fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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山覚めるー『童子』2012・7月号

2012年07月06日 | 俳句

                                   

 辻桃子主宰のエッセイ「山覚める」は、4月の戸隠春合宿にまつわるあれこれ。山は「山笑ふ」(春)、「山滴る」(夏)、「山装ふ」(秋)「山眠る」(冬)と季語の上で変化します。でも桃子先生はそこに「山覚める」という季語を入れました。これは既存の歳時記には載っていません。冬の間眠っていた山が目覚める! 私も北国の人間だから、春になってそこここが芽吹き、ゆらめき山が笑い出す前に、「目覚める」というのはとても共感できます。 もともとは中国の画家、郭熙の画論『臥遊録』に、

 春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く とあり、そこから季語として定着したのだそうです。季語にはこうして中国から伝わった言葉もたくさんあります。夏の今これから山は、「山滴る」の時期なわけで、「泉」「滴り」「清水」も夏の季語になります。

 戸隠吟行は私も行ったのですが、まさに「山覚める」時期でした。文中に拙句、

 千年の杉の花粉を浴びてけり   あぶみ

 も引用していただきました。

 大いなる雪間の中のお宿かな  辻 桃子

 ひと筋の雪解の水の火の御子社(ひのみこしゃ) 中 小雪

 中社まで半里の道、たっぷりある残雪を踏みながら登ってもどって、ひいひい言って句会が始まる前にもう一カ所と一緒に火の御子社まで行きました。私もそこでも作ったのですが、こうはいきませんでした。こうして同じものを見た後で、他の方がどう作ったかを見るとまだまだ「見方が甘い]といつも思います。

 他にもご紹介したい好きな句がいっぱいあるのですが、全部は書ききれません。

 また今号では、句集『長女』(文學の森ー三島ひさの)を読む特集で、鑑賞文を寄稿させていただきました。他に6人の方が書いていますが、どれもいい。おもしろい。(句集『長女』は、後日改めてご紹介します)

HPは、http://www10.ocn.ne.jp/~douji/ 毎月、主宰句、珠玉(全投句から10句ほど主宰が選び、鑑賞しています)が更新され読むことができます。


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