報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰り道 鬼に捕まる ラーメン店」

2024-03-22 21:24:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月10日12時00分 天候:晴 東京都港区新橋2丁目 麺処直久新橋店]

 店員「いらっしゃまいせ!お客様は何名様で?」
 愛原「4人です……」
 高橋「何なら2人でもいいっスよ」
 店員「は?よ、4名様でよろしいですよね?」
 愛原「4名でお願いします」
 店員「それでは、こちらへどうぞー!」

 本当は私と高橋、2人の予定だったのだが、すっかり忘れていた。
 リサと昼食の約束をしていたことを。

 リサ「2人じゃないでしょ!」

 ゲシッ!(リサ、高橋に軽く蹴りを入れる)

 高橋「いってーな!何すんだよ!?」
 愛原「騒ぐな」
 リサ「だってよ?」
 高橋「オメーのせいだろうが!」

 デイライトの事務所を出て新橋駅地下のラーメン店に向かっていると、駅の方から見覚えのある2人の女子高生とエンカウントした。
 1人は言わずもがなリサであり、もう1人はレイチェルだった。
 今は人間に化けている鬼型BOWのリサと、本来はそれを退治する側のBSAA養成員のレイチェル。
 リサは私が昼食の約束を忘れていることを先に想定し、学校が午前中に終わると、レイチェルを連れて上野から新橋まで飛んできたようである。
 まあ、上野東京ラインに乗れれば、本当にすぐなので。
 空いているテーブル席に案内される。

 リサ「忘れていた罰として、先生とお兄ちゃんの奢りー!」
 高橋「何でだよ!?」
 愛原「あー、まあ、いいから。それで機嫌直してくれよ」
 リサ「いいよ!」
 高橋「タダ飯食えりゃいいだけだろうが!」

 尚、店は食券制なので、先に食券を買って店員に渡している。
 日本語のメニュー、レイチェルは大丈夫かなと思ったが、何とか買えたようだ。
 いや、リサの言う通り、料金は私が払ったのだが。

 愛原「レイチェルはラーメンは初めて食べる?」
 レイチェル「本格的に、こういう店に入って食べるのは初めてです。カップに入ったインスタント麺なら、訓練中に食べたことがあります」
 愛原「なるほど。カップヌードルかな?あれは世界に輸出されてるからねぇ……」
 レイチェル「本場は料金も安くていいですね」
 愛原「ん?」
 レイチェル「アメリカだと、何倍もの値段ですよ」
 愛原「え?ラーメンが?」
 レイチェル「はい」

 今やリサが注文したチャーシュー麺のように、ラーメンの値段が4桁になるような値上げの時代であるが、アメリカでは既に日本円で4桁が当たり前のようである。

 高橋「先生。アメリカじゃ、ビッグマックのセットが日本円で3000円だそうです」
 愛原「ウソぉ!?」
 レイチェル「確かに、それくらいかな……」
 リサ「鉄道好きの先生に、1つ豆知識」
 愛原「何だ?」
 リサ「地理の授業で習ったんだけど、ニューヨークの地下鉄の運転手さんの年収って900万円なんだって」
 愛原「900万!?俺の今の収入より高いじゃねーか!」
 レイチェル「いえいえ、安年俸にも程があります。その日本円を今のアメリカドルに換算しても、お年寄りの年金にも満たないですよ?」
 愛原「地下鉄の運転士の給料、年寄の年金より安いの!?」

 ラーメンが高級料理なわけだ。

 愛原「『失われた30年』はデカいな」
 高橋「デカいですねぇ……」
 レイチェル「日本は物価が安くていいですね」
 愛原「そりゃどうも」

 しばらくして、ラーメンが運ばれてくる。
 リサのを覗けば、3桁の日本円で食べられる、世界では珍しい高級料理である。

 レイチェル「私でもニューヨークみたいな、あんな大き過ぎる街には1人で住めないですよ。BSAAが世話してくれるから、できることです」
 愛原「ふーん……」

 費用のことらしい。
 家賃が高過ぎるので、よほどの富裕層でないとアパートすら借りれないという。
 なので、多くの学生はルームシェアで住んでいるのだとか。
 BSAA北米支部はニューヨークにあるらしいが、レイチェルも養成学校の寮には1人で住んでいなかったという。
 現在は1人暮らし。

