報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「寝坊の愛原リサ」

2024-03-30 20:45:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日22時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 夕食後、リサは愛原とホラー邦画のDVDを観ていた。
 3時間もある大長編で、ようやくクライマックスになろうとしていた時だった。

 〔「阪上ィ!お前も殺人俱楽部に入らないかぁ?嫌なヤツを殺せて、楽しいぞォ~?」「お断りだよ、樋野。僕はお前達のような殺人鬼になるつもりはない」「ヒャーッハハハハッ!そいつァ残念だ!残念ながら、殺人倶楽部は俺の代で終わりだな!それじゃ、早速死んでくれ!先に死んだ6人のメンバーと、とばっちりで死んだ宿直の先生殺しの犯人になってくれ!」〕

 燃え盛る木造の旧校舎。
 殺人倶楽部の部長、樋野隆夫が放火したのだ。
 主人公の阪上に向かって血染めのナイフを振りかざして行くが、旧校舎が崩れ落ちて、樋野の上に落ちてくる。

〔「さようなら、樋野。地獄で皆に詫びるんだな」〕

 主人公、非常口から外に脱出。
 近所の住民が通報したか、けたたましい消防車のサイレンが鳴り響く中、主人公は満点の星空の下、校庭に倒れ込む。

〔「終わった。これで僕の、恐怖の一夜は終わったんだ。この学校には、お化けも幽霊もいなかった。いたのは、7人の殺人鬼だけだった。僕は……勝ったんだ。あの、殺人倶楽部という狂気の殺人鬼集団に」〕

 リサ「おー……」

 リサはパチパチと拍手をした。

 愛原「東京中央学園は白井伝三郎によるバイオハザードだったが、映画の成神学園は殺人倶楽部だったか……」

 幽霊やお化けが登場する“学校の怪談”と違い、あえてそれらの存在を否定し、本当に恐ろしいのは狂気に満ちた生きている人間だということである。

 リサ「わたしなら、1人で殺人倶楽部潰せる」
 愛原「そりゃそうだろうな。ややもすると、『魔王軍』が既に殺人倶楽部……」
 リサ「先生が命令してくれたら、そうするよ?」
 愛原「『殺人、ダメ!ゼッタイ!』」
 リサ「はーい」
 愛原「さて、そろそろ深夜帯に入る頃だし、風呂に入るか」
 リサ「一緒に入ろー」
 愛原「何でそうなる?お前、明日学校なんだからさっさと1人で入ってもう寝ろ」
 リサ「ちぇっ……」

 

 体操服にブルマ姿のリサは、ソファから立ち上がった。

 

 そして、ブルマのお尻の食い込みを直して、まずは自分の部屋に向かったのだった。
 そういえば映画は、90年代の首都圏にある私立高校が舞台なのだった。
 そこでも体育のシーンでは、体操服にブルマを穿いた女子生徒が出て来たし、プールであった怖い話では、旧型スク水を着た女子生徒も出て来ていた。
 ホラー映画にお色気は付き物であるからして、この映画ではスク水とブルマがそうだったのだろう。

[期日不明 時刻不明(深夜帯) 天候:雨ではない リサの部屋]

 リサが部屋で寝ていると、誰かが部屋に入って来るのが分かった。
 そして、真っ直ぐにリサのベッドに向かって来る。
 鬼型BOWのリサは、既にそれが誰かが分かった。
 匂いで分かる。
 この体臭は、愛原だ。
 きっと、自分の所に夜這いに来てくれたのだろう。
 リサの実父と思われる上野医師が生前、旅日記を付けていて、それがどんな内容なのか、リサは知ることができた。
 1970年代、リサの母親と別れた上野医師は、夜這いの習慣の残る南東北の山奥の村に落ち延びた。
 そこで夜這いを通じ、村の女性と束の間の夫婦生活を送ることになる(無医村だったので、例えワケありで旅をしている状態であっても、村に医者を居着かせたいという村長の思惑があったらしい)。
 その村で夜這いを行う時、どのようにするのかも上野医師は詳しく書き残している。
 もっとも、それから半世紀も経った現在、とっくにその夜這いの習慣は廃れているようだが。

[3月13日07時00分 天候:晴 愛原家4階リサの部屋]

 リサ「デヘヘヘ……。ブルマも体操服も切り裂いちゃうのォ……?先生、ヘンタイ……
 愛原「何言ってるんだ!早く起きろ!!」

 スパーン!(愛原、丸めた新聞紙でリサの頭を引っ叩く)

 リサ「あたぁ!?」
 愛原「遅刻するぞ!早く起きろ!」
 リサ「わあっ!」

 リサは飛び起きた。

[同日08時25分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・正門]

 予鈴のチャイムが鳴り響く。
 生活指導の学年主任は、警備員と一緒に、正門の扉を閉めた。

 学年主任「お前達は遅刻だ!」
 男子生徒A「えーっ!まだ30秒過ぎただけっスよ!?」
 女子生徒「横暴だ!オーボー!」
 学年主任「またお前らか!さっさと生徒手帳出せ!」
 男子生徒B「あのバカップル、また遅刻かよw」

 ところが、その校門をバッと跳び越える者がいた。
 門外の男女生徒、そして門内の学年主任が上を見上げると、ちょうどリサが真上を跳び越えるところであった。
 グレーのスカートの下に穿いている、緑色のブルマがよく見えた。
 そして、リサとスタッと門内に着地する。

 リサ「おはよーございまーす!!」
 学年主任「待たんか、こら!校門を跳び越えるなと、前にも言っただろうが!!」
 リサ「ゴメンナサーイ!」
 体育教師(女子陸上部顧問)「うーむ……うちの部員に欲しい」
 上野凛「NPO法人デイライトからの通達で、リサ先輩は特定の部に所属してはいけないことになっています、先生」
 女子生徒「さすがは魔王様……」
 男子生徒A「あれがウワサの『魔王軍』の魔王様なの!?スッゲェ……!」
 学年主任「いいから出せ、生徒手帳!」
 男子生徒A「先生!魔王様?はいいんですか!?」
 学年主任「見逃して欲しかったら、お前達も校門跳び越えてみろ!」
 女子生徒「いや……無理っス」

[同日08時30分 天候:晴 同高校2階・2年5組]

 坂上「おっ、愛原!」
 リサ「あっ、先生……!」

 教室の前で、担任の坂上修一と鉢合わせになる。

 リサ「お、オハヨーゴザイマス……」
 坂上「今日は遅いな?」
 リサ「ちょっと寝坊しちゃって……。廊下に立ってた方がいいですか?」
 坂上「昭和か!w いいから、俺より先に教室に入れ。今日だけは大目に見てやる!」
 リサ「さすがは坂上先生!」

 リサは急いで教室に入った。

 淀橋「あれ?魔王様?」
 リサ「ギリ間に合ったー!」
 小島「今日は遅いねー?」
 リサ「ちょっと、寝坊しちゃって……」
 小島「あらま、珍しい!」

 そこへ坂上も入る。

 坂上「おはよう!ホームルーム始めるぞ!」
 日直「きりーつ!」

 こうして、今日もリサの学校生活が始まる。
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