[6月13日12時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]
昼時になって、ようやくパール達が帰って来た。
善場「愛原所長、こんなお昼時に申し訳ありません」
愛原「いや、いいですよ。午前中の仕事は終わりましたし、午後は忙しくないですし」
善場「それでも、お昼休みの時間ですね。お話は午後からで宜しいでしょうか?」
愛原「分かりました。お車はガレージに置いたままで構いませんので」
善場「助かります。では、また13時に」
愛原「よろしくお願いします」
善場係長は、そう言ってエレベーターで1階に下りて行った。
愛原「ご苦労だったな、パール?」
パール「いえ、遅くなりまして申し訳ございません。すぐ、昼食の用意をしますので!」
愛原「いや、いいよ。今、リサが作っているから」
私は給湯室を指さした。
そこから、何かを炒める音が聞こえて来る。
パール「リサさんが?何を作ってらっしゃるのでしょう?」
愛原「高橋特製ホットドッグを再現しようとしているらしい。パールは可能だが、リサもそうしようとしているらしい。レシピは教えたんだろ?」
パール「はい、それはもう……」
キャベツを千切りにしたものとソーセージをフライパンで炒め、それを背割りコッペパンに挟んでオーブンで焼くだけのシンプルなものだ。
パール「それでは、私はコーヒーでもお入れしましょう」
愛原「悪いな」
パールは給湯室に向かった。
先に出て来たのはパールだったが、炒める音は無くなり、代わりにオーブントースターから香ばしい匂いが漂って来た。
一応、ちゃんとれレシピ通りには作れているようだ。
リサ「できました!」
リサが給湯室から出て来ると、手にはトレーを持っていた。
その上にはホットドッグが2つずつ載った皿が3つある。
高橋が作った物と違い、やや焦げ目が目立った。
まだ、不慣れということだ。
愛原「おー、できたか!なかなか上手くできたじゃないか!」
私はリサの頭を撫でてやった。
リサ「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
パール「コーヒーも入ってますし、頂きましょう」
愛原「そうだな。いただきます」
私はホットドッグを頬張った。
なるほど。
高橋のよりもやや焼き方が劣る所はあるが、何回かやっていれば上達できるレベルだと思われた。
愛原「うん、美味い」
パール「リサさん、メイドになれますよ」
リサ「わたしは先生だけのメイド。どこからどう見ても忠実な性奴隷」
愛原「それはメイドじゃねぇ!」
パール「先生、仕事の依頼内容はどんな感じでしたか?」
愛原「ああ、そうそう。それな」
私はパールに仕事内容を話した。
すると、パールは目を丸くした。
そして、意外なことを言った。
パール「その廃墟、斉藤家の別荘だった所です」
愛原「は!?」
パール「そして、アンバーは斉藤家のメイドの1人です。私と違って正規雇用ではなく、どちらかというと、そちらの別荘担当でしたので、あんまり面識はありませんが。でも、名前と顔なら知っています。多分、アンバーも私のことを、顔と名前は知っているでしょう」
斉藤元社長は、雇ったメイドに宝石名を付ける謎ルールを行っている。
大体は本名に則った名前を付けることが多い。
パールの場合は、そのまんま。
『霧崎真珠』だから。
因みにアンバーとは、琥珀のこと。
パール「本名は……えーと、下の名前は忘れてしまいましたが、小迫(こはく)と言いましたか」
愛原「珍しい名字だな。でも、そのまんまか」
パール「そうです。メイドカフェで働いてるサファイアがこっちに誘ったそうなのですが、断られたとか……」
愛原「向こうに実家でもあるのか?」
パール「かもしれません」
愛原「ふーん……」
リサ「パールの知り合いか……。ヤバい性格?」
パール「鬼のような性格ですよ」
リサ「ほお!?」
パール「『角が生えておらず、本当に人肉は食べない』だけの鬼みたいな女です」
愛原「パールがそんな言い方をするということは、アンバーも前科者ということだな。何だ?パールみたいに、誰か殺したことあるのか?」
パール「はい」
愛原「そうか。……って、あっさり答えるなよ!」
パール「DV彼氏を殺した罪ですね。いわゆる、過剰防衛です。本当なら懲役2ケタ食らうところを、正当防衛の部分と差し引かれまして、懲役8年で済みました」
