夏のほかペンギンの飛ぶ大水槽 梅沢富美男
題:水族館
1位72点 山西惇 熱帯魚アクリル越しのオーディション
2位70点 紺野まひる 夏空や石鯛掲ぐ父の遺影
添削 石鯛を掲げる遺影夏の空
3位47点 橋本良亮(A.B.C-Z) 夏日影水槽の下掻い潜る
添削 巨大水槽潜(くぐ)れば夏のひかり降る
4位45点 イワクラ(蛙亭) 夏の昼ペンギンの様に手を引かれ
添削 ペンギンのごと手を引かれ吾子の夏
名人現状維持 ◆中田喜子
鯱戯け尾ひれかみかみ南風
添削 南風やシャチの尾ひれを噛むシャチも
永世名人掲載決定 ◆藤本敏史(FUJIWARA)
ゴンドウ鳴く水族館を出て白夜
特別永世名人お見事! ◆梅沢富美男
夏のほかペンギンの飛ぶ大水槽
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今回絶賛したのが、参考作品の梅沢名人の句
一読しただけでは、映像が浮んでこない句だ
それは「夏のほか」という上五が影響している
「夏のほか」の「ほか」が、「他」と読み間違えるからだろう
夏井先生が言っていたが、これは「涼し」の傍題であり、
夏井先生も、つい一年前にある勉強会で初めて知ったという
隠れたというか、掘り出し物の季語なのだ
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季語:「涼し」 夏の暑さに思いがけず覚える涼しさ
傍題:「夏のほか」夏の暑さを一瞬忘れること
◆夏のほかペンギンの飛ぶ大水槽 梅沢富美男
※「涼し」全体には、音感や視覚で感受する涼味もあると季語辞典には書いてあるが、
まさに、梅沢名人の句はこのペンギンが飛ぶ水の音、
泳いでいる映像がこの「夏のほか」なのだろう
本当にお見事!な一句だ
因みに、「涼し」を詠んだ句に、飯田龍太のこんな有名な句がある
どの子にも涼しく風の吹く日かな 飯田龍太
umeさんの大好きな一句だ