グラスゴーの少し北にあるローモンド湖畔の明るくて美しいほとりで、政春はエリーにプロポーズします。
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「エリー… わしと…結婚してくれ。エリーと結婚できるなら、日本に帰らんでもええ。このままずっと死ぬまでスコットランドに住む。ずっとエリーと一緒に、生きていきたいんじゃ。」
「日本に行く。政春と一緒に、私が、日本に行く。」
「エリー…。」
「政春の夢は、日本で、初めてのウイスキーを造る事でしょ? だから、私が、日本に、ついていく!」
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こうして、1920年1月、グレート・ハミルトン街カールトンにある地区登記所の記帳台におかれた帳面に結婚の署名をします。
この時、妹のルーシー以外立ち会いの家族はいませんでした。エリーの両親もまたこの結婚には反対だったのです。政春26歳、エリー24歳の春でした。
この時政春は誓います。
「前進あるのみ、この人と終生一緒に夢の実現のために歩むのだ」と。
そしてエリーは、政春の渡したペンを微笑みをもって受取ると、ためらいもなく一気に署名します。その瞳はきらきらと輝き、決意の色に染まっていました。
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しばらく、スコットランドの雄大な景色とロマンチックな二人の余韻に浸って下さい。この後、日本のごたごたが始まるのかと思うと、ここは異次元の世界です。