報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「シャム双生児風クリーチャーとの戦い」

2024-03-12 20:25:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月8日17時00分 天候:晴 静岡県沼津市某所 旧・日本アンブレラ沼津保養センター]

 ヘリコプターが墜落したことで、正門が塞がれてしまった。
 よりによってヘリコプターがそこに墜落したものだから、脱出困難となってしまったのである。
 私達は薄暗い館内への屋内退避を余儀無くされた。

 化け物「待ぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇ!」「たぁぁぁぁぁすぅぅぅぅぅけぇぇぇぇぇてぇぇぇぇぇぇ!」

 人間の右半身と左半身を繋ぎ合わせた上、手足の太さもてんでバラバラになり、また、体型も力士を2人繋ぎ合わせたくらいの巨体の化け物。
 元々はあんな体型ではなかっただろうに、現在進行形で変化を続けているようだ。
 そんな人間2人分の巨体が突進したら、いくら頑丈な正面入口のガラス扉も簡単に破られてしまって当然だった。

 愛原「こっちだ!」

 私達は階段を上がらず、フロント脇の通路を通り抜けた。
 そして、観音開きの扉を開ける。
 その先は、椅子やテーブルが整然と並べられていることから、大食堂のようであった。
 実際、その奥に厨房らしきものもある。
 私と高橋はここに飛び込むと、扉を閉めて内鍵を閉めた。
 もちろん、それだけでは突進で破られる恐れがある。
 扉は重厚なデザインとはいえ、木製だからだ。

 愛原「高橋!椅子とテーブルをここへ!」
 高橋「はい!」

 私達は椅子とテーブルをいくつか持って来て、ドアの前に山のように重ね、少しでも侵入されまいと努力した。
 BSAAのヘリが墜落したことは、既に地区本部などに伝わっているはずである。
 すぐに救援部隊が来てくれるはずだった。

 愛原「厨房なら、もしかしたら勝手口があるかもしれない!」
 高橋「そ、そうですね!」

 ドォン!

 愛原「うわ!?」

 その時、大食堂入口の扉が大きな音を立てた。
 化け物に追い付かれたのだ。

 化け物「ここかぁぁぁぁぁぁ!?」「俺は人間だぁぁぁぁぁあ!」

 それぞれの人間の口から、好き勝手なことを喋っている。
 更に、ドォン!とまた大きな衝撃。
 このままでは、あの扉が破られてしまう。

 化け物「開けろぉぉぉぉぉぉ!!」「腹減ったぁぁぁぁぁぁぁ!」
 愛原「高橋、厨房へ逃げるぞ!」
 高橋「はい!」

 厨房へのドアは施錠されていたが……。

 高橋「シリンダー錠なら、俺がピッキングします!」
 愛原「凄ェな」

 高橋はキーピック取り出した。
 もう館内は日暮れが迫っている為、場所によっては真っ暗な所がある。
 私はマグライトでドアノブを照らした。
 そうしている間にも、背後からはドアが大きな音を立てている。
 案外、丈夫なドアのようだ。

 高橋「開きました!」
 愛原「早っ!」

 私達は厨房に駆け込んだ。
 ホールの方は整然としていたのに、厨房の方は逆に散らかっている。
 何故か中身のあるプロパンガスのボンベも何個か置かれているくらいだ。

 愛原「あった!勝手口!」
 高橋「おおっ!」

 あそこから脱出し、裏門とか、通用門とかから脱出することを私は考えていた。
 取りあえず、ここから退避しなければ!

 高橋「先生!ドアノブが針金でギチギチに巻かれています!」
 愛原「マジか!こんなこともあろうかと、ペンチを持って来ている!」
 高橋「さすがです!」

 私はペンチで針金を切った。
 しかし鍵は内鍵ではなく、鍵穴のあるタイプ。
 しかも、鍵まで掛かっていた。

 愛原「高橋!またピッキング頼む!」
 高橋「は、はい!」

 高橋は再びキーピックでもってピッキングを開始した。
 その時、ホールの方から今までとは違う大きな音がした。
 カウンターから覗いてみると、化け物がついにドアを破って大食堂内に侵入していた。

 愛原「急げ!早くしろ!間に合わんぞ!」
 高橋「そ、そんなこと言ったって……!」

 今度の鍵はシリンダー錠ではない為、少し時間が掛かっているようだ。

 化け物「そぉこかぁぁぁぁぁぁ!?」「見ぃぃぃぃぃつけたぁぁぁぁぁぁぁ!」
 愛原「やべっ、見つかった!」

 その時、ドアからカチッという音がした。

 高橋「先生、開きました!」
 愛原「よし、脱出だ!」

 私はドアを開けた。

 化け物「まぁぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇ!」「俺のォォォォォォォ!御馳走ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 このままでは、また結局追われるだけだ。
 何とか、この少ない弾薬であいつを倒すには……。

 愛原「肉の一齧りだってさせるか!」

 私はショットガンでガスボンベを撃ち抜いた。

 愛原「伏せろ!」
 高橋「わぁっ!!」

 大きな爆発音が起きる。
 ガスボンベが爆発したのだ。

 化け物「ぎゃああああああああああっ!!」「ぅあああああああああああああっ!!」

 化け物の断末魔がこだまする。
 それどころか、建物自体が崩れ始めた。

 愛原「建物から離れるぞ!」
 高橋「は、はい!!」

 駐車場に戻ると、ガス爆発の破片がクラウンにも降り注いでガラスが割れたり、ボディがベッコリ凹んでいたが、そこから少し離れて止めていた私達の車は無事だ。
 上空にはヘリコプターが旋回し、敷地の外からは消防車のサイレンが響いていた。

 愛原「他の門から出よう!」
 高橋「はい!」

 私は車に飛び乗った。
 そして、急いで車を出す。

 高橋「先生も無茶されますね!」
 愛原「化け物を倒すには、あれしか方法が無かっただろ!」
 高橋「確かに!」

 裏門は閉じられていた。
 閂には南京錠付きのチェーンが巻かれていたが、チェーンカッターを使ってチェーンを切断し、それかから閂を開けた。

 愛原「脱出だ!」
 高橋「おおーっ!」

 公道に出て少し走り、道が広くなった所で路肩に車を止める。
 それから私は、善場主任に電話で報告した。

 善場「モールデッドと、新種のクリーチャーを退治してくださったのですか!?それはありがとうございます。あまり、無茶はされないでくださいね」
 愛原「すいません。ただ、栗原蓮華と会うできませんでした」

 あの建物の中に潜んでいたのなら、ガス爆発に巻き込まれて死んだだろうか?
 いや、さすがにそんなことはないか。
 建物は半壊程度のダメージだろう。
 とっくに別の場所に移動したと思われる。

 善場「それは仕方ありません。実は墜落したBSAAのヘリコプターは、既に栗原蓮華の位置情報を捕捉して出動するところでした。その途中でクリーチャーの反応があったので、寄ってみたようです」
 愛原「あれ?もしかして、私達のせいですかね……」
 善場「違いますよ。それは気になさらないでください。それより、所長方にもう1つだけお願いしてもよろしいでしょうか?」
 愛原「結構ですよ」
 善場「これから向かって頂きたい場所があります」
 愛原「それは……」

 私は善場主任から、次なる行先を聞いた。
 それを聞いた時、やはりと思ったのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする