新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

既に終わっていたデパートの時代

2013-11-07 09:31:26 | コラム
何時から言い出したか記憶もない大規模小売業の終わり:

私が書いたものを活字にして頂けるようになったのが1990年の初夏だっただろうか、既に23年も経ってしまった。有り難いことであると今でも編集長さんに感謝している。その23年の何時頃だったかの記憶もないが、「デパート等の大規模小売業の時代は終わった」と主張し始めていた。

その理由は、必ずしもアメリカを真似た訳でもないのかも知れない故中内功氏の「ダイエー」を始めとする安売りを標榜するスーパーマーケット・チェーンの普及、輸入のデザイナー・ブランド品を売る専門店、1975年にシアトルの郊外で初めて見た「セブン・イレブン」というコンビニエンス・ストア組織の輸入、アメリカに倣ったかの如き地方都市の郊外での大型のショッピング・センターないしはモールの出来等々に、明らかに客層を奪われていったことにあった。そこで忘れてはならないことは、三菱や三井のようなグループが、競って郊外に大きな駐車場を持つアウトレットを設けていった現象だ。

昭和の時代は「今日は帝劇明日は三越」だったかのような競合する相手がおらず、格の高さで一定以上の富裕な客層を抑えて定価販売できていた百貨店だった。だが、時の流れで外敵と国内の経済的な価格を売り物にする小売業者に、徐々に確実に客層を奪われていった。確かに、デパートでもホテルに囲い込んだお客様を招待して特売会などを催して対抗するようにはなったが、2000年代に入っては彼らの時代が終わっていたのは明かだと私は考えている。

再三語ってきたが、当方は商社が最早年に数回は開催する東京ビッグサイト(その他地方の大型施設でも開催している)でのファミリーフェアーに欠かさず行って、デパートその他ではあり得ない価格で食料品を購入している。勿論、これほど高齢化する以前はブランドものの衣料品や鞄等の雑貨をも極めて有利な価格で買って楽しんでいたものだった。しかし、多くのデパートでこのフェアーのことを尋ねても、その存在を承知している者は希だった。

こういう消費者の買い方の行動の変化、デパートに対する認識、即ち時の流れの変化に、彼らデパートは対応できていなかったのであろう。しかも、そこに長引くデフレが襲ってきたのだから堪らない。デパートの競争力は劣化の一途を辿った。以前にも指摘したが、当方はデパートに行くのはメーカー希望とやら言われている小売価格を調べるためだけが多く、買うのはファミリーフェアーかアウトレットであることが非常に多い。これ即ち、デフレ対策でもある。デパート買うものは、そこにしかない商品か、「経済的且つ競争力がある価格」と判定した場合で且つ懐具合の良い時に限っている。

今回の止まるところ無きが如き偽装告白と摘発には、デフレと可処分所得が増えてこない経済情勢下では少しは同情の余地はあるかも知れない。だが、私には「貧すれば鈍する」の現象のように見えて仕方がない。また、窮余の策で入れたテナント的料理店の管理が不行き届きだったのは、デパート側の重大な手落ちであるが、テナント側の責任もより厳格に追及されるべきではないかな。