新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

3月9日 その2 WBC野球の零れ話 改訂版

2017-03-09 09:06:42 | コラム
身体能力ショー他:

(1)対キューバ戦:
キューバの野球は並外れて優れた身体能力が基盤になっているのだと見るが、やっているご当人たちは気が付いていないと思う。その質はアメリカのMLBに数多くいる南米系の身体能力ショー的野球と同じだ。兎に角「俺が、俺が」が先で、テイームよりも個人が目立とうとする辺りも同じである。だから、我が国の野球のように「テイーム・バッテイング」のような打ち方を考えずに、所謂「好球必打」にも似た「好きな球必打」であり、その場の状況判断などは二の次で振り回すのだ。

その次が優れた身体能力を活かした果断な守りを見せることがある。それはセンターのサントスが左中間に上がった大飛球を飛び込んで見事に地上すれすれに捕球したことが好例だ。あれは打球に対する反応も良かったが、あれだけの距離を走って落下点を見込んで滑り込んだのは野球の上手さもあるが、身体能力が優れており勘が良かったから出来たと言えるのだ。飛び込んで捕る能力は野球が上手いだけではなく、体が素早く反応するということ。

内野手だって同様で、我が国で未だに流行っている千本ノック的な練習は言わば精神修養であって、瞬発力がどれほど優れているかを試しているのと同じだ。ゴロの線に素早く入って体の正面で捕球するのが基本技であり、それが十分に出来ない者が飛び込んで捕る練習をする意義は余りない。故に、飛び込んで捕るからファインプレーだの、そうやって捕るから名手だの言うのはおかしい。偉そうなことを言ったが、これは野村克也が嘗て南海の監督をやったドン・ブラッシングゲーム(俗称・ブレーザー)に教えられたと、その著書に記していたことから頂戴した。キューバ人にはそういう能力が高い。

(2)原 辰徳の解説:
その口調が余りにも長嶋茂雄に酷似しているので驚いた。これは決して褒めているのではないが、長嶋終身名誉監督様は主として漢字の熟語を濫用して語られるのだが、その語りの文章には切れ目がなく、言わば延々と続くのだ。原君の場合は熟語ばかりという点がソックリなのだが、文章は短く簡潔だ。でも似ている。

師弟関係は恐るべきものだと痛感しながら聞いていた。実は、彼の解説は簡にして要を得ていた上手い解説だったと評価している。キューバ戦で8回だったかに平野を直ぐに引っ込めた際に「意味が解らぬ交替だ」と言い切った辺りは見事だった。

(3)オーストラリアのテイーム構成:
8日夜の試合開始前に映し出されたオーストラリアのテイームの全員を見て非常に印象的だったことあった。それは全員が白人だけだった点だ。オーストラリアには原住民もいるしアフリカ系だっている。私は未だ嘗てアフリカ系の選手が一人もいない外国の野球テイームを見た記憶がなかっただけに印象深かった。別な見方をすれば、それだけアフリカ系の身体能力に依存していないということだと思った。

別のグループではイスラエルとオランダが勝ち上がるようだが、オランダにはアフリカ系はヤクルトのバレンティンがいるはずだ。イスラエルはどうなんだろうなどと考えてしまった。アメリカの故サミー・デイビスJRはユダヤ系だったが。


三越伊勢丹とヤマト運輸に思う

2017-03-09 07:52:29 | コラム
時代の変遷:

私は大学在学中の1954年末までのほぼ4年間、三越の銀座支店で「実習生」という名のアルバイトをしていた。従って、あの誇り高き歴史と伝統に輝く日本一の百貨店の内情に接していた。立派なものだと思っていたし、貴重な経験をさせて貰えた。だが、20年ほど前から何も三越だけに限ったことではないが、「あの形式の大規模小売業に最早将来はない。何処かで見切るか業態を変えないことには生存出来なくなる」と指摘した。そして、伊勢丹と合併する少し前には、百貨店は命脈尽きかけているとまで言っていた。


余談だが、あの頃は月曜日を定休日にしていた三越他が一流店で、木曜日定休は二流であると教えられていた。だが、現在の百貨店には定休日はようだし、閉店の時刻など何時なのか高齢化した私は夜には出歩かないので知らない。

更に合併後には何度か三越の店内に入ってみて「あの時代感覚に乏しい品揃えと、海外の人気ブランドの取り扱いが遅れていること、更に未だに本店にベンツやキャデラックで乗り付ける帳場前主(「チョウバゼンシュと読む隠語で、つけで買っていく上客」を言う)に頼っているようではダメだ」とも言っていた。それは、お世話になった三越が往年の輝きを失っていくのを見ていられなかったから敢えて批判したのである。

言うなれば、百貨店業界は小売業界の時代の変化に対応出来ていなかったのではないか。スーパー・ダイエーが出てきた時にも時代の変化が云々されたが、ICT化が進んだデイジタル時代の今日では若者は当然のようにネット通販を利用するし、店頭で商品に触れル習慣すらなくなったかのようにスクリーンで見ただけの商品を買ってしまうのである。

このような主張を「頂門の一針」上で読んだ伊勢丹のOBの方が三越を見に行かれて「全くその通りである。伊勢丹は合併の相手を誤った」と慨歎された。私は三越は「過去の栄光」に縋っていた為に時代の変化について行けなかったのはないかと思っていた。そこで、伊勢丹との経営統合だが、社名では三越が前に付いたが、目下報道されている伊勢丹出身の社長に辞任や三越出身の会長の件を見るにつけても合併という者が如何に難しいかが簡単に予期したほどの効果が挙がらないかが見えてくるような気もする。

実習生をやっている頃に知ったのが、大和運輸(現ヤマト運輸)が三越の配送を一手に引き受けていたことだった。それが、何時のことかそれだけでは将来はないと考えたのか手を引いたのだった。そして何時のことだったか開拓したのが宅配事業の「クロネコヤマトの宅急便だった。それは当たったのだろう。そこにアマゾンを引き受けた為にその伸びで人手不足の苦境に陥ったので、値上げを模索していると報じられている。

一時代を築いたヤマトもここで時代の変化への対応を迫られているのだろう。ここから先は如何に人手不足の時代に対応するかを考えねばなるまい。。げに恐ろしきは時代の変化である。アマゾン等のネット通販の普及が百貨店のような業態を古物化したのだが、その百貨店から転進したクロネコも宅配事業者であるが故に苦しめられているとは、何と言う巡り合わせか。

話は変わるが、8日に何処かのテレビ局だったか、全国の特養老人ホームの空き室率が20~30%と報じていた。その原因はただ一つ、介護士の不足で、その仕事のきついことに比べて収入が低いので、働き手である若者が入ってこないことだそうだ。最早、人手不足に低賃金が問題になっている。これも新たな時代の流れとなったのだろう。これを如何に解決するかが、相変わらずアベノミクスに重くのしかかる重大な課題だろう。