新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月20日 その2 仙台育英と大阪桐蔭の試合は凄いものだった

2017-08-20 14:27:33 | コラム
<strong>甲子園野球に勝負の残酷さを見た:

19日の最後だったこの試合は何となく惹き付けるものがあったので、最後まで見ていた。途中からBS朝日に切り替えて、横浜高校の監督だった渡辺元智氏の解説を聞くことにした。言うまでもないが、NHKの実業団野球の監督をやっておられた方々の解説は毒にも薬にもならない「良い点だけを褒め称える説明」だから聞いても仕方がないのだ。

私もこれまでにサッカーその他で素晴らしいというか凄い結末となった試合を色々と見てきた。だが、昨夜のあの試合には未だ嘗て見たことがない「勝負の恐ろしさ」と張本勲が屡々言う「勝負には何が起きる予見できない」をこれでもかと言わんばかりに見せてくれた凄い試合だった。育英の勝利に終わった瞬間には渡邊氏が「涙が出た」と言われたほどの結末には、私も気が付けば何故か落涙していた。

私は8回の裏に1点先行された仙台育英が「無死で出た走者に盗塁をさせるのか」と閃き、更に「それは失敗に終わって折角のチャンスを逃がすのでは」とも見えていた。案の定失敗に終わりこの試合もそこまでかと思えば、二死になってから走者一二塁のチャンスが再び巡ってきた。その時点で流石の渡邊氏は「大阪桐蔭は外野手を前に出してきた」と言われた。そこで育英は三遊間を抜く安打を放ち、二塁走者は本塁を狙って走ってきた。

だが、前に出ていた左翼手は良い位置から見事な本塁返球をして走者を刺してしまった。私はここで「仙台育英の命脈はこれで尽きただろう」と思った。しかし、未だ何となくこの先に何かがあるのかも知れないと思い、チャンネルを変えずに食事も忘れて見ていた。

育英は諦めていなかったようで、9回の裏にまたもや二死から安打で走者を出した。私はこの時点で「ひょっとして、ひょっとするか」とも一瞬閃いたので、如何なる結末になるかと見守っていた。そして一二塁に走者が出たところで次打者が何でもないショートストップへのゴロを打った。私は「仙台育英さん、ここまで良い試合を見せてくれて有り難う」となったと思った。ところが、一塁の塁審は一塁手の足が離れたので『セーフ』という判定をしていた。即ち、二死満塁となった。

次の打者は守備要員で入れていた者で、この試合の初打席だった。だが、私は「ここまで流れが変われば、この試合は仙台育英のものになるのか」と密かに期待したところ、恐らく前に出ていたのだろう中堅手の頭上を越えるヒットを打ってしまった。そうなるかも知れないと思ったことが現実になってしまったのは、本当に勝負の恐ろしさを見せてくれていたと思う。

あの馬目という生徒の精神力は凄いと思う。思うに、よほど質の良い練習を十分に積み重ねてあったのだろうかと思って、唯々感心するのみだった。それだから、あの時にあのような運命が巡ってきたのだろぅ。それを逃さずに打ったのは偉いと言って褒める以外考えられない。大阪桐蔭も立派だったし、勝てると思っていただろうが、もう一歩力足らずで運を逃したのだろう。それほど勝負というものは残酷なのだ。