 愛原「養成学校に入ったのに、長期留学で良かったかい?」
 レイチェル「はい。私はラッキーでした。何せ、応募が殺到していましたから」
 愛原「ほお……」
 レイチェル「ナマで安全なBOWを直に見る機会なんて、そうそう無いですから」
 リサ「ヒトを見世物みたいに……」
 高橋「檻から出して大丈夫なのか?」
 リサ「がぁっ!」
 愛原「ははは……。戦闘訓練は?」
 レイチェル「米軍基地でやらせてもらっています。他にも北米支部の隊員が出向しているので、色々と」

 レイチェルの立場は極東支部日本地区本部隊預かりとなっている為、自衛隊の駐屯地近くに住んでいる。

 愛原「デイライトから話があったと思うが、リサを政府機関の研究施設へ運ぶ任務、よろしくな?」
 レイチェル「はい、それはもう。明日は基地にて、専門の訓練を受ける予定です」

 レイチェルは毎週土曜日は学校を休んでいる。
 その代わり、その日は米軍基地にてBSAA北米支部派遣隊と合流し、戦闘訓練を受けているという。

 愛原「専門の訓練って何だ?」
 レイチェル「それけは機密事項ですので、お話しできません。まあ、リサのような強いBOWとどのように戦うかの訓練だと思ってください」
 愛原「なるほど」
 リサ「ふーん……」
 レイチェル「何ですか?」
 リサ「何でもなーい。……うん、このチャーシュー美味しい!」
 愛原「そりゃあ良かった。……安全の為に、前日に出発するという話も聞いているな?」
 レイチェル「はい、聞いています。準備は万端に揃えてきます」
 高橋「ロケランも忘れるなよ?」
 愛原「こら、高橋」
 レイチェル「ロケットランチャー……リサには必要ですかね。一応、本隊に持ち出し可能か確認してみます」
 愛原「せんでいい。軍隊から持ち出し可能だったとしても、電車内に持ち込みは禁止だから」
 リサ「ロケットランチャーか……。さすがに直に食らったら、わたしはしばらく動けないかも……」
 高橋「死なねーのかよw」
 リサ「どうだろう?」

 余裕のリサを見ていて、オリジナルのリサ・トレヴァーは本当に死んだのだろうかと首を傾げたくなった。
 リサ・トレヴァーはアンブレラの研究施設の大爆発に巻き込まれた上、その後、ラクーンシティ自体も核ミサイルが撃ち込まれたということから、生きていないとされているだけだ。
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“私立探偵 愛原学” 「報告会」

2024-03-22 14:45:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月10日10時00分 天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 私と高橋は報告書を持って、善場主任を訪ねた。

 善場「先日はお疲れ様でした」
 愛原「恐れ入ります。こちら、報告書になります」
 善場「お預かりします」
 愛原「あと……こちらは、今回の業務で発生しました経費もろもろの書類です」
 善場「お預かりします」

 提出するのは報告書だけでなく、交通費や宿泊費などの経費の請求書もある。
 会議室に通され、そこで報告会が行われた。
 そこでは色々な話が行われたが、栗原蓮華の今後については、BSAAが集中的に対処に当たるということになった。
 さすがに民間の探偵業者が捕えたBOWをせっかく引き渡されたのに、逃がしてしまったという大失態をしでかしてしまったことから、意地でも挽回したいのだろう。
 目撃情報では蓮華は人間だった頃の記憶が戻ったのか、それまで信仰していた宗派の大石寺の境内前にて読経していたことから、またそこに現れる可能性が高いと見られ、大石寺近辺を集中して警戒に当たるとのことである。
 そこにもう民間人の介入は有り得ないとされ、私達は御役御免となった。
 但し、大石寺周辺以外の場所で目撃した場合などは、引き続きデイライトに通報よろしくとのことだった。

