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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「それでも恋するバルセロナ」

2009-07-20 17:31:23 | FILM
ペネロペ・クルスのアカデミー助演女優賞受賞でも話題になった
ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」
原題: Vicky Cristina Barcelona
2008年 アメリカ・スペイン映画 96分



公開1週間後の7月4日(ようやく今月の話題に・・・)に有楽町のマリオンで見て参りました。
今でも公開中かしら・・・
そろそろ終了しそうなので、是非映画館に!とお奨めいたします

アメリカ人のヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友どおし。
ガウディをテーマに卒論を書いたヴィッキー、短篇映画を撮るクリスティーナ、ふたりとも
感受性が豊かでアートに関心があるという共通点はあるものの、恋愛観は正反対。
模範的な婚約者がいる慎重派のヴィッキーとトライ&エラー派の奔放なクリスティーナ。
そんな2人がヴィッキーの叔母夫婦の住むバルセロナでひと夏を過ごす・・・。
このあとは内容に踏み込みますので、これからご覧になる方はご注意を。



アート関係者のパーティで出あったのは危険な香りのする画家フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)。
彼の誘いに乗ったクリスティーナと付き添いのヴィッキーはオビエドに。
美しい町、ワイン、心くすぐるスパニッシュギターの夕べ・・・
積極的だったクリスティーナは訳あって失敗し、
アバンチュールは思いがけずヴィッキーに変化をもたらします。

婚約者がいる彼女とはいい思い出に、とクリスティーナと暮らし始めるフアン。
ヴィッキーはヴァカンスに合流した婚約者が着々と式の準備を始めるのに、心が揺れてしまいます。

フアンとの生活に馴染み始めたクリスティーナの前に突然嵐のように登場したのが
スペイン美女、元妻、才能と情熱に溢れた、激しい気性のマリア・エレーナ。
その激しい気性ゆえに別れた二人、トリオになった今、不思議な均衡を保った暮らしを始めます。
何もかもを受容する柔らかさを持つクリスティーナの存在ゆえに落ち着きを取り戻し、
彼女の写真を手ほどきし、時にはモデルも務めるマリア。
画家2人の仕事もはかどり、アーティストの共同体生活はこの上ない調和を見せますが・・・。



その完璧な調和を崩したのはクリスティーナ。
「望むことはわからないけど望まないことはわかる」典型的モラトリアムな彼女が
これ以上、この不思議な関係を続けていきたくなくなった、と夏の終わりに宣言。
罵倒するマリア。

ずっとあの出来事を忘れられなかったヴィッキーとフアンが再会。
ヴィッキーの様子に感づき、後悔しないで、とアレンジしたのはなんと叔母。
実は彼女も幸せそうな結婚生活に空虚さを覚えて浮気をしている、という設定。
このあたり、完璧な幸せを享受している人はいない、というアレンならではのリアリズム。
自宅のランチに誘うフアン。

そこにマリア・エレーナが登場し、事態は思わぬ収束に・・・

火の玉のようなエキセントリックなマリア・エレーナをペネロペが好演。
ちょっと抜けたところもあるチャーミングなクリスティーナを演じるスカーレットは
まるでマリリン・モンローのよう。
セクシーで可愛いけれどもどこか憎めない。
普通の女の子なのに芸術家のミューズにもなるという役どころをナチュラルに演じています。
ヴィッキーのレベッカ・ホールもしっかりとしているようで感じやすい、
揺らぎ感のある若い女性を等身大で見せていて魅力的。
ランチに誘われ、イソイソと何度も着替えるが、いずれも大差ないバナリパ風ファッション
だったりするところもまた可愛い・・・。
彼女は父親が監督母親が女優のサラブレッドなんですね。
ペネロペ・スカヨハの大スターにはさまれての主演で目立ちにくいですが
しっかりと存在感を出していました。
女優3人がそれぞれに魅力的。

ハビエル・バルデムを観たのはホモセクシュアルの詩人の物語「夜になる前に」以来でしたが、
セルジュ・ゲーンズブール風のセクシーで女好きのアーティストがピタリと嵌まっていて
驚きました。前作ではインディオ風の野性味が持ち味かと思っていたのですが
(チリ代表サッカー選手、イヴァン・サモラーノに似ていた・・と思うのはわたくしだけ?)
今回はジョージ・クルー二ーが演ってもいいような女たらしでビックリ。

キャスティングはバッチリですし、音楽のセンスもいい。
全編で流れる可愛い女性ボーカルが印象的なちょっとキッチュでキュートな
「バルセロナ」は、ウディ・アレンがバンドメンバーがホテルに忘れていったCDを
偶然耳にして・・・という新人ジュリア・イ・ロス・テラリーニ(Giulia y Los Tellarini)。
フアン・ケサダの「アストゥリアス」がくだんのスパニッシュ・ギターのシーンで
使われていたり、もちろんパコ・デ・ルシア、フアン・セラーノなどの大御所の曲も。

ガウディの建築はもちろん、美しいスペインの夏を堪能できる
「観光客目線で撮った」というウディ・アレン一流の皮肉が素直に楽しめる(笑)作品。
そういえば、ナレーションもちょっと意地が悪くてニヤリとさせられるのも彼ならでは。

監督・脚本: ウディ・アレン
製作: レッティ・アロンソン / スティーヴン・テネンバウム / ギャレス・ワイリー
製作総指揮: ハウメ・ロウレス
撮影: ハビエル・アギーレサロベ
衣装デザイン: ソニア・グランデ
プロダクションデザイン: アライン・バイネ

スペイン人スタッフなのですね。

お洒落な恋愛映画ですが、洞察は深いです。





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