
高学年以上向け
『ピアチェーレ』(小峰書店)で、児童文学者協会長編新人賞、そして椋鳩十文学賞を受賞された、にしがきようこさんの新刊です。
川床といわれると、私など京都の風物詩を思い浮かべてしまいますが、この作品の舞台はインドネシア共和国。50万年前に人類がいたという地の調査をしているおばさんに同行し、異国へと足を踏み入れた少女達の友情物語です。
にしがきさんの描写は、五感をフルに活用しているので、読んでいてその地に立っているような気持ちになります。
飛行機から降りて、車で移動しているとき、そのあまりの振動に、主人公の文音は、「タイムマシンに乗っているみたい」と言います。その瞬間、読んでいる側も同じ気持ちになっているのです。この言葉のマジックにうちのめされました。
川床というのが、どういうものか。えくぼというのが、何を表しているのか、それはネタバレになってしまうので、やめておきます。
にしがきさんご自身が、現地に住んでいらしたことがあるそうで、だからこそのリアリティ満載の一冊です。
そして、この二人の女の子達の気持ちが、よくわかるなあと。少女達の確かな成長を描いている一冊。