新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

マスコミ論

2017-05-29 14:42:52 | コラム
「真実は一つ」は本当なのか:

私はこのマスコミが好んで使う表現に疑問を感じている。私の見方は「出来事と言うか、そこで起きたことは一つであり、それを現場で見るか聞いたかした報じる者乃至は報じる側の立ち位置、思想・信条、哲学、人生観、先入観、好み、知能または頭脳の違いで、同じ出来事乃至は現象を報じても、色々と異なってくるものだ」と思っている。例えば、慰安婦問題でも、朝日新聞や吉田清治が伝えるとあのようなものになって、我が国にとって重大な禍根を残すことになってしまうのだ。

もっと最近の例にトランプ大統領を挙げてみたい。この人物は共和党の候補に選ばれてキャンペーンを展開し始めてからは、これまでのどの大統領候補者とも異なる誠に異色な人物として報道された来た。また、就任した後でもその新大統領が打ち出す政策や振る舞いには如何にキャンペーン中の公約を実行しようという意図であっても、誠に型破りで、斬新で、時には乱暴であり、常識的とは思えないような強烈な個性に満ち溢れていた。

私はこのドナルド・トランプなる人物を当初から「無知としか思えない要素が多すぎるが、あるいは何もかも承知の上で政策を打ち出しているのか極めて判断しにくい。だが、もしかして、あれで本当にアメリカの政治・経済・外交、防衛、軍事等々に精通していたとしたら怖い」と思って眺めてきた。そして、自分の意見としては彼は「無知は力なり」を身を以て示していると主張してきた。事実、そのように批判し続けてきた。

だがしかし、私とは上述のような立ち位置や思想・信条等が異なる方の中には「トランプ大統領はアメリカの政治に新たなパラダイムを持ち込んでいる強力なな人物で、今や世界を変えようと試みておられ、何れは彼が目指す方向に変わっていくのだ」と強硬に主張する方もおられる。そうなるのに何ら不思議はないのだと私は考えて既に指摘してある。

ここで言うべきことは「ドナルド・トランプなる人物は一人しかいないし、その打ち出す政策も一つの現象というか出来事に過ぎないのだ。だが、見方が変われば、全く別種のことのように報じられるし、全く異なる肯定的か否定的な見解となって現れるのだ。いや、もっともっと多種多様な見方や支持か不支持の理由も根拠もあるだろう。

だが、何処まで行ってもドナルド・トランプは一人しかいないのだ。どの報道か誰の意見を採るかも、受ける側の立ち位置、思想・信条等で異なってくると思う。簡単に言えば「朝日新聞を購読するか産経新聞を読むかの違い」のようなものだ。

話は少し趣が変わるが、私が属する世代では製造業こそが世の中の中心にあり、世界の産業界の方向を定めていると信じていたと言うか、そう信じていて誤りではないと思っていたものだった。それを英語にすれば”We are making the things happening.”であって、流通業界でもマスメディアでもないという信念を表しているのだ。まして、マスコミは我々が想像している世界を読者や視聴者に伝える役目を果たしてくれている存在だというような考え方があったと言えるだろう。極言すれば、製造業が主で、メディアは従だとでも言える自負があったと言えば叱られるかも。

そこでトランプ大統領論に少し戻れば、彼が長年盛名をほしいままにしてきた不動産業界は”They are not making the things happening.”であると言えば角が立つか。その業界から出てこられたドナルド・トランプ氏は今や全世界で”He is going to make the things happening.”の大役を担っている地位に就いたのであり、既に大小取り混ぜたthingsを巻き起こしておられる、良いか悪いかは別な議論かも知れないが。

最後は矢張り英語の講釈で締めよう。この”We are making the things happening.”のような英文を訳そうとするような試みが、我が国の英語教育の欠陥の一つだ。10回でも20回でも意味が汲み取れるまで読んで「こういう時はこういう言い方をするのか」と覚えて貰いたい。

どうしても訳したとされる方には、ヒントとして「世の中ってのはこういうものだ」を最もこれに近い「ニュアンス」(=フランス語で、意味は色、音、調子、意味、感情などの微細な差異と広辞苑にある)の英文にすれば、”This (またはThat)is the way things happen.”があるとお知らせしておく。”thing”と”happen”の使い方次第で、簡単な言葉で難しそうなことが言えるとご理解願いたい。これが英語の難しさと嫌らしさだ。