愛原「ある意味、パールに似ているんだな」
パール「私の場合は未成年でしたから、女子少年院で済みましたが、アンバーは21歳でやらかしたので、普通に女子刑務所です」
愛原「ん!?すると、アンバーの方がキミより年上か!?」
パール「はい。アンバーは30過ぎてますよ?」
愛原「……顔は美人かな?」
リサ「先生!?」
パール「御主人様は、顔立ちの良い女しか雇わなかったのは御存知ですよね?」
愛原「そ、それもそうだな。あ、あー……スリーサイズは分かるかな?」
リサ「先生……!」(# ゚Д゚)
リサは牙を剥き、私に赤い瞳で睨み付けてきた。
パール「具体的な数字は分かりませんが、胸とお尻は私より明らかにサイズ上でしたよ。……あ、今思い出しました。そういえば、1回だけ会ってました。あの時と変わっていなければ、あの当時、金髪にして、頭にお団子を2つ作ってましたね」
愛原「なるほど、そうか。あ、あー……善場係長にも、明日、仕事があると伝えておかなくては……」
リサ「わたしも行くからねっ!?」
愛原「わ、分かってるよ」
パール「あの……先生」
愛原「何だ?」
パール「確かにアンバーは見た目美人ですけど、やめといた方がいいですよ?別に、リサさんがどうのこうの以前に、私から見てもヤバいヤツだなと思いましたから」
愛原「キミだって、10代の頃はシリアルキラーだと噂されてたらしいが?」
パール「本当に殺したのは1人だけです。あとはせいぜい病院送りにしただけで。だけど、アンバーは『結果的に1人だけだった』というだけで、ヘタしたらもっと殺して死刑になっているような女だと思いましたが」
リサ「ますますわたしの出番だね。わたしが先生を守ってあげるからね」
パール「私も同行しましょうか?」
愛原「いや、パールはいいよ。事務所を空にするわけにはいかないし。それに……」
今のパールは高橋のおかげで丸くなったが、人殺しの目付きをしている女同士が鉢合わせになったら、『流血の惨を見る事、必至であります』。
え?リサはどうなのかって?
リサはまだ顔や名前を知らないだけマシだ。
とにかく、善場係長が来たら、この事を報告しなければ。
昼時になって、ようやくパール達が帰って来た。
善場「愛原所長、こんなお昼時に申し訳ありません」
愛原「いや、いいですよ。午前中の仕事は終わりましたし、午後は忙しくないですし」
善場「それでも、お昼休みの時間ですね。お話は午後からで宜しいでしょうか?」
愛原「分かりました。お車はガレージに置いたままで構いませんので」
善場「助かります。では、また13時に」
愛原「よろしくお願いします」
善場係長は、そう言ってエレベーターで1階に下りて行った。
愛原「ご苦労だったな、パール?」
パール「いえ、遅くなりまして申し訳ございません。すぐ、昼食の用意をしますので!」
愛原「いや、いいよ。今、リサが作っているから」
私は給湯室を指さした。
そこから、何かを炒める音が聞こえて来る。
パール「リサさんが?何を作ってらっしゃるのでしょう?」
愛原「高橋特製ホットドッグを再現しようとしているらしい。パールは可能だが、リサもそうしようとしているらしい。レシピは教えたんだろ?」
パール「はい、それはもう……」
キャベツを千切りにしたものとソーセージをフライパンで炒め、それを背割りコッペパンに挟んでオーブンで焼くだけのシンプルなものだ。
パール「それでは、私はコーヒーでもお入れしましょう」
愛原「悪いな」
パールは給湯室に向かった。
先に出て来たのはパールだったが、炒める音は無くなり、代わりにオーブントースターから香ばしい匂いが漂って来た。
一応、ちゃんとれレシピ通りには作れているようだ。
リサ「できました!」
リサが給湯室から出て来ると、手にはトレーを持っていた。
その上にはホットドッグが2つずつ載った皿が3つある。
高橋が作った物と違い、やや焦げ目が目立った。
まだ、不慣れということだ。
愛原「おー、できたか!なかなか上手くできたじゃないか!」
私はリサの頭を撫でてやった。
リサ「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
パール「コーヒーも入ってますし、頂きましょう」
愛原「そうだな。いただきます」
私はホットドッグを頬張った。
なるほど。
高橋のよりもやや焼き方が劣る所はあるが、何回かやっていれば上達できるレベルだと思われた。
愛原「うん、美味い」
パール「リサさん、メイドになれますよ」
リサ「わたしは先生だけのメイド。どこからどう見ても忠実な性奴隷」
愛原「それはメイドじゃねぇ!」
パール「先生、仕事の依頼内容はどんな感じでしたか?」
愛原「ああ、そうそう。それな」
私はパールに仕事内容を話した。
すると、パールは目を丸くした。
そして、意外なことを言った。
パール「その廃墟、斉藤家の別荘だった所です」
愛原「は!?」
パール「そして、アンバーは斉藤家のメイドの1人です。私と違って正規雇用ではなく、どちらかというと、そちらの別荘担当でしたので、あんまり面識はありませんが。でも、名前と顔なら知っています。多分、アンバーも私のことを、顔と名前は知っているでしょう」
斉藤元社長は、雇ったメイドに宝石名を付ける謎ルールを行っている。
大体は本名に則った名前を付けることが多い。
パールの場合は、そのまんま。
『霧崎真珠』だから。
因みにアンバーとは、琥珀のこと。
パール「本名は……えーと、下の名前は忘れてしまいましたが、小迫(こはく)と言いましたか」
愛原「珍しい名字だな。でも、そのまんまか」
パール「そうです。メイドカフェで働いてるサファイアがこっちに誘ったそうなのですが、断られたとか……」
愛原「向こうに実家でもあるのか?」
パール「かもしれません」
愛原「ふーん……」
リサ「パールの知り合いか……。ヤバい性格?」
パール「鬼のような性格ですよ」
リサ「ほお!?」
パール「『角が生えておらず、本当に人肉は食べない』だけの鬼みたいな女です」
愛原「パールがそんな言い方をするということは、アンバーも前科者ということだな。何だ?パールみたいに、誰か殺したことあるのか?」
パール「はい」
愛原「そうか。……って、あっさり答えるなよ!」
パール「DV彼氏を殺した罪ですね。いわゆる、過剰防衛です。本当なら懲役2ケタ食らうところを、正当防衛の部分と差し引かれまして、懲役8年で済みました」
愛原「ある意味、パールに似ているんだな」
パール「私の場合は未成年でしたから、女子少年院で済みましたが、アンバーは21歳でやらかしたので、普通に女子刑務所です」
愛原「ん!?すると、アンバーの方がキミより年上か!?」
パール「はい。アンバーは30過ぎてますよ?」
愛原「……顔は美人かな?」
リサ「先生!?」
パール「御主人様は、顔立ちの良い女しか雇わなかったのは御存知ですよね?」
愛原「そ、それもそうだな。あ、あー……スリーサイズは分かるかな?」
リサ「先生……!」(# ゚Д゚)
リサは牙を剥き、私に赤い瞳で睨み付けてきた。
パール「具体的な数字は分かりませんが、胸とお尻は私より明らかにサイズ上でしたよ。……あ、今思い出しました。そういえば、1回だけ会ってました。あの時と変わっていなければ、あの当時、金髪にして、頭にお団子を2つ作ってましたね」
愛原「なるほど、そうか。あ、あー……善場係長にも、明日、仕事があると伝えておかなくては……」
リサ「わたしも行くからねっ!?」
愛原「わ、分かってるよ」
パール「あの……先生」
愛原「何だ?」
パール「確かにアンバーは見た目美人ですけど、やめといた方がいいですよ?別に、リサさんがどうのこうの以前に、私から見てもヤバいヤツだなと思いましたから」
愛原「キミだって、10代の頃はシリアルキラーだと噂されてたらしいが?」
パール「本当に殺したのは1人だけです。あとはせいぜい病院送りにしただけで。だけど、アンバーは『結果的に1人だけだった』というだけで、ヘタしたらもっと殺して死刑になっているような女だと思いましたが」
リサ「ますますわたしの出番だね。わたしが先生を守ってあげるからね」
パール「私も同行しましょうか?」
愛原「いや、パールはいいよ。事務所を空にするわけにはいかないし。それに……」
今のパールは高橋のおかげで丸くなったが、人殺しの目付きをしている女同士が鉢合わせになったら、『流血の惨を見る事、必至であります』。
え?リサはどうなのかって?
リサはまだ顔や名前を知らないだけマシだ。
とにかく、善場係長が来たら、この事を報告しなければ。
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