報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤からのメッセージ」

2025-01-06 21:43:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月19日11時00分 天候:曇 宮城県柴田郡川崎町某所 プレハブ小屋]

 レッドC「……クリア」
 レッドD「……クリア」

 私はプレハブ小屋から外に出ると、BSAAが設営したテントの中にいた。
 そこが臨時の本部になっていて、そこでBSAA隊長と私がモニタを見ていた。
 モニタには、プレハブ小屋の地下に潜ったBSAA隊員2名(コードネームは『レッドC』と『レッドD』)が付けているボディカメラからの映像が映し出されている。
 梯子を降りると、そこは素掘りの洞窟だった。
 しかし、仮設の照明が所々に設置されていて、その蛍光灯が点灯している。
 クランク状の通路があって、その先に1枚のドアがあった。
 それは鉄扉であったが、何故か外れて地面に落ちており、ドアの枠も歪んでいる。
 誰かにブチ破れたかのようだった。
 やはりここには化け物が潜んでいて、そいつがそうしたのだろうか。
 私がBSAA隊長にそれを伝えると、隊長はすぐに無線機のマイクを取って、隊員2名に注意を促した。

 BSAA隊長「DAの情報によると、クリーチャーまたはBOWが潜んでいる可能性がある。十分注意して探索に当たれ」

 地下でも無線は入るようで、すぐに隊員2名からの応答があった。
 その敗れた扉の先も素掘りの洞窟になっていて、所々照明が点灯している。
 一体、電源はどこから取っているのだろうか?
 通路の突き当りは丁字路になっていて、左は崩れている。
 しかし、右側にはまたもや鉄扉があった。
 こちらの扉は何のダメージも受けていない。
 よく見ると、このプレハブ小屋の入口と同様、電子ロックが掛かっているようだった。
 そして、それはカードキーで開けるタイプ。
 読取機は、小屋入口にある物と酷似していた。
 そこでまた、このプラチナカードの出番らしい。

 愛原「私が行きましょうか?」
 BSAA隊長「お願いします。少なくとも、その扉の手前までは安全が確保されています」
 愛原「そのようですね」

 崩れた左側の通路には何があったのかは知らないが、化け物はそっちからやってきて、暴れた時に壁やら天井やらを崩したせいなのかもしれない。

 BSAA隊長「HQからレッドCとレッドD。これよりDAがそちらに向かう。安全を確保して、待機せよ」

 私は一応ショットガンを持つと、それを背中に背負って梯子を下りた。
 だが、そこで事故が起きる。

 愛原「うわっ!」

 梯子は木製だったが、どうもそれ自体は古いものだったらしく、途中で折れてしまった。
 それで私は、途中から下に落ちてしまった。

 愛原「いでっ!」

 背中から落ちたものだから、背中に背負ったショットガンがまともに当たってしばらく起き上がれなかった。

 レッドC「何だ今の音は!?」
 レッドD「あっ、DAだ!大丈夫ですか!?」

 大きな音を聞きつけて駆け付けた隊員2名によって、何とか起こされる。
 幸いショットガンは安全装置を付けていたので暴発することはなく、また、折れたりしていることもなかった。

 愛原「いててて……!エラい目に遭った……」
 レッドD「あっ、梯子が!」
 レッドC「レッドCからHQ!事故発生!梯子が損壊!下降中のDAが転落した!」
 BSAA隊長「状況を詳しく報告せよ!」
 レッドD「愛原さん、お怪我は!?」
 愛原「と、取りあえず……大丈夫です」
 レッドC「レッドCからHQ!DAにケガは無いもよう!だが、梯子の損壊により帰隊困難となった!対策を願いたい!」
 BSAA隊長「了解!縄梯子を用意する!事故にも十分に注意して探索に当たれ!」

 何とか痛みが治まったところで、私達は奥の扉へと進んだ。

 愛原「これですね」

 早速、手持ちのプラチナカードを読み取らせる。
 案の定、開けることができた。
 ドアを開け、2人の隊員がショットガンを構えながら中に入る。

 レッドC「……クリア!」
 レッドD「……クリア!」

 どうやら、こちらの部屋には誰もいないらしい。

 レッドC「……愛原さん、大丈夫です」
 愛原「はい」

 私は言われて、ドアの奥に進んだ。
 すると、そこは部屋になっていた。
 それ以上、奥には進めないらしい。

 愛原「テレビモニターがある」

 部屋は小さな事務室のような造りになっていた。
 隊員達は何か手掛かりになるようなものは無いかと、机の引き出しやキャビネットの引き出しを開けたりしている。
 壁際の机の上にはテレビがあり、その下にビデオデッキがあった。
 未だにVHSタイプのデッキである。
 その机の下には、金庫があった。
 その金庫もまた、カードキーで開けるタイプ。
 かなり、厳重だ。
 私はプラチナカードで金庫を開けた。
 その中には、1本のビデオテープが入っていた。

 愛原「これを再生してみましょう」

 私はそれをビデオデッキの中に入れて、再生ボタンを押した。

 斉藤秀樹「やあ」
 愛原「あっ!」

 そこにはやはり、斉藤元社長が映っていた。

 斉藤「ようこそ、真実へ。愛原学さん」
 愛原「真実!?」
 斉藤「まずは、報酬をお渡ししましょう。このテープが入っていた金庫の引き出しの中を見てみてください」
 愛原「んん?」

 私はもう1度金庫の中を見てみた。
 すると、その中に金のインゴットが入っていた。

 愛原「これは……」
 斉藤「今の日本の金相場なら、そのサイズで500万円は下らないかと」
 愛原「高ッ!高過ぎる!」

 そういえば、栗原家で拾得し、デイライトに押収されたあのインゴットはどうなったのだろう?

 斉藤「私の仕事の依頼は1つ。『五十嵐邸の探索』です。御存知の通り、日本アンブレラの社長は五十嵐皓貴でした。私もそうでしたが、彼もまた隠し別荘を所有していたのです。私共の調査によると、実は愛原さんが昔に探索している可能性があることが分かったのです。場所は長野県北安曇郡白馬村……」
 愛原「うっ!」

 その時、私の頭に激しい頭痛とフラッシュバッグが起きた。

 斉藤「……ところが、違ったようです。いや、愛原さんが探索した時は、そこにあったのでしょう。しかし私が探偵協会の役員に就任し、早速別の探偵を向かわせたところ、何と取り壊しされていました。こちらの調査では、どうやら移転したようです。移転先は判明しています。愛原さんには、そこを探査して頂きたいのです。そのインゴットを換金してください。それを報酬と致します。どうか、頼みましたよ。……あ、そうそう。移転先ですが、あなたの助手が知っています。聞いてみると、いいでしょう。それでは……」

 ここで映像は途切れた。

 レッドC「レッドCからHQ!斉藤秀樹のビデオレターを発見した。また、彼が用意したと思われる金塊も発見!」
 BSAA隊長「よくやった。証拠品は全て回収し、本隊へ帰隊せよ」
 レッドC「了解!」
 レッドD「ここにはもう何も無さそうだ。早いとこ、帰隊しよう。……愛原さん、どうしました?」
 愛原「えっ?ああ……」
 レッドC「早く戻りますよ!」
 愛原「あ、はい」

 ボーッとしてしまった。
 私は隊員達に続いて、地上へと戻ることにした。
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“私立探偵 愛原学” 「真相に近づく」

2025-01-06 15:18:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月19日08時30分 天候:曇 宮城県仙台市青葉区 JR仙台駅・新幹線乗り場]

 仙台駅で新幹線を降りた私は、やかましいホームより、待合室の方に移動してから善場係長に掛け直した。

 愛原「おはようございます。愛原です」
 善場「愛原所長、おはようございます。今、仙台駅ですね?」
 愛原「そうです!これから、レンタカーを借りて、現地に向かうところです」
 善場「かしこまりました。夢の話のことですが、恐らく所長の脳内から取り出されたチップと関係しているもようです」
 愛原「それはどういうことですか?」
 善場「解析内容は機密ですので詳しくは話せませんが、実はその中に、長野県の日本アンブレラ関係者のデータが入っておりまして……」
 愛原「ええっ!?」
 善場「日本アンブレラも、日本各地に研究施設を造っており、霧生市が最も規模の大きい施設だったわけですが……」

 東京にあったのは本社であり、研究施設ではない。

 善場「長野県には、日本アンブレラの研究施設はおろか、保養施設もあったようなのです。さながら、ラクーンシティ郊外の洋館のようにです」
 愛原「ホントですか……」

 まさか、私はそんな所に行ったのではないだろうな?」

 善場「まだ解析は全て終わっていないので、まずは川崎町の例の場所に向かってください。BSAAもそこに向かっているそうですから」
 愛原「分かりました」

 私は電話を切った。
 アンブレラの研究所は、霧生市だけではないというのは知っていたが、まさか……。

[同日09時50分 天候:曇 宮城県柴田郡川崎町 ファミリーマート宮城川崎インター店]

