新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

価値観の変化を憂うの弁

2015-03-09 10:49:54 | コラム
若者の価値観の変化を嘆く:

「頂門の一針」の主宰者・渡部亮次郎氏はテレビを見ないと言われるので、私の嘆きに共感をお持ちにならないかと思う。最近2日ほどのテレビの特集を見ていて、言い過ぎだと覚悟して言えば、嘗て言われた「一億総hakuchi化」の如きことがここまで進んだのかと、何とも言えない思いだった。

中島みゆき大先輩:
まず最初が帯広柏陽高校という北海道の有力な進学校の卒業式で起こった、同校卒業生の歌手・中島みゆきを騙った偽祝辞の一件から。それは中島の名を騙った祝辞だったのだが、中島作の「時代」という歌を全員で歌うという行事にからんだ案件だった。そこまでには何ら価値観の問題はないかのようだが、テレビには「同校の大先輩の中島さん」という説明が入っていたのだ。

卒業する3年生だか在学生だか知らないが、その大先輩の曲を卒業式で合唱しようと練習を重ね、その風景のDVDを中島に送ったという筋だった。そこに付け込んだ偽祝辞が来たという事件?のようだった。

私が価値観の変化を言うのは「中島みゆきが尊敬に値する大先輩で、その人が作った歌を大勢で歌おう」という古き良き?時代に育った私には想像も出来ない価値観が、今時の高校生の間にはあること、教員もその辺を共有しているという点だ。私には到底共感出来ない価値観だと思った。

そういう価値観が蔓延るのならば、何時か貶して何人かの読者に叱られた桑田佳祐の母校・鎌倉学園などでは彼がものにした名曲を年がら年中歌って大先輩に敬意を表していなければならないのではないか。今時の子供たちの価値観の中心には芸能人が鎮座まします時代になったのかと、1933年生まれの私には理解不能だと慨嘆しているのだ。

EXILE:
次は私にはその下品さに辟易させられている歌が中心なのか踊りの集団なのか見えてこないEXILE(こんな字かな?)の一員であるアフリカ系の混血児が、母校である郁文館夢学園(?)だったかを訪れた時の話しだ。私でもこの集団がテレビ等が好んで採り上げる人気集団であるくらいは承知させられている。だが、その大先輩の訪問を間近に見た女生徒が感極まって泣き出したのだ。

この辺りに今時の高校生の価値観を見せつけられた気がしたのだった。テレビの影響の凄まじさを思い切り見た気がして毒気を抜かれた。芸人が彼等の価値観を決めているというか中心にある恐ろしさを見たのだった。だからこそ、テレビは余勢を駆って歌舞伎役者をあそこまで持ち上げて「これでもか」と言わんばかりに礼賛するのだと思わずにはいられないのだ。テレビ局とても歌舞伎の生い立ちを知らない訳ではないと思うが。

ラッスンゴレライ:
3番目は「ラッスンゴレライ」だった。これが何かを説明するのもウンザリだが、所謂一発芸に属するだろう吉本所属の漫才のネタだ。この2人が出身校である大阪府下の吹田の中学校を訪問したのだった。生徒たちは大歓迎だったのは「価値観の変化」からすれば驚くには当たるまい。だが、本当の驚きは学校側が道徳の授業だとか称して全校生を一堂に集めて、その舞台で漫才をやらせたのだった。これが迎合でなくて何だろう。

私には最早驚く余力は残っていなかった。これがテレビ文化の発展が導き出した現代の子供たちの価値観なのだと再確認出来たのから。私(我々?)の目から見れば「ミーハー」は斯くして養成されているので、それが民度にまで影響していると言えば過言かな。