新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

未だ盛り上がらない紙の内需

2014-02-10 16:15:59 | コラム
商社マンと懇談した:

「景気回復未だし」の方が適切かも知れない。悲観論者同志?の語り合いであった以上盛り上がらないのは仕方がないだろう。国内の需要と輸入で動きがあると言えるのがコピー用紙とトイレットペーパーくらいのものと冗談(?)を言ったほど昨年から変化はない。

例えば、出版科学研究所の集計では、13年の出版市場は約1兆6,823億円の規模だったが対前年比では-3.3%と05年以来9年連続マイナスだった。しかし、これなどは今更目新しい情報でもないのが悲しいのだ。内訳が書籍が-2.0%、雑誌が4.4%で、雑誌の内月刊誌が-3.4%で週刊誌が-8.1%と大きく減少していた。書籍発行部数は03年以来対前年比でプラスだったのは04、06、07の3年で、雑誌はこの間にマイナスのみだった。

一方、日本製紙連合会によれば、紙の内需(国内出荷量+輸入量±流通在庫量)を見れば、2006年の3,192万トンを最高に13年までマイナス成長が続き2,766万トンとなって、実に13%もの減少となっている。さらに14年の予想も-0.7%の2,745万トンとなっている。

彼と語り合ったポイントは「これが単なる不況ないしはデフレによるものか、アメリカの先例が示すように恒久的なものかということ」」だが、遺憾ながら未だにアベノミクスの恩恵にも浴していない現状から考えれば、後者だと認識して対応するのが無難だろうという、残念な結論に終わった。

因みに、アメリカではコート紙(毎度例に挙げてきた週刊誌の表紙のような紙)の二大メーカーの事業統合が報じられている。不況対策だろうが、両社合計のシェアーは52%に達する由だ。このうちの1社は既にChapter 11の処理から解放されたばかりという芳しからざる経歴がある大手にして嘗ての名門である。

参考資料: 紙業タイムス社刊 “Future“ 14年2月17日号

和製英語(=造語)とカタカナ語

2014-02-10 07:39:00 | コラム
承前)

和製英語(=造語)とカタカナ語 #8最終回:

ここまで読み頂いたことに感謝申し上げるとともに最終回に当たってお断りしておきたいことがある。それは、ここまで採り上げた以外のカタカナ語はまだまだ無数にあるだろう事と、これはそれを非難や批判しているのではなく気楽な読み物ないしはエッセーとしてお読み願いたいことである。そして、カタカナ語にはこういう語源があったのか、良くもここまで日本語化したものだと先人の知恵のほどをお認め願えれば幸甚であると考えている次第。私の結論を言えば「好ましいとは思えない傾向だ。普通に漢字を使って国語で言え」である。

合成語:
これは番外編である。私が感心いない例を幾つか挙げるに止める。

*自己ベスト→ personal record or one’s record、
解説)何もbest=ベストなどと言わずに自己最高記録で良くはないか?私は以前にはこの漢字だけの言葉が主流だったと思っていた。こういう言葉をテレビ等の映像だけでなく音声から耳に入れられると、その影響が強く、良貨を駆逐する結果になったと考えている。
私見だが、このようにカタカナ語を入れて何となく格好良く、ないしはスマートに見せようとするところが「せこい」と感じさせられのが嫌いなのだ。同様に「ベストを尽くす」も嫌いだ。「最善を尽くす」で何処が悪いのだろう?

*スチール写真→ still picture、
解説)私はスチールがstillで静止写真と解るまでに60年以上もかけてしまった。「鉄板(steel)の写真」があるのかなという疑問だ。Motion pictureの反対語か?

*電子レンジ → microwave oven、
解説)何となく“electronic range”ではないかと思わせるが、両方とも違う言葉なのが凄い。“range”(レィンジ)には調理器具の意味があって“gas range”=ガスコンロなんていうのもある。余談だが“oven”は「アヴン」に近い発音だ。

*アドバイスする→ advise or advice、
解説)これは何と言って説明したらよいのか迷う。adviceが名詞形でadviseという動詞がありながら、アドバイスと仮名書きにしてその後にご丁寧に「する」をつけている。矢張り漢字の観念から離れられないのかと思う。「告げる」、「助言する」、「勧める」と言って何処がいけないのか。理解に苦しむ。
他にも「する」を付けた同様な例に、タッチする、オープンする、リードする、アップする、ダウンする等がある。興味を引くのがアップ=upとダウン=downだけは副詞か前置詞である点だ。勿論エレベーターの「上がり」「下り」のように名詞形で使われている場合もあるが、そこまで考えて合成語に仕立てたならば、矢張り先人の知恵には敬意を表したいが、感心はしない。

*ノミネート(する)→       nominate、
解説)日本語の文章の中では「XX氏が芥川賞にノミネート」のようになっている例が多い。普通の英文では"XX was nominated for the Akutagawa Prize.”のように受け身にして使うもの。素直に「~を推薦する」で良いじゃないか。しかも、通常は過去形になってしまうはずが日本文では正々堂々と現在形だ。英語のような現在形と過去形がないのだから仕方がないが、こんな事をしていて「国際語としての英語を学ぼう」もないものだ。
さらに「XXをノミネートする」となれば、行為の当事者となる主語が先行しなければならない。推薦したのが出版社なのか新聞社なのか、あるいは読者なのかをハッキリさせねば文法的におかしくなる。それとも"they"で逃げておくかだが、「主語+述語」の形を採らないと正確な英文にならないとチャンと教えておくべきだ。誰が?

*~をゲットする→         get、
解説)テレビで毎度お馴染みの語法だ。99%の場合に既に何かを手に入れた後で「~をゲット」と表現している。こんな奇妙なことを言わずに「~を得た」か「~を入手」か「~を獲得」か「~を購入」で良いのに、何故か「ゲット」(=get)を使いたがる。これは過去のことだから、文法的には「ガット」(~をgot)としたい。嘗て、故・大沢親分は外野手の中間に上がったフライを「俺が捕る」と声をかけるべきで、その時は「アイガリと言え」とテレビで教えていた。これを英語にしてみれば"I got it."で過去形になってしまう。「恐らく"I get it."か"I’ll get it."だったのだろうが、彼に何処かで先輩がそう教えたのだろうから、親分の責任ではない」と好意的に解釈している。


結び:
アルファベット順でも五十音順でもなく手当たり次第に取り上げたことをお許し頂きたい。重ねて言うがこれ以外にも野球用語のようなスポーツ関連と自動車用語にはまだ沢山あると確信しているが、ここには採り上げなかった。私は個人的な主義主張と好みがあるので、カタカナ語を使うことを極力避けるように話し文章を書くように努めている。そうしても何の苦もなく文章も書けるし、会話だって普通にできる。
何はともあれ、カタカナ語を見たら出来る限り先ず本当に英語であるか否かと、正しく使ってあるか否かを確認してみて頂きたい。ここまでは、英語とそれらしきものを取り上げたが、他にもフランス語(例えばアンケート)、ドイツ語(例えばテーマ=thema)、イタリア語(例えばパスタ)も外来語として戸籍を得ている例があることを申し添えておく。

ここまでお読み頂きまして誠に有難う御座いました。
(終わり)