[6月23日16:00.魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ上空 視点:エレーナ・M・マーロン]
西部戦線から東のアルカディアシティに向かうエレーナと王国騎士団のアリス。
アリス:「どこへ向かってるのだ!?」
エレーナ:「アンタんちに決まってるぜ!さっさと報酬もらって、人間界へ避難だぜ!」
アリス:「バカな!このままノコノコと帰れるか!せめて魔王城の前で降ろしてくれ!本部に西部戦線の状況を報告する!」
エレーナ:「うるさい!だったらこのまま降ろすぜ!」
アリス:「そしたら報酬は無しだ!」
エレーナ:「なにぃっ!?」
エレーナとアリスがそんな言い争いをしている時だった。
エレーナは下方から強い魔法の気配を感じた。
エレーナ:「!?」
エレーナが下を見ると、シティを囲む城壁の上に黒いローブを纏った魔道士がこちらに向けて両手を挙げているのが分かった。
ローブのデザインに見覚えが無く、しかもフードを深く被っているので顔は分からないが、どうやらダンテ一門の魔道士ではないことが分かった。
で、こちらに両手を挙げているということは、今まさにこちらに向かって魔法を放つ直前だということである。
エレーナ:「やっぱ降りろ!避け切れない!」
アリス:「きさま!裏切るか!」
エレーナ:「仲間になった覚えは無いぜ!騎士様なら、あとは自分で何とかするんだぜ!」
だが、時既に遅し!
2人は黒い光に包まれてしまった。
その衝撃でアリスはホウキから振り落とされてしまった。
エレーナ:「や、やっぱ待て!100万ゴッズ……じゃなかった!騎士様よォ!」
[6月23日16:00.埼玉県蕨市 JR蕨駅 視点:エレーナ・M・マーロン]
黒い光に包まれ、一瞬闇の中に閉じ込められたエレーナだったが、急に視界が開けた。
エレーナ:「! ここ、どこだ!?」
パァァァァン♪パァァァァァァ♪(E231系の電子警笛)
エレーナ:「うわっ!?」
エレーナは蕨駅の横、通常時速100キロ以上で走行する宇都宮線の線路の上に送還されていた。
エレーナが呆気に取られていると、上野東京ライン直通の電車が今まさにその速度でエレーナに突っ込もうとしていた。
エレーナ:「くっ!」
慌ててホウキを西に向ける。
と、今度は……。
ピィィィィィィッ♪(EH200形電気機関車の警笛)
エレーナ:「でぇぇぇっ!?」
湘南新宿ラインを走行する貨物列車にぶつかりそうになる。
何とか避けたエレーナ、コンテナを乗せる貨車の上に着地した。
貨車の上全てにコンテナが置かれているわけではない為、空いている所に着地したというわけだ。
エレーナ:「あー、死ぬかと思った……ぜ」
貨物列車は大宮方面に向かって走っている。
エレーナ:「すぐにでも離陸したいが、ちょっと落ち着こう……」
エレーナは貨車の連結器まで移動すると、そこの手すりに掴まりながら、手持ちの電子タバコを取り出した。
意外なことに、エレーナは喫煙者。
但し、IQOS派である。
エレーナ:「何なんだ、あいつ……」
エレーナがあいつ呼ばわりした相手はアリスではなく、黒いローブを羽織った正体不明の魔道士であった。
列車がさいたま新都心駅に差し掛かる頃、エレーナは再びホウキに跨って離陸した。
架線に引っ掛からないように気をつけながら……。
で、左耳に付けたインカムで発信する。
エレーナ:「あー、こちらポーリン組のエレーナ。門内各組に連絡するぜ……じゃなかった。連絡します。アルカディアシティ内において、他門の魔道士による攻撃を受けました。攻撃内容は、『強制送還』だと思われます。この攻撃により、私はアルカディアシティから日本国……えーと……どこだ、ここ?……さいたま新都心?って所に飛ばされました。尚、同行者として王立騎士団のアリス・リンクスという若い女騎士が一緒でしたが、現在行方不明です。発見した方は100万ゴッズ……もとい、エレーナまでお知らせください。尚、敵の魔道士の正体は不明。性別も不明ですが、恐らく男だと思われます。魔界在住で男嫌いの魔女の皆さんは、是非とも見つけ出してボコし……倒してください。以上、エレーナからの速報を終わります」
エレーナはさいたま新都心駅近くの高層ビルの裏手に着地した。
エレーナ:「ここ、あれじゃね?稲生氏んちの近所じゃね?凄い縁だぜ」
エレーナはGPSを取り出した。
エレーナ:「取りあえず、ワンスターホテルに戻ろう。さすがに今の魔界は危険過ぎるぜ」
ここからワンスターホテルまでの座標を割り出すと、再びホウキに跨って離陸しようとした。
エレーナ:「あ、待てよ。私がこうして人間界に飛ばされたってことは……アリスもこの世界に飛ばされてんじゃね?」
アリスはどう見てもこの世界の出身ではない。
今の魔界もなかなか近代化が進んだスチームパンク的な世界になっているが、まだまだ『剣と魔法のファンタジー』が幅を利かせる世界ではある。
そこに生きている者が、いきなりこんな文明の進んだ世界の、それも先進国のど真ん中に送り込まれたら……。
明治~大正時代の人間が現代にタイムスリップしたようなものである。
エレーナ:「やっべーな、おい。えー……どうするよ?何の手掛かりも無ェよ」
一切の手掛かりが無い状態で、水晶玉で捜し出せるほどエレーナの魔法はまだ高度ではない。
エレーナ:「……取りあえず、帰るぜ」
エレーナはホウキに跨って、一路ワンスターホテルに向かった。
エレーナ:「100万ゴッズ、惜しかったぜ……」
と、何度も呟きながら。
西部戦線から東のアルカディアシティに向かうエレーナと王国騎士団のアリス。
アリス:「どこへ向かってるのだ!?」
エレーナ:「アンタんちに決まってるぜ!さっさと報酬もらって、人間界へ避難だぜ!」
アリス:「バカな!このままノコノコと帰れるか!せめて魔王城の前で降ろしてくれ!本部に西部戦線の状況を報告する!」
エレーナ:「うるさい!だったらこのまま降ろすぜ!」
アリス:「そしたら報酬は無しだ!」
エレーナ:「なにぃっ!?」
エレーナとアリスがそんな言い争いをしている時だった。
エレーナは下方から強い魔法の気配を感じた。
エレーナ:「!?」
エレーナが下を見ると、シティを囲む城壁の上に黒いローブを纏った魔道士がこちらに向けて両手を挙げているのが分かった。
ローブのデザインに見覚えが無く、しかもフードを深く被っているので顔は分からないが、どうやらダンテ一門の魔道士ではないことが分かった。
で、こちらに両手を挙げているということは、今まさにこちらに向かって魔法を放つ直前だということである。
エレーナ:「やっぱ降りろ!避け切れない!」
アリス:「きさま!裏切るか!」
エレーナ:「仲間になった覚えは無いぜ!騎士様なら、あとは自分で何とかするんだぜ!」
だが、時既に遅し!
