[6月25日18:00.長野県北部山中 マリアの屋敷1F西側・大食堂 視点:稲生勇太]
大食堂のテーブルで夕食を取る魔道士達。
この席にアリス・リンクスという名の女騎士はいなかった。
アリスが意識を取り戻し、イリーナとマリアが様子を見に行き、そこで事情を聴いた。
それで名前が分かったのである。
ケガはイリーナが回復魔法で治したが、今晩は安静にしておく必要があり、無理に体を動かさぬよう、夕食は部屋で取らせることになったのである。
服はメイド人形達に問い合わせたところ、来客用の寝巻があり、アリスの体のサイズに合うものがあったので、これを着てもらっている。
で、戦闘で汚れたであろう服は洗濯中だ。
イリーナ:「やっぱりエレーナが絡んでたみたいね」
マリア:「名前は聞かなかったようですが、リンクス卿の言ってた特徴が明らかにエレーナそのものでしたからね」
稲生:「大活躍だなぁ……」
マリア:「暗躍って言うんだよ、ああいうの」
稲生:「それで、どうしますか?そのリンクスさんって方、魔界に帰すんですよね?」
イリーナ:「療養が終わったらね。ここで王宮騎士団に恩を売っておくのも悪くはないでしょう」
稲生:「ケガは先生が治したのに、まだ療養が必要なんですか?」
イリーナ:「魔法で治すケガってのは、使う方も使われる方も体に負担が掛かるものなのよ。だから本来、無闇に使うものではないの。まだポーションを使う方がいいくらいよ」
マリア:「口で説明されただけじゃ分からないと思うね。まあとにかく、ここは師匠の言う通りにした方がいいってこと」
稲生:「なるほど。そうですか」
RPGではいとも簡単にケガを魔法で治しているが、実際は何かと制約やら代償やらが掛かるらしい。
MPを消費する、しかもそのMPは後で簡単に回復させることができるという簡単な話ではないようだ。
ミカエラ:「お客様へお食事、お持ち致します」
イリーナ:「よろしくね」
ミカエラが大きなトレイに乗せた料理を持って行った。
稲生:「魔界の情勢はそんなに悪いんですか?」
イリーナ:「ミッドガード共和国の政府高官に、中国やらロシアの『赤いの』と太いパイプを持っているのがいるみたいね。そこから兵器を手に入れてるみたいよ」
稲生:「エレーナがリンクスさんと協力して墜とした戦闘ヘリってのは、米軍のアパッチではなく、中国軍のWZ-10じゃないですか?」
イリーナ:「かもしれないわね。まあ、戦闘ヘリなんてどれも似たような形をしてるし」
マリア:「いくら魔力が付与された剣だからといって、プロペラを斬り離すなんてできるのかと思いましたけどね」
稲生:「中国クォリティですか?」
イリーナ:「それもあるけど、もしかしたらミッドガード軍の兵器は整備不良が多いのかもしれないわ。『壊れたらまた中国やロシアから中古をもらえば良い』くらいに思っているのかも」
稲生:「まだアルカディア王国に勝ち目はあるってことですね」
イリーナ:「作戦指揮がしっかりしていればね」
稲生:(戦争シミュレーションゲームで何とかなるレベル……じゃないよなぁ……)
[同日19:00.マリアの屋敷2F西側・ゲストルーム 視点:マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット]
マリアはイリーナと一緒にアリス・リンクスの部屋に向かった。
ミカエラから、アリスが食事に手を付けていないという報告を受けたからである。
イリーナ:「やあやあ、体の具合はどうだい?」
アリス:「……まあまあだ。だが、所々体が痺れる。これは何だ?」
イリーナ:「ゴメンねぇ。回復魔法を急いで使ったからこうなっちゃったの。あなたの体力なら……そうね……2~3日もあれば元に戻るわよ」
アリス:「2~3日。それは時間が掛かり過ぎだ。もう少し早くならぬか?」
