12月6日の地球イチバンというNHKの番組をたまたま見てしまった。この日は、地球でイチバン未来が見える研究所~徹底潜入・MITメディアラボ~という内容だった。MIT メディアラボ(MIT Media Lab)とは、米国マサチューセッツ工科大学建築・計画スクール内に設置された研究所である。
MITといえば、QS 世界大学ランキングの2012-2013年版で初の1位を獲得した大学である。このランキングを決める基準は研究者からの評価/教員一人当たりの論文引用数/留学生比率/教員一人当たりの論文引用数 などを総合的に評価したものだという。今まで2位・3位にとどまっていたMITが何故1位に輝いたのか?という理由には論文引用数や学生一人当たりの教員比率が飛躍的に伸びた事にあると分析されている。また、このランキングのベスト10は全てイギリス、アメリカの大学で占められている。日本では、東大がやっと30位に入っているのが最高である。
まさに、世界一と言われるMITのメディアラボでは、「コンピューターと人間との融合」をテーマに、世界十数か国から最高の頭脳を集め、電子書籍など、世界中で使われるようになったデジタル技術を次々と開発してきたという。“世界を変える”最先端の技術とアイディアはどうやって生み出されるのかという疑問を、この番組で解き明かしてくれた。
メディアラボの精神は「Anti Disciplinary」(=専門分野に縛られるな)だという。この研究所に招致された研究者はまず自分の今まで研究したものを全て捨てることを要求されるそうだ。研究者というと、自分の殻に閉じこもり他の者を寄せ付けないようなイメージがあるが、ここではそういったものを全て取り去り、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を要求されている。いわゆるイノベーション(innovation)と呼ばれる変化を起こす技術が研究されているのである。
メディアラボでの研究の一例を挙げると、撮影技術の研究、携帯電話の新技術の研究、ロボットの研究、ハイテク都市研究、幼稚園研究、オペラ研究、遺伝子や神経の研究などがあり、「世界を変える」ようなアイデアがあれば、新しい分野を作ってもよく「マジック」なんていう研究分野も検討されているそうだ。番組では、手のひらを広げると番号が出てきて、そこを押すと電話が出来るとか、相手を見ると、相手のプロフィールが体に投影されるという技術、卓球台表面に鯉が泳ぐ映像が投影され、玉の落下する場所に鯉が集まるという技術、過去に弾いたピアノ演奏を100%再現する技術等、一見役に立ちそうもない技術だが、発想を変えれば凄い技術に繋がりそうなものが幾つか紹介されていた。また、100ドルでパソコンを作り途上国の子供たちに配布しているという話もあった。こんな格安で、インターネットやメールが出来るパソコンが普及したら、まさしく地球全体のイノベーションに繋がるだろう。
MITメディアラボでは、研究室の壁が、全てガラス張りで中の研究者の行動は逐一分かるようになっている。チップをはめ込んだカードを研究者が携帯しているので、どこにいるかも全てわかるらしい(ちょっと、あまり分かりすぎるのも困りそうだが…)。また、落書きがいたるところで許されており、ちょっとした思い付きをボードに落書きすると、他の研究者が書き加えることができる。こんなアナログ的な使い方が最新のテクノジーの開発には重要なのである。そして、現在の所長は、日本人の伊藤穰一さんが選出されている。数少ない日本人のなかから所長が日本人というのも凄い。この人は、大学中退でありながら、国際社会で顕著な活動を行い世界で『日本』の発信に貢献した業績をもとに、内閣府から世界で活躍し『日本』を発信する日本人の一人に選ばれたという経歴を持っている。多彩な職歴をもち、様々な分野の研家者と研究者を繋ぐ役割を期待されての抜擢だという。この人は研究者ではないが、幅広い人脈を持ち、「自分ができるよりも、できる人を知っていることに価値がある」という。今の時代は、こういった能力が重要かもしれない。
この記事を書く前に、日本の清涼飲料水メーカーが、昼間の冷却用の電力使用をゼロにできる自動販売機「ピークシフト自販機」を開発し、日中の消費電力は従来比95%削減になるというニュースを聞いていたのだが、改めてMITメディアラボの研究と日本の技術の違いをまざまざと感じた。日本の技術は、世界に誇れるものがいろいろあるが、基本的には既存技術を飛躍的に改善したものが多い。まさに「カイゼン」は日本の得意とするところだが、0から創造という技術はあまりないような気がする。日本でも、様々な分野の研究者、技術者をうまく結びつけてイノベーションを起こすようなことを行なって欲しいと番組を見て強く感じたのである。
