レンゴーの大坪清社長が語った:
29日の日経新聞に大坪清社長のインタビュー記事が掲載され「段ボールの使用量は景気の鏡」だと語られたそうだった。この説は確かにその通りだと思うし、私は長年「製紙産業の景気回復は一般経済の復調から最長で半年遅れることもあるが、紙パルプ産業の動向は景気のバロメーターである」と唱えてきた。即ち、大坪社長の説と同じだと言うこと。
そこで、一般経済と紙パルプ産業、就中製紙業界の景気の関係を改めて考察してみよう。実は、2005年にウエアーハウザーがアメリカの紙パルプ産業界の一般の動向に先駆けて、全米でも最大級の規模を誇る非塗工印刷用紙(上質紙のことで、我が国では屡々模造紙と言われているコピー用紙のような白い紙)事業部門を分離独立させたのだった。すると、世界最大の製紙会社、International Paperも1年遅れだったかで塗工印刷用紙(アート紙のような紙)事業部門を売却してしまった。
この現象をどう解釈するかと言えば、既にアメリカでは凋落の傾向著しい新聞用紙と同様で、この大手二社は印刷媒体(紙媒体)がICT化の急速な普及に脅かされているので、印刷用紙の将来性は危うしと見て、早めに手を打ってきたのだった。更に言えば、大手スポンサーは印刷媒体ではなくインターネット広告に移行していくと見切ったということ。即ち、経済の先行きが製紙産業の近未来を暗示していると読んだのだった。
ウエアーハウザーはその時に、矢張り全米最大級の段ボール原紙と箱の事業は維持するとの声明を出していた。その理由は「段ボール箱はおよそ全ての産業界から包材としての箱の需要があるし、箱の需要の動向からアメリカの景気の消長を判断する貴重な資料となるので、手放す意思はない」ということだった。即ち、大坪社長の見解と同じであると解るだろう。
この辺りをより卑近な例を挙げて説明すれば、家電業界を例にとって新型の4Kテレビとやらが爆発的に売れれば、それに伴って段ボール箱の需要も増大するというようなことである。また、夏場に缶入りのビールが良く売れれば、段ボール箱の需要も伸びるのである。ここを称して「景気の鏡」と言われたのであろう。
但し、段ボール業界が抱えているだろう今後の課題は「段ボール箱を置き換えるような新たな包装材料が現れた場合に如何にして防ぐのか」であろう。段ボール箱の難しさは一度需要家や最終消費者にまで商品が届けられれば、そこで御用済みとなって後は古紙業者による回収を待つのみなのである。製造業界から見れば、何としてもかかる包装材料のコストを引き下げたいと思うのは当然であろう。この辺りのコスト問題に段ボール業界が抱える難しい問題がある。だが、本稿はそういうことを論じる場ではないと思う。
話を印刷用紙に戻せば、確かに景気が回復してくれば、毎朝配達される新聞の折り込み広告も増えるので、小売業界もやっとそこまで競争が出来るところかで復調したかと解るのだ。だが、新聞の月極め購読者は減る一方のようだし、出版物の伸びは芳しくなく、需要の動向の変化が明らかで、紙の本も伸び悩んでいると聞く。これは景気の問題ではなく、世の中の変化をイヤと言うほど見せつけてくれているのだと 解釈している。何れにせよ、紙の需要は減少傾向にあり、景気ではなく「時代の変化の鏡」となっているのだ。
嘗ては3,000万トンを超えていた我が国の紙・板紙の生産量はここ数年間2,600トン台に低位安定している。だが、それでも中国とアメリカに次ぐ世界第3位の製紙国の座は守られている。と言うことは、一般経済の成長率は鈍化しても、それなりに紙の需要が復調してきたと見ても良いのかと、密かに楽観しているのだ。だが、先行きが明るいとは未だ考えていない。
29日の日経新聞に大坪清社長のインタビュー記事が掲載され「段ボールの使用量は景気の鏡」だと語られたそうだった。この説は確かにその通りだと思うし、私は長年「製紙産業の景気回復は一般経済の復調から最長で半年遅れることもあるが、紙パルプ産業の動向は景気のバロメーターである」と唱えてきた。即ち、大坪社長の説と同じだと言うこと。
そこで、一般経済と紙パルプ産業、就中製紙業界の景気の関係を改めて考察してみよう。実は、2005年にウエアーハウザーがアメリカの紙パルプ産業界の一般の動向に先駆けて、全米でも最大級の規模を誇る非塗工印刷用紙(上質紙のことで、我が国では屡々模造紙と言われているコピー用紙のような白い紙)事業部門を分離独立させたのだった。すると、世界最大の製紙会社、International Paperも1年遅れだったかで塗工印刷用紙(アート紙のような紙)事業部門を売却してしまった。
この現象をどう解釈するかと言えば、既にアメリカでは凋落の傾向著しい新聞用紙と同様で、この大手二社は印刷媒体(紙媒体)がICT化の急速な普及に脅かされているので、印刷用紙の将来性は危うしと見て、早めに手を打ってきたのだった。更に言えば、大手スポンサーは印刷媒体ではなくインターネット広告に移行していくと見切ったということ。即ち、経済の先行きが製紙産業の近未来を暗示していると読んだのだった。
ウエアーハウザーはその時に、矢張り全米最大級の段ボール原紙と箱の事業は維持するとの声明を出していた。その理由は「段ボール箱はおよそ全ての産業界から包材としての箱の需要があるし、箱の需要の動向からアメリカの景気の消長を判断する貴重な資料となるので、手放す意思はない」ということだった。即ち、大坪社長の見解と同じであると解るだろう。
この辺りをより卑近な例を挙げて説明すれば、家電業界を例にとって新型の4Kテレビとやらが爆発的に売れれば、それに伴って段ボール箱の需要も増大するというようなことである。また、夏場に缶入りのビールが良く売れれば、段ボール箱の需要も伸びるのである。ここを称して「景気の鏡」と言われたのであろう。
但し、段ボール業界が抱えているだろう今後の課題は「段ボール箱を置き換えるような新たな包装材料が現れた場合に如何にして防ぐのか」であろう。段ボール箱の難しさは一度需要家や最終消費者にまで商品が届けられれば、そこで御用済みとなって後は古紙業者による回収を待つのみなのである。製造業界から見れば、何としてもかかる包装材料のコストを引き下げたいと思うのは当然であろう。この辺りのコスト問題に段ボール業界が抱える難しい問題がある。だが、本