2人は黒い光に包まれてしまった。
その衝撃でアリスはホウキから振り落とされてしまった。
エレーナ:「や、やっぱ待て!100万ゴッズ……じゃなかった!騎士様よォ!」
[6月23日16:00.埼玉県蕨市 JR蕨駅 視点:エレーナ・M・マーロン]
黒い光に包まれ、一瞬闇の中に閉じ込められたエレーナだったが、急に視界が開けた。
エレーナ:「! ここ、どこだ!?」
パァァァァン♪パァァァァァァ♪(E231系の電子警笛)
エレーナ:「うわっ!?」
エレーナは蕨駅の横、通常時速100キロ以上で走行する宇都宮線の線路の上に送還されていた。
エレーナが呆気に取られていると、上野東京ライン直通の電車が今まさにその速度でエレーナに突っ込もうとしていた。
エレーナ:「くっ!」
慌ててホウキを西に向ける。
と、今度は……。
ピィィィィィィッ♪(EH200形電気機関車の警笛)
エレーナ:「でぇぇぇっ!?」
湘南新宿ラインを走行する貨物列車にぶつかりそうになる。
何とか避けたエレーナ、コンテナを乗せる貨車の上に着地した。
貨車の上全てにコンテナが置かれているわけではない為、空いている所に着地したというわけだ。
エレーナ:「あー、死ぬかと思った……ぜ」
貨物列車は大宮方面に向かって走っている。
エレーナ:「すぐにでも離陸したいが、ちょっと落ち着こう……」
エレーナは貨車の連結器まで移動すると、そこの手すりに掴まりながら、手持ちの電子タバコを取り出した。
意外なことに、エレーナは喫煙者。
但し、IQOS派である。
エレーナ:「何なんだ、あいつ……」
エレーナがあいつ呼ばわりした相手はアリスではなく、黒いローブを羽織った正体不明の魔道士であった。
列車がさいたま新都心駅に差し掛かる頃、エレーナは再びホウキに跨って離陸した。
架線に引っ掛からないように気をつけながら……。
で、左耳に付けたインカムで発信する。
エレーナ:「あー、こちらポーリン組のエレーナ。門内各組に連絡するぜ……じゃなかった。連絡します。アルカディアシティ内において、他門の魔道士による攻撃を受けました。攻撃内容は、『強制送還』だと思われます。この攻撃により、私はアルカディアシティから日本国……えーと……どこだ、ここ?……さいたま新都心?って所に飛ばされました。尚、同行者として王立騎士団のアリス・リンクスという若い女騎士が一緒でしたが、現在行方不明です。発見した方は100万ゴッズ……もとい、エレーナまでお知らせください。尚、敵の魔道士の正体は不明。性別も不明ですが、恐らく男だと思われます。魔界在住で男嫌いの魔女の皆さんは、是非とも見つけ出してボコし……倒してください。以上、エレーナからの速報を終わります」
エレーナはさいたま新都心駅近くの高層ビルの裏手に着地した。
エレーナ:「ここ、あれじゃね?稲生氏んちの近所じゃね?凄い縁だぜ」
エレーナはGPSを取り出した。
エレーナ:「取りあえず、ワンスターホテルに戻ろう。さすがに今の魔界は危険過ぎるぜ」
ここからワンスターホテルまでの座標を割り出すと、再びホウキに跨って離陸しようとした。
エレーナ:「あ、待てよ。私がこうして人間界に飛ばされたってことは……アリスもこの世界に飛ばされてんじゃね?」
アリスはどう見てもこの世界の出身ではない。
今の魔界もなかなか近代化が進んだスチームパンク的な世界になっているが、まだまだ『剣と魔法のファンタジー』が幅を利かせる世界ではある。
そこに生きている者が、いきなりこんな文明の進んだ世界の、それも先進国のど真ん中に送り込まれたら……。
明治~大正時代の人間が現代にタイムスリップしたようなものである。
エレーナ:「やっべーな、おい。えー……どうするよ?何の手掛かりも無ェよ」
一切の手掛かりが無い状態で、水晶玉で捜し出せるほどエレーナの魔法はまだ高度ではない。
エレーナ:「……取りあえず、帰るぜ」
エレーナはホウキに跨って、一路ワンスターホテルに向かった。
エレーナ:「100万ゴッズ、惜しかったぜ……」
と、何度も呟きながら。