fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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池蘭子句集『白絣』/田村乙女句集『土佐幟』(童子吟社)

2020年11月29日 | 本の紹介
       

 三冊並んでいるように見えますが、一番左は、函です。
 池蘭子句集『白絣』と田村乙女句集『土佐幟(とさふらふ)』が一つの函に入った句集なのです。

 池蘭子さんは、「童子」の中では伝説のような方。土佐の女で、粋で気っ風がよく、着物姿のかっこいい女性でした。蘭子さんは、生前句集を作らずじまいだったため、このたび、娘さんの乙女さんが、ご自身の句集とともに、こういう形で世に出したのです。
 いい!
 よかった! 

 昼寝する兄と妹足の裏
 こぼれてはせはしく這うて栗の虫
 耳鳴りのことにぎやかに花筵
 吊しのぶ男の物を干す竿に
 得意気に馬券見せに来きのこ汁    池蘭子

 アスパラや未来はこんな形かも
  一生を着物で暮らし白牡丹
 父の声知らずや父の日のラヂオ
 雨雨雨雨雨晴雨靑葉木菟
 どうでもいい話堂々巡り暑ッ
 茄子の馬好かんというて乗らんじやろ
 手花火のうしろの影の青さかな
 空を見て空見てをらず鰯雲      田村乙女

 乙女さんの句の「一生を」「茄子の馬」は、亡き母蘭子さんのことを詠んだもの。
 全体にさばさばしてて、俳諧味があります。
 土佐、行きたいなあ。
 日本中に、このように颯爽と生きている人達がたくさんいるんだろうな。そんなことをこの2冊を読んで思いました。
 

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