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マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル2014

2014-03-17 07:35:35 | MUSIC
マリア・ジョアン・ピリスのピアノリサイタルに行って参りました。

ポルトガルの女流ピアニスト、ピリスを聴くようになったのは、1996年のショパンのノクターン全集のCDから。
情感に溢れながらも、情緒に流されない端正さを保ちつつ、自然な軽快さも感じさせる新鮮なショパンに注目し、翌年の来日公演にも行った覚えが・・・。

今回は、そのピリス好きを知った友人が手配してくださったチケットで。
サントリーホールの大ホール、1階通路後ろのとても良いお席で観賞することが出来ました。



2014年3月7日(金) 19:00 開演

(曲目)
シューベルト: 4つの即興曲 D899, op.90
ドビュッシー: ピアノのために
シューベルト: ピアノ・ソナタ 変ロ長調 D960

(アンコール)
シューマン/森の情景から「予言の鳥」

久しぶりに観るピリスは、スカートこそタフタの渋いローズピンクのロングで演奏会仕様ではありましたが、飾り気のないグレーのショートカットヘアーにライトグレーのシンプルなクル―ネックのカーディガンジャケットのナチュラルなお姿。

登場してすぐに弾き始める様も、まったくテライのないピリスらしいスタイル。

シューベルトの即興曲、実は、わたくし自身がピアノを習っていて高校生でやめたのですが、その最後の発表会で弾いたのが2番。
内田光子氏の同曲を聴いた時も、メロディーラインの浮き立たせ方、テンポなど、彼我の違いに愕然とし、思わず楽譜を取り出して改めて弾きなおしたことがあったのですが、今回また、しみじみとアプローチの深さ、正確かつ軽快な連続したアルペジオの処理、曲の運び、繰り返し部分の変化の付け方など、おこがましい言い方ですが、自分が取り組んだことがあるからこその一音一音の彼我の違い、彼女の演奏のさりげない深さに震撼しました。
それを除いても、ピアノ・ソナタを含めて、シュ―ベルトの持つ、青春の苦悩と憧れ、森の中を散策して木漏れ日を感じるような癒し、そして死の予感と言ったドイツの黒い森に密やかに息づく抒情と厳しさのような感覚を呼び起こされる演奏は、そぎ落とされた中の充実を実感させてくれました。

ピリスがドビュッシー??というのも新鮮な、シューベルトに挟まれたドビュッシーの「ピアノのために」。
これは夢の世界のようなドビュッシーの幻想的な世界が突如目の前に繰り広げられ、クラクラと目眩を起こすような別次元で、心を解き放たれて遊ぶような夢の時間・・・
「プレリュード」「サラバンド」「トッカ―タ」
超絶技巧も彼女の手にかかるとかき鳴らされるハープの音色が聞こえてくるような木霊のようで、彼女のドビュッシーをもっと聴いてみたい!と渇望させられる演奏。

そしてアンコール曲がシューマン、というのも、つい最近舞台でシューマンとブラームスの愛と葛藤を描いた作品を観たばかり。。。ということもあって、その煌めきがなんとも感慨深く、人生の儚さと美しさと人の才能の結露が受け継がれることの意味など、諸々考えが宙を舞うようなラストの余韻を残して。
拍手の中ピリスは笑顔と深いおじぎをして その日、風邪の咳ひとつ演奏中にもらすまいと恐ろしい集中力を発揮していた満場の観客に応えて軽やかに去って行かれました・・・。

今年の7月で70歳になられるそうですが、これからも彼女の演奏を聴く機会を多く持てたら・・と願います。



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