどこですか?」
愛原「富士宮市ですよ」
善場「富士宮?」
高橋&リサ「ああ!」
高橋とリサは気づいたようだ。
リサ「前に一緒に行ったよね!まだ、蓮華が鬼斬りセンパイだった頃!」
高橋「新幹線で新富士駅まで行って、そこからレンタカーで行きましたね!あの時っスか!」
善場「なるほど。そういうことですか。可能性はありますね。分かりました。この情報、BSAAに伝えておきましょう。有益な情報でしたら、報奨金をお支払い致します」
こうして、打ち合わせは大方終了した。
予定通り、午後イチに善場主任が事務所にやってきた。
善場「昨夜は大変お疲れさまでした。愛原所長も、ケガが大したことなくて何よりです」
愛原「BSAAの回復薬、本当によく効きますね」
善場「グリーンハーブを調合したものに、レッドハーブを調合したものです。ケガによく効きますよ」
愛原「さすがは天下御免のBSAAです」
善場「それでは早速、本題に入らせて頂きたいと思います」
愛原「分かりました」
私達は事務所内の応接コーナーに移動した。
善場「まずは常盤台の伊藤家のことですが、伊藤縁の両親は、息子や栗原蓮華により食い殺されたと断定しました。また、それにより、特異菌の感染が確認できましたので、モールデッド化する前に焼却処分としました」
愛原「お葬式をする前に、もう火葬とは……」
善場「モールデッドになってしまっては、更なる被害拡大になってしまうので致し方ありません。伊藤縁に関しましては、BSAAの対処により、死亡が確認されました」
愛原「リサや蓮華は銃弾では死なないようですが、伊藤縁は死んだんですね?」
善場「まだ2人しか食人をしていないので弱いのです」
リサ「わたしは、まだ1人も食べてないけど強いよ?」
善場「あなたは特異菌だけじゃなく、Gウィルスの保有者でもあるからでしょう?そもそも考え方が違います」
リサ「あ、そうか」
Gウィルスにより増殖された心臓や脳が体内にある。
部位破壊で1つくらいそれら急所たる臓器が壊されても、用意されていたスペアがすぐに起動するので。
それでリサは死なない。
善場「それに、あなたは時々吸血しているから、全く食べていないとは言えないのよ?」
リサ「あー……」
善場「話を元に戻します。無人となった伊藤邸内は、現在も尚、BSAA日米合同隊が調査中です」
リサ「すると、レイチェルも学校を休んでいるのかな?」
善場「そうかもしれませんね。あくまでも、部隊の訓練が優先ですから。それと、東武東上線の件につきましては、特段被害はありません。強いて言うなら、上りの池袋行きの電車がレイチェルに衝突した弾みで、フロントガラスにヒビが入ったことくらいでしょうか」
愛原「レイチェルが放った光の球、下り電車の進行方向に落ちたみたいですけど、特に被害は無かったんですね」
善場「そのようです」
リサ「手から光の球を出したの!?」
愛原「そうなんだ。蓮華のヤツ、どんどん強くなっているみたいだぞ」
善場「BOWは、人を食らえば食らうほど強くなると言われています」
リサ「じゃあわたしも食べる!」
愛原「おい!」
善場「それはBSAAによる対処案件ですね。お気をつけください」
愛原「でも、どうするんですか?まさか、BSAAの手にすら負えない状態になってしまったら……」
善場「そこで、愛原公一容疑者です。何でも、公一容疑者は栗原蓮華を弱体化させる薬を作るとのこと。まだ届きませんか?」
愛原「ま、まだです」
善場「届き次第、報告してくださいね」
愛原「分かってますよ」
どうあっても、伯父さんを捕まえる気満々のようだ。
善場「噂では、“青いアンブレラ”と手を組んでいるという話もあります」
愛原「ええっ!?高野君と!?」
善場「はい。ですので、どんな情報でも良いので、手に入り次第、報告をお願いします」
愛原「分かりました」
善場「最後に栗原蓮華の行方についてですが、東海地方という所までしか申し上げることはできません」
愛原「東海地方。その根拠は?」
善場「まず、警視庁の捜査によると、栗原蓮華は東武東上線の上り電車に跳ね飛ばされた後、たまたまガード下の国道17号線新大宮バイパス下り線に落ちました。しかし、道路の上ではなく、たまたまそこを通過中のトラックの荷台に落ちたようです」
愛原「ええっ?」
善場「トラックの運転手は気づかなかったようですね。まあ、無理もありません。バスと違って、運転席……キャブとコンテナが独立したタイプでしたので、コンテナの方に何かが落ちて来ても気が付かないことはあるでしょう。そのトラックは、高島平の板橋トラックターミナル行きでした」
愛原「! それって……?」
善場「愛原所長が搬送された板橋区医師会病院の近くですね」
愛原「灯台下暗しか……」
善場「その後、蓮華は静岡方面に行くトラックに便乗したと思われます。ターミナルの防犯カメラに、彼女らしき者が写ってました。そのトラックは1時過ぎに、ターミナルを出発しています」
愛原「1時過ぎ……静岡方面行き……ん!?」
善場「気が付きましたか?」
愛原「私達が高島平の入口から首都高に乗ったとの同じように、そのトラックもそこから首都高に乗ったということは……。途中までは、私達とルートが同じなのでは?」
善場「そうですね」
愛原「志村パーキングで受信した警報は……蓮華だったんですね!」
善場「その公算は大きいと思います」
愛原「蓮華が便乗したトラックの目星は付いたんですか?」
善場「はい。特定しまして、今、静岡県内にBSAAが向かっております。場所は足柄サービスエリアです」
愛原「足柄?」
善場「はい。そのトラック運転手が足柄サービスエリアで休憩していたところ、警報が鳴ったそうです」
愛原「警報?」
善場「コンテナタイプだと、中に閉じ込められる恐れがあるじゃないですか」
愛原「ああ!あの警報!」
その為、トラックのコンテナの内側には、運転手や周囲の人間に閉じ込めを知らせるボタンまたはスイッチがある。
それを操作すると、クラクションが勝手に鳴る仕組みとなっているのである。
運転手が急いでコンテナを確認する為、後ろの扉を開けると、そこから蓮華が飛び出してきたのだという。
運転手はすぐに警察に通報したそうだが、そうしている間に蓮華は消えてしまったという。
善場「静岡県警とBSAAがサービスエリア内の防犯カメラを確認していますが、別の車両に便乗した可能性があります。ただ、足柄サービスエリアは広大で、車両の往来も引っ切り無しなので、どの車に便乗したかまでは分かっていません。下り線なので、更に静岡県を東の方向へ向かった可能性はあるのですが……」
愛原「なるほど……」
この時、わたしはふと思い出した。
愛原「確か、記憶な曖昧な鬼は、その記憶を辿ろうとする習性があると聞いたことがあります」
善場「蓮華にもそれがあると?」
愛原「分かりませんが、その可能性があるとなれば、彼女の向かおうとしている所、1つだけ心当たりがあります」
善場「それはどこですか?」
愛原「富士宮市ですよ」
善場「富士宮?」
高橋&リサ「ああ!」
高橋とリサは気づいたようだ。
リサ「前に一緒に行ったよね!まだ、蓮華が鬼斬りセンパイだった頃!」
高橋「新幹線で新富士駅まで行って、そこからレンタカーで行きましたね!あの時っスか!」
善場「なるほど。そういうことですか。可能性はありますね。分かりました。この情報、BSAAに伝えておきましょう。有益な情報でしたら、報奨金をお支払い致します」
こうして、打ち合わせは大方終了した。