イリーナ:「あくまでも私の見込みであって、あなたの体力次第でもっと早く治るかもしれないわよ。だから、ちゃんと食事を取るといいわ。それとも、嫌いな物でも入ってた?」
アリス:「……魔道士の家と聞いて、食事に何か入れられていたらと思うと、手が付けられないのだ」
イリーナ:「そんなことないわよ。さすがの私達も、騎士団とケンカはしたくないからね」
アリス:「ダンテ一門はミッドガード共和国から狙われてる。にも関わらず、あなた達は王国から退避しようとしない。おかげで、国民が巻き込まれてしまっている。もう既に状況は悪くなっていると思われるが?」
マリア:「それは一部の連中だ。私達は戦争に入る直前、ここに待避したさ。もっとも、乗っていた列車がミッドガード兵に襲われて危機一髪だったけどな」
アリス:「ほら、やっぱり。あなた達のせいだ」
マリア:(イラッ……)
イリーナ:「まあ、そんなことより、早く療養してもらって、向こうの世界に帰らないとね。私の方から騎士団本部には連絡しておくから、治るまでゆっくり療養しなさいな」
アリス:「ダンテ一門の魔道士に情けを掛けてもらうわけには……痛っ!」
イリーナ:「ほらほら、無理に起きない。魔法で無理やり塞いだ傷だから、無理に動くと開いちゃうわよ」
アリス:「ポーションは無いのか?」
イリーナ:「今日は魔法を使ったから、ポーションは明日ね。とにかく、今日は食事を取って、ゆっくり休みなさいな」
マリア:「……あんた、いくつだ?」
アリス:「私はまだ騎士団に入団して日が浅い。クラス3rdだ。まだランクが下で……」
マリア:「いや、年齢を聞いたんだよw」
イリーナ:「素質はありそうだから、頑張ればすぐに2ndに上がれそうだけどね」
アリス:「3rdでも、更にその中でのランキングは厳しい。そう簡単にはいかないさ。……因みに年齢は、今は17。今年で18。あんたと同じくらいでしょ」
マリア:「それ、魔道士に言うセリフじゃないからな?」
確かに、マリアとアリスの見た目の年齢はだいたい同じ。
しかし、マリアの実年齢は【お察しください】。
大食堂のテーブルで夕食を取る魔道士達。
この席にアリス・リンクスという名の女騎士はいなかった。
アリスが意識を取り戻し、イリーナとマリアが様子を見に行き、そこで事情を聴いた。
それで名前が分かったのである。
ケガはイリーナが回復魔法で治したが、今晩は安静にしておく必要があり、無理に体を動かさぬよう、夕食は部屋で取らせることになったのである。
服はメイド人形達に問い合わせたところ、来客用の寝巻があり、アリスの体のサイズに合うものがあったので、これを着てもらっている。
で、戦闘で汚れたであろう服は洗濯中だ。
イリーナ:「やっぱりエレーナが絡んでたみたいね」
マリア:「名前は聞かなかったようですが、リンクス卿の言ってた特徴が明らかにエレーナそのものでしたからね」
稲生:「大活躍だなぁ……」
マリア:「暗躍って言うんだよ、ああいうの」
稲生:「それで、どうしますか?そのリンクスさんって方、魔界に帰すんですよね?」
イリーナ:「療養が終わったらね。ここで王宮騎士団に恩を売っておくのも悪くはないでしょう」
稲生:「ケガは先生が治したのに、まだ療養が必要なんですか?」
イリーナ:「魔法で治すケガってのは、使う方も使われる方も体に負担が掛かるものなのよ。だから本来、無闇に使うものではないの。まだポーションを使う方がいいくらいよ」
マリア:「口で説明されただけじゃ分からないと思うね。まあとにかく、ここは師匠の言う通りにした方がいいってこと」
稲生:「なるほど。そうですか」
RPGではいとも簡単にケガを魔法で治しているが、実際は何かと制約やら代償やらが掛かるらしい。
MPを消費する、しかもそのMPは後で簡単に回復させることができるという簡単な話ではないようだ。
ミカエラ:「お客様へお食事、お持ち致します」
イリーナ:「よろしくね」
ミカエラが大きなトレイに乗せた料理を持って行った。
稲生:「魔界の情勢はそんなに悪いんですか?」
イリーナ:「ミッドガード共和国の政府高官に、中国やらロシアの『赤いの』と太いパイプを持っているのがいるみたいね。そこから兵器を手に入れてるみたいよ」
稲生:「エレーナがリンクスさんと協力して墜とした戦闘ヘリってのは、米軍のアパッチではなく、中国軍のWZ-10じゃないですか?」
イリーナ:「かもしれないわね。まあ、戦闘ヘリなんてどれも似たような形をしてるし」
マリア:「いくら魔力が付与された剣だからといって、プロペラを斬り離すなんてできるのかと思いましたけどね」
稲生:「中国クォリティですか?」
イリーナ:「それもあるけど、もしかしたらミッドガード軍の兵器は整備不良が多いのかもしれないわ。『壊れたらまた中国やロシアから中古をもらえば良い』くらいに思っているのかも」
稲生:「まだアルカディア王国に勝ち目はあるってことですね」
イリーナ:「作戦指揮がしっかりしていればね」
稲生:(戦争シミュレーションゲームで何とかなるレベル……じゃないよなぁ……)
[同日19:00.マリアの屋敷2F西側・ゲストルーム 視点:マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット]
マリアはイリーナと一緒にアリス・リンクスの部屋に向かった。
ミカエラから、アリスが食事に手を付けていないという報告を受けたからである。
イリーナ:「やあやあ、体の具合はどうだい?」
アリス:「……まあまあだ。だが、所々体が痺れる。これは何だ?」
イリーナ:「ゴメンねぇ。回復魔法を急いで使ったからこうなっちゃったの。あなたの体力なら……そうね……2~3日もあれば元に戻るわよ」
アリス:「2~3日。それは時間が掛かり過ぎだ。もう少し早くならぬか?」
イリーナ:「あくまでも私の見込みであって、あなたの体力次第でもっと早く治るかもしれないわよ。だから、ちゃんと食事を取るといいわ。それとも、嫌いな物でも入ってた?」
アリス:「……魔道士の家と聞いて、食事に何か入れられていたらと思うと、手が付けられないのだ」
イリーナ:「そんなことないわよ。さすがの私達も、騎士団とケンカはしたくないからね」
アリス:「ダンテ一門はミッドガード共和国から狙われてる。にも関わらず、あなた達は王国から退避しようとしない。おかげで、国民が巻き込まれてしまっている。もう既に状況は悪くなっていると思われるが?」
マリア:「それは一部の連中だ。私達は戦争に入る直前、ここに待避したさ。もっとも、乗っていた列車がミッドガード兵に襲われて危機一髪だったけどな」
アリス:「ほら、やっぱり。あなた達のせいだ」
マリア:(イラッ……)
イリーナ:「まあ、そんなことより、早く療養してもらって、向こうの世界に帰らないとね。私の方から騎士団本部には連絡しておくから、治るまでゆっくり療養しなさいな」
アリス:「ダンテ一門の魔道士に情けを掛けてもらうわけには……痛っ!」
イリーナ:「ほらほら、無理に起きない。魔法で無理やり塞いだ傷だから、無理に動くと開いちゃうわよ」
アリス:「ポーションは無いのか?」
イリーナ:「今日は魔法を使ったから、ポーションは明日ね。とにかく、今日は食事を取って、ゆっくり休みなさいな」
マリア:「……あんた、いくつだ?」
アリス:「私はまだ騎士団に入団して日が浅い。クラス3rdだ。まだランクが下で……」
マリア:「いや、年齢を聞いたんだよw」
イリーナ:「素質はありそうだから、頑張ればすぐに2ndに上がれそうだけどね」
アリス:「3rdでも、更にその中でのランキングは厳しい。そう簡単にはいかないさ。……因みに年齢は、今は17。今年で18。あんたと同じくらいでしょ」
マリア:「それ、魔道士に言うセリフじゃないからな?」
確かに、マリアとアリスの見た目の年齢はだいたい同じ。
しかし、マリアの実年齢は【お察しください】。