報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤家の隠し別荘を探索」

2024-12-01 20:25:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日10時45分 天候:晴 静岡県富士宮市某所 斉藤家隠し別荘]

 外観が洋館みたいな雰囲気だと思ったが、内装もそのような感じだった。
 エントランスが2階吹き抜けになっており、2階の天井からシャンデリア風の照明がぶら下がっている。
 廃墟だとは聞いていたが、案外館内は綺麗に掃除されていた。
 外観は古いままなのだが……。

 愛原「もう少しリニューアルすれば、また再利用できそうだな?」
 アンバー「急いでお掃除しましたので~」
 愛原「キミが?」
 アンバー「はい~」

 アンバーの受け答えに、パールは鼻で笑った。

 愛原「よし、とにかく行こう」
 リサ「ここが……エレンのもう1つの家……」
 パール「ただの隠し別荘です。ここには御嬢様は、幼い頃に1度しか来られていないそうです」
 アンバー「そう。パールが来る前だったわぁ~。今から10年前……それはもう小っちゃくて可愛かったですよぉ~」
 愛原「そうか。それで、QRコードで開く鍵のドアはどこだ?」
 アンバー「こちらですぅ~」

 アンバーが案内したのは、エレベーター。
 しかも、ただのエレベーターではない。

 愛原「鉄格子のエレベーター!?」

 恐らくは東京・日本橋高島屋にあるようなエレベーターがあった。
 ただ、確かあそこにあるエレベーターは、内側が鉄格子になっているだけで、外側はガラス扉になっているはずだ。
 こちらのエレベーターは、内側も外側も鉄格子である。

 アンバー「そうなんですぅ~」
 愛原「若い頃に働いていた運送会社に倉庫に、似たようなものがあったな」

 ただそれは荷物運搬用のリフトであって、内側では操作できないものだ。
 しかしこれは中を覗くと、ちゃんと内側から操作できるようになっている。

 愛原「このエレベーター、動かせるのか?」
 アンバー「停電中なので、予備電源を起動させないとダメなんですよぉ~」
 愛原「そ、そうか」

 それが廃墟たる所以だ。
 主を失った家は光熱費が支払われず、止められる運命にあるのだろう。

 愛原「予備電源のスイッチはどこにある!?」
 アンバー「お気になさらず~。正規の電源を復旧させれば良いのですぅ~」

 アンバーはパチンと指を鳴らした。
 すると、どこかでガチャンというレバーを操作する音が聞こえ、屋内の照明が復旧した。
 と、同時に、エレベーターの電源も入る。

 愛原「??? 電気代払ってなくて止められてるんじゃ???」
 アンバー「その理由は、下に行けば分かりますぅ~」
 愛原「下!?」

 私はボタンを押した。
 すると、鉄格子のロックが外れる音がする。
 私は外側の鉄格子を開け、それから内側の鉄格子を開けた。
 当然、エレベーターの電源も復旧したので、内側の照明も点灯している。
 乗り込むと、私は外側の鉄格子を閉め、それから内側の鉄格子も閉めた。
 ちゃんと閉めないと、エレベーターが起動しない仕組みだということは、雑学で知っていた。
 しかし、『B』のボタンを押しても、エレベーターが動かない。
 まさか、下の方で鉄格子が開いてしまっているのでは?

 アンバー「これですぅ~」

 アンバーはボタンの横の蓋を開けると、そこから読取機を取り出した。
 まさか、これに例のQRコードを読み取らせろと?
 QRコードが書かれたカードを翳した。
 すると、ピッという音がして、『B』ボタンのランプが点灯する。
 私がもう1度押すと、やっとエレベーターが動き出した。

 愛原「ここまで面倒なことをさせるとは、相当な秘密がこの地下に眠っているらしい」
 パール「と、先生は推理されておられるけど、どうなの?」
 アンバー「はい~!きっと、愛原先生にとっては、重要な秘密ですぅ~」
 愛原「それは期待させてもらおう」

 そして、エレベーターがドンという衝撃をさせて止まる。
 古いエレベーターなので、衝撃があるのはしょうがない。
 そして、カチンという鉄格子のロックが外れる音がした。
 内側から開け、外側も開ける。

 パール「そして、ちゃんと閉めるのですね?」
 愛原「そういうことだ」

 地下室は、1本の廊下が伸びていた。
 まるで渡り廊下のように、左右には何にも無い。
 地下なので窓は無く、所々天井に設置された20ワット程度の白熱電球が灯っているだけ。
 なので、廊下は薄暗かった。
 廊下の突き当りには、1枚の扉があった。
 木目調の高級そうなドアだ。
 そのドアは、カードキーで開けるタイプだった。

 パール「アンバー、カードキーを」
 アンバー「無いですぅ~」
 パール「あぁ?てめェ、フザてんのか?」

 パールはアンバーの胸倉を掴んだ。
 パールの口調は、明らかにヤンキー時代のものである。

 愛原「パール!落ち着け!」
 パール「は、はい!」

 パールはパッとアンバーを放した。

 アンバー「このマーク、見たこと無いですかぁ~?」

 アンバーはカードキー差込口の上を指さした。
 そこには、アンブレラのマークが描かれていた。
 ということは……。

 愛原「リサ!オマエのカードキーだ!」
 リサ「う、うん!」

 リサは定期入れからアンブレラのゴールドカードキーを取り出した。
 そして、それを読取機に差し込む。
 すると、ピッという音がしてドアロックが外れる音がした。

 愛原「開けた瞬間、タイラントが飛び出して来るなんてことは無いよな?」
 アンバー「分かりません」
 パール「何で分かんねーんだよ!?」
 アンバー「地下室は、そもそも私も入ったことが無いのでぇ~……。申し訳無いですぅ~……」
 愛原「まあ、仕方が無い」
 リサ「タイラント君がいるなら、わたしに反応して、向こうからドア開けてくれそうなものだけどね」
 愛原「じゃあ、リサが先に入ってみるか?」
 リサ「そうだね。もし罠が仕掛けられてたとしても、わたしは死なないもの」

 リサはそう言うと、ドアを開けた。
 部屋は真っ暗だった……が、人感センサーになっているのか、すぐにカチッという音がして、室内の照明が点灯した。
 主にアクリルカバーに入った白い蛍光灯だ。
 中はまるで大企業の社長室みたいな造りになっており、立派な執務机がある。
 だが、中には誰もいなかった。

 リサ「先生、大丈夫みたいだよ」
 愛原「ああ」

 私は銃を構えて、中に入った。
 そして、周囲を見渡す。

 愛原「……!」

 私は天井の片隅に、監視カメラがあるのを見つけた。
 何故この部屋に、そのような物があるのだろうか。

 愛原「うっ!?」

 その時、机の上の電話が鳴り出した。
 私が電話を取る。

 愛原「も、もしもし?」

 電話口に出た人物とは?

 ①愛原公一
 ②高橋正義
 ➂高野芽衣子
 ④善場優菜
 ⑤それ以外の人物
 ⑥無言

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