 善場「それと、愛原公一容疑者から何か連絡があったとお伺いしましたが?」
 愛原「あ、はい」
 善場「こちらの情報によれば、公一容疑者は、“青いアンブレラ”と共に行動をしているとのこと。隠し立てすると、所長のお立場も危うくなりますよ?」
 高橋「おいおい、ねーちゃん!そんな、カツアゲみてーなこと言わなくても、先生はちゃんと話すぜ。ですよね、先生?」
 愛原「もちろんです。実は昨日、海老名サービスエリアで休憩中に、公一伯父さんから電話がありまして、要約しますと、『栗原蓮華は他にも人間を鬼にしている恐れがある』『BSAAが回収漏れを起こしている恐れがある』ので、注意せよという内容です」
 善場「……やはり、“青いアンブレラ”はテロ組織のようですね。BSAAの機密情報を得た上、それを愛原所長に漏らすとは……」
 愛原「ということは、伯父さんの言っていたことは本当なんですか?」
 善場「残念ながら本当です。ただ、栗原蓮華に噛まれたことでBOW化したのであれば、やはり大元同様、夜しか行動できない可能性があります」
 愛原「なるほど」
 善場「当然ながら、BSAAが対処に当たっていますが、もしかしたら、所長方に依頼させて頂く機会もあるかもしれません」
 愛原「こちらにはリサもいますし、御依頼頂ければ、協力は惜しみませんよ」
 善場「頼もしいお言葉です」
 愛原「因みにBSAAが取りこぼしたBOWの数と場所、目星はあるんですか?」
 善場「それが、具体的にはまだです。被害があった場所を調査することにより、おおかたの予測を立てるのが現状です」
 愛原「それは厳しいですね」

 特異菌しか保有していない蓮華と、Gウィルスも保有しているリサとでは、リサの方が上のような気がする。
 蓮華に噛まれて鬼化した元人間がどれだけいるのかは不明だが、そこまで強くないような気がした。
 適合しなかった場合は死亡するし、半分だけ適合すると、モールデッドのようなザコクリーチャーになる。
 また、特異菌に耐性があったとしても、別の化け物に変化するだけなので、感染するともう地獄しか無いのである。
 そして、適合すると鬼化する。
 ……あれ?

 愛原「善場主任、ちょっと質問しても?」
 善場「はい、どうぞ」
 愛原「蓮華って、特異菌しか保有してないんですか?それだとエブリンと同じということになりますが、その割には、何か違うような気がするんですが……」
 善場「お気づきですか?」
 愛原「はい。特異菌だけで鬼化はしない気がします」

 初期のリサのようにGウィルスとTウィルス、現在のようにGウィルスと特異菌のように、2つ以上の生物兵器ウィルスなどが混合するのが特徴である。

 善場「その通りです。奥日光の事件の際、栗原蓮華に投与された薬剤が最大の要因ですね。リサの血液と何かの製剤を混合させた物を投与されたわけですが、それを解析しないことには詳しいことは分かりません」

 リサの血が原因か。
 ただ、血液だけではGウィルスには感染しない。
 Gウィルスは名前こそウィルスだが、実際には1つの生物だと思えば良い。
 繫殖する為には、胚を別の生物に植え付ける必要がある。
 そこで育った胚が幼体となり、そこから更に成体になることで、G生物の出来上がりである。
 リサが人間の姿を保っていられたのは、Tウィルスとのバランス、そして現在は特異菌とのバランスのおかげであるという。

 愛原「リサの血液だけでも、鬼化する何かがありそうですね」
 善場「リサには不用意に噛み付かないよう、伝えておいてください」
 愛原「もちろんです」

 因みに私は抗体を持っているので、リサに噛まれても平気。
 以前、怒ったリサに噛み付かれたことがあったが、まあ、このように平気だ。
 それから話は、今月下旬のことに変わる。

 善場「藤野入りの予定は、今のところ変わりません」
 愛原「了解です。既に前泊のホテルは、押さえてあります」
 善場「当日はBSAAの護衛も付くのですね?」
 愛原「はい。養成学校からの留学生、レイチェルが同行します。彼女はリサとも仲良くやっていますし、表向きにもBSAA関係者の警備ありということにできますから、問題は無いかと」
 善場「かしこまりました。改めてBSAA側には確認を取りますが、支障が無いとの判断であれば、それで参りましょう」
 愛原「はい、よろしくお願いします」
 善場「今回の件に関する報酬は、後ほど振り込ませて頂きます。ありがとうございました」
 愛原「こちらこそ、また宜しくお願い致します」

 これで、報告会が終わった。
 今後のことを話しているうちに、デイライトの事務所を出るのは昼前となった。

 高橋「先生、ついでに昼飯でも食って帰りますか?」
 愛原「そうだな。ちょっと今日も冷えるし、ラーメンでも食って帰るか」
 高橋「この近くに、美味い店知ってるんで」
 愛原「おっ、そうか」

 私と高橋は、昼食を取ってから事務所へ帰所した。
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