 駅レンタカーで現地に向かう。
 借りたのはトールワゴンタイプの軽自動車。
 荷物も私1人分だけなので、特に大きな車である必要はない。
 それで国道48号線に向かい、仙台西道路を通って、仙台宮城インターから東北自動車道に入る。
 東北自動車道の上り線を走行すると、途中で山形自動車道に入る村田ジャンクションに差し掛かる。
 そこから山形自動車道に入って、少し走ると、宮城川崎インターに到着する。
 そこから一般道に下りると、国道286号線(川崎バイパス)や県道14号線(旧国道286号線)との交差点に着く。
 その左角にはコンビニがあるので、そこで小休止を挟むことにした。
 現地に向かうルートで、最後のコンビニである。
 そこでトイレを借りたり、飲み物を買ったりした。

[同日10時30分 天候:曇 同町某所 調査地点]

 国道から外れて林道を進む。
 林道は舗装されておらず、砂利道が続く。
 だが、車の往来はあるようで、車道には轍の跡がくっきり残っているし、開けた場所では釣り客の車が止まっているのが見えた。
 その林道を更に進んで行くと、何故か臨時のゲートがあった。
 『BSAA』と書かれたジープやトラックが道を塞いでいる。
 釣りポイントはこの先には無いので、他に車は無いのだが……。

 愛原「東京の探偵の愛原です。デイライト東京事務所から委託を受けている者です」

 降りて来た迷彩服姿の男達にそう名乗ると……。

 BSAA隊員A「おー、やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
 BSAA隊員B「ΩチームからHQ、『DA』が現れた。現地に案内する」

 1人は無線で本部に連絡を入れた。
 DAとは私の事らしい。
 探偵を英語でディテクティブ、Aは愛原のAか。

 BSAA隊員B「……了解。それじゃ愛原さん、現地に案内するので、車はここで降りてください。ここから先は、この車で案内します」
 愛原「分かりました」

 私は車をトラックの横に駐車した。
 そして、ハッチを開けて荷物を降ろす。

 BSAA隊員B「いいショットガンですね」
 愛原「ここは前に化け物が出た場所ですから」
 BSAA隊員B「化け物なら、我々で倒しましたよ。……前の話ですけどね」
 愛原「今は出ますか?」
 BSAA隊員B「今は出ません。ただ、不思議な事はありましたが」
 愛原「不思議な事?」

 BSAAは私が到着するより先に、既に辺りを探索していたらしい。
 不思議なこととは何だろう?

 BSAA隊員B「見てもらえれば分かります」

 私は首を傾げて、ジープに乗り込んだ。
 そこから10分ほど走ると、かつて着たことのある開けた場所出た。

 愛原「はー……あの頃と変わってない……。変わってない!?」

 そう。
 この場所は地下から現れた化け物によって、メチャクチャに壊されたはずだ。
 にも関わらず、何事も無かったかのように元に戻っていた。
 あの時探索したプレハブ小屋も、仮設トイレもそのままだ。

 愛原「小屋には鍵が掛かっているのですか?」
 BSAA隊員C「掛かっています。しかも、特殊な電子ロックが必要のようです。何だか分かりますか?」
 愛原「特殊なロック……」

 私はドアに近づいた。
 そこにはプレハブ小屋には不釣り合いな、電子ロックの読取機があった。
 その読取機には、アンブレラのマークがある。

 BSAA隊員C「前にデイライトが複製したというゴールドカードでも開かなかったのです」
 愛原「そういうことか……」

 斉藤元社長が言っていた意味が分かった。
 あの『プラチナカード』は、ここで使うらしい。
 私は昨夜、バイク便で届いた『アンブレラのプラチナカード』を読取機に翳した。
 すると、ピピッと音が鳴って、ロックの外れる音がした。
 そして、外開きのドアを開ける。
 先にBSAAの隊員が中に入って、内側の様子を確認した。

 BSAA隊員C「……クリア!」
 BSAA隊員D「……クリア!」

 中に入ると、窓にはカーテンが閉まっていたので薄暗かった。
 床に地下へ下りる為の扉が付いていたはずだ。
 台所にある床下収納の扉みたいなヤツ。
 それを開けると地下へと続いており、梯子が付いていた。

 愛原「前はここを探索しようとしたら、そこから化け物が現れて、退散せざるを得なかったんです」

 今は化け物が出てくる様子は無い。
 しかし……。

 BSAA隊長「よし。レッドCとレッドDは先行して、下の様子を確認しろ」
 BSAA隊員C「了解!」
 BSAA隊員D「了解!」

 2人の隊員達は梯子を下りて行った。
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