新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月8日 その2 対キューバ戦の零れ話

2017-03-08 18:46:17 | コラム
身体能力ショーと原辰徳の解説:

キューバの野球は並外れて優れた身体能力が基盤になっているのだと見るが、やっているご当人たちは気が付いていないと思う。その野球とはアメリカ人式にも似ているが、兎に角「俺が、俺が」が先で、テイームよりも個人が目立とうとするのである。だから、我が国の野球のように「テイーム・バッテイング」のような打ち方を考えずに、所謂「好球必打」にも似た「好きな球必打」であり、その場の状況判断などは二の次で振り回すのだ。

その次が優れた身体能力を活かした果断な守りを見せることがある。それはセンターのサントスが左中間に上がった大飛球を飛び込んで見事に地上すれすれに捕球したことが好例だ。あれは打球に対する反応も良かったが、あれだけの距離を走って落下点を見込んで滑り込んだのは野球の上手さもあるが、身体能力が優れており勘が良かったから出来たと言えるのだ。飛び込んで捕る能力は野球が上手いだけではなく、体が素早く反応するということ。

内野手だって同様で、我が国で未だに流行っている千本ノック的な練習は言わば精神修養であって、瞬発力がどれほど優れているかを試しているのと同じだ。ゴロの線に素早く入って体の正面で捕球するのが基本技であり、それが十分に出来ない者が飛び込んで捕る練習をする意義は余りない。故に、飛び込んで捕るからファインプレーだの、そうやって捕るから名手だの言うのはおかしい。偉そうなことを言ったが、これは野村克也が嘗て南海の監督をやったドン・ブラッシングゲーム(俗称・ブレーザー)に教えられたと、その著書に記していたことから頂戴した。キューバ人にはそういう能力が高い。

これは零れ話のまた零れ話だが、原 辰徳の解説の口調が余りにも長嶋茂雄に酷似しているので驚いた。これは決して褒めているのではないが、長嶋終身名誉監督様は主として漢字の熟語を濫用して語られるのだが、その語りの文章には切れ目がなく、言わば延々と続くのだ。原君の場合は熟語ばかりという点がソックリなのだが、文章は短く簡潔だ。でも似ている。師弟関係は恐るべきものだと痛感しながら聞いていた。実は、彼の解説は簡にして要を得ていた。8回だったかに平野を直ぐに引っ込めた際に「意味が解らぬ交替だ」と言い切った辺りは見事だった。


WBC野球の第一戦

2017-03-08 08:11:06 | コラム
大味な試合だ:

これは解説者の原 辰徳が試合中に漏らした一言から採った。これに尽きる試合だった。内容は全く原が言う通りで勝ったのだから良かったが、決して褒められるような試合の内容ではなかった。しかしながら、私は忠実に4時間もかかった雑な試合を最後まで見てしまった。それは、この成り行きでは万が一ということもあるかも知れないと、取り越し苦労したからだった。だが、キューバにそこまでの力はなかった。

実は試合開始前の恒例の閃きでは、明らかに「兎に角、日本代表が勝つ」となっていたので、それを信じて観戦した。私はキューバの野球そのものを余り評価していないのだが、マスコミは何が何でも「強豪」として喧伝し、危機感を煽ろうとしていたと見ていた。評価しない理由は、キューバ政府が野球選手の海外進出を解禁して以降、かなりの数の選手がNPBにも来ていたが、我が国の水準を超えた素晴らしい者はほとんどいなかったことがある。

次はMLBに行った連中を見ての印象は(我が国に来た連中にも当てはまるが)何年も前から私がMLBの野球の質の低下を指摘する時に言う「身体能力ショーであり、野球そのものについての学が不足しているし、余りにも大雑把である」なのである。キューバを含めてドミニカ等の中南米からやって来る連中は野球のみの経験しかなく、アメリカ人たちの大学を出た後に「フットボール、バスケットボール、ベースボールのどれでプロになろうか」と悩むような、多くの種目を徹底的に経験し、その結果で頭脳と全身を鍛えてあるので応用が利く訳ではないという意味だ。

能書きはこれくらいにして昨夜の試合だ。アナウンサーがキューバの監督の談話として「先発投手にはエンテンザが最も良いと思って起用した」と語ったというのを聞いて、「これが最良であれば後から出て来るのは彼以下であることになり、投手陣は大したことないだろう」と大凡の察しがついたのだった。果たせるかな出て来る投手たちは皆制球力(カタカナ語のコントロールでも良いが)不足で、山田、松田、筒香に打たれたホームランは皆高目の球でそこに行ってしまったのであり、決して失投などではなかった。

ここでは山田の打球を本塁打に入れたが、あのスタンドの中を走ってきて捕球してしまたファンなるものには、お咎めがなかったのだろうか。あの様に観客が手を伸ばして捕球してしまった例を以前いも何処かで見た記憶がある。DHでは余り気のりがしないようなバッテイングをする山田が折角あそこまで打ったのに、心なき観客に捕られてしまったのは一寸不運過ぎた。波に乗れる機会を失った感があるから言うのだ。

私は5回の壮行試合での出来が悪く、菅野と昨日の先発の石川を除けば、投手たちがWBCの公式球を使いこなせていないのか、微妙なコントロールが出来ておらず大いに不安だった。更に、原 辰則が指摘したように監督が頼りにする則本は力み過ぎて体の開きが早過ぎて甘い球となって打ち込まれるなど、未だ輸入品のボールに不慣れである点が目立った。

14本だったかのヒットが出たし、11点も取れたのは良かったと思う。だが、キューバの投手たちの粗雑さを見る時に、未だ手放しで喜ぶのは早いかとは思う。だが、今夜の相手が中国では我が国の投げ込み十分の投手たちのように細かい制球力で相手の打者の欠点をついて行く投球術が身についていることはないだろうから、抑え込まれることはあるまい。それに松田が好調であるし、坂本と青木も当たりが出てきたのも好材料だ。

昨夜出てこなかった先発用の投手が千賀と武田だったと思うが、千賀は兎も角武田は壮行試合でWBC球に手こずっていた感があったのが不安材料だ。後は宮西と藤波が出ていなかったが、まさかこれらの4人だけで試合を賄う気ではないだろう。だが、中国が相手では圧勝して欲しいものだ。残る不安材料は監督の小久保だけだ。何しろご贔屓の秋山を補欠扱いする監督だから。