MITといえば、QS 世界大学ランキングの2012-2013年版で初の1位を獲得した大学である。このランキングを決める基準は研究者からの評価/教員一人当たりの論文引用数/留学生比率/教員一人当たりの論文引用数 などを総合的に評価したものだという。今まで2位・3位にとどまっていたMITが何故1位に輝いたのか?という理由には論文引用数や学生一人当たりの教員比率が飛躍的に伸びた事にあると分析されている。また、このランキングのベスト10は全てイギリス、アメリカの大学で占められている。日本では、東大がやっと30位に入っているのが最高である。
まさに、世界一と言われるMITのメディアラボでは、「コンピューターと人間との融合」をテーマに、世界十数か国から最高の頭脳を集め、電子書籍など、世界中で使われるようになったデジタル技術を次々と開発してきたという。“世界を変える”最先端の技術とアイディアはどうやって生み出されるのかという疑問を、この番組で解き明かしてくれた。
メディアラボの精神は「Anti Disciplinary」(=専門分野に縛られるな)だという。この研究所に招致された研究者はまず自分の今まで研究したものを全て捨てることを要求されるそうだ。研究者というと、自分の殻に閉じこもり他の者を寄せ付けないようなイメージがあるが、ここではそういったものを全て取り去り、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を要求されている。いわゆるイノベーション(innovation)と呼ばれる変化を起こす技術が研究されているのである。
メディアラボでの研究の一例を挙げると、撮影技術の研究、携帯電話の新技術の研究、ロボットの研究、ハイテク都市研究、幼稚園研究、オペラ研究、遺伝子や神経の研究などがあり、「世界を変える」ようなアイデアがあれば、新しい分野を作ってもよく「マジック」なんていう研究分野も検討されているそうだ。番組では、手のひらを広げると番号が出てきて、そこを押すと電話が出来るとか、相手を見ると、相手のプロフィールが体に投影されるという技術、卓球台表面に鯉が泳ぐ映像が投影され、玉の落下する場所に鯉が集まるという技術、過去に弾いたピアノ演奏を100%再現する技術等、一見役に立ちそうもない技術だが、発想を変えれば凄い技術に繋がりそうなものが幾つか紹介されていた。また、100ドルでパソコンを作り途上国の子供たちに配布しているという話もあった。こんな格安で、インターネットやメールが出来るパソコンが普及したら、まさしく地球全体のイノベーションに繋がるだろう。
MITメディアラボでは、研究室の壁が、全てガラス張りで中の研究者の行動は逐一分かるようになっている。チップをはめ込んだカードを研究者が携帯しているので、どこにいるかも全てわかるらしい(ちょっと、あまり分かりすぎるのも困りそうだが…)。また、落書きがいたるところで許されており、ちょっとした思い付きをボードに落書きすると、他の研究者が書き加えることができる。こんなアナログ的な使い方が最新のテクノジーの開発には重要なのである。そして、現在の所長は、日本人の伊藤穰一さんが選出されている。数少ない日本人のなかから所長が日本人というのも凄い。この人は、大学中退でありながら、国際社会で顕著な活動を行い世界で『日本』の発信に貢献した業績をもとに、内閣府から世界で活躍し『日本』を発信する日本人の一人に選ばれたという経歴を持っている。多彩な職歴をもち、様々な分野の研家者と研究者を繋ぐ役割を期待されての抜擢だという。この人は研究者ではないが、幅広い人脈を持ち、「自分ができるよりも、できる人を知っていることに価値がある」という。今の時代は、こういった能力が重要かもしれない。
この記事を書く前に、日本の清涼飲料水メーカーが、昼間の冷却用の電力使用をゼロにできる自動販売機「ピークシフト自販機」を開発し、日中の消費電力は従来比95%削減になるというニュースを聞いていたのだが、改めてMITメディアラボの研究と日本の技術の違いをまざまざと感じた。日本の技術は、世界に誇れるものがいろいろあるが、基本的には既存技術を飛躍的に改善したものが多い。まさに「カイゼン」は日本の得意とするところだが、0から創造という技術はあまりないような気がする。日本でも、様々な分野の研究者、技術者をうまく結びつけてイノベーションを起こすようなことを行なって欲しいと番組を見て強く感じたのである。