新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日米企業社会の比較

2014-02-22 10:32:27 | コラム
掲題の件に関して、畏メル友尾形氏とのメール交換を纏めてみると下記のようになる。

何処が違うのか:

尾形氏:
才能と野心のある人には魅力的な国ですが、弱者には厳しい国です。一方で、極めてフェアな国であり、チャレンジは自由です。

私の答え:
尾形さんが言われたように、これはアメリカという世界で生き抜くためには極めて重要な事柄でしょう。アメリカで競争原理を知らないと、特にビジネスの社会に入れば、取り残されます。上に登って行くには実力以外にもMBA等の学歴である資格が必要ですし、その前に先ずIvy League級の4年制の有名私立大に受け入れられておくのも忘れてはならないこと。

製造業は先ず4年制大学の新卒を採用せず仕事の質と量に応じて即戦力を事業本部長の判断で随時雇い入れてます。そのためにはビジネス・スクールでMBAを採っておくか、何処か中小企業で実力をつけてヘッドハンティングを待つことになるでしょう。在学中のアルバイトの経験も必要でしょう。ここで、申し上げておくべきことは金融や証券業界は4年制の大学の新卒を雇用する点です。

こういうアメリカのようなシステムが良いか悪いかよりも「各人がこのような制度に適しているか否か」が問題です。アメリカは自力で自分の能力を幅広く高めて、自分の守備範囲を拡張しておかないとチャンスが巡ってこない国と心得ておくことが必要でしょう。我が国の学校教育式に教えられたことを懸命に勉強していてはアメリカでは良い結果はでない恐れがあります。故に、日本の学校教育で育ってきた人は英語能力以外のころから見てもアメリカ式ビジネスの世界には向かないと思うのです。その反対もあると思いますが。

私はそういう世界だと知らずに入っていきましたので、客観的な姿勢を保てて、なお且つ自分のことではないと思って見ていましたから、冷静にあの過当な出世競争とそこから落ちた人を見ていられたのです。この世界の「えげつない」とすら批判したくなる競争の実態は、留学するとか日本の会社の海外支店に駐在しても容易には見えててこないでしょう。

尾形氏:
<「アメリカは世界最大の格差の国」「最も貧しい国」だなどと言う人もいます。そして、それなりに具体的なデータを挙げていたりします。 仰せのように、<上に登って行くには、MBAなどの資格が必要>、その前にまず、 <Ivy League 級の4年生の有名私立大に受け入れられねばならない>という、ミドルやアッパークラスを目指す人には関門があります。>

私の答え:
当にご指摘通りだと思います。アメリカは格差の国だとか最貧国だ等いうのは一面的な見方です。私が見たアメリカは多くの階級と階層に別れていて、生涯その中でしか生きていけない人が数多くいると事実です。即ち上の方にある富裕な階層に生まれた方が企業社会で成功する確率が高いのだと言えます。何を以て成功というかは別な問題でしょうが、少なくともマネージャーの肩書きを貰えれば良いのかと思うのです。これは肩書きであっても「位」ではありません。

私は「生涯身分は上昇しないが良いか」と決め付けられて転進しました。しかし、入って行けた階層は仏文学博士のTK氏がいみじくも指摘した「貴方の英語は支配階級のもの」が表すような、そういう者たちが支配する会社だったとを後になって自覚しました。その中で彼等にごして実績を残して生き抜くのは容易ではありませんでした。

だが、アメリカの会社組織が我が国とは異なる点の一つに「身分というか階級は上がらずとも何歳になっても昇給出来て、言うなれば『功ある者には禄を以て報いよ』的な制度があることです。給与は年齢と関係なしに前年の実績で評価されて増額されていきます。当然、その反対の減俸もあれば、馘首の危険性も孕んでいます。

解りやすく言えばアメリカのシステムでは事業本部長が人事権を持っているので、彼(彼女)が採用もすれば馘首もする世界です。その本部長の評価が低いかあるいは徹底的に嫌われれば「お帰りはこちら。君の後釜くらいいくらでもいる」と斬られる世界だと思っても良いでしょう。そこで生き残るためには本部長に嫌われないようするのもまた必要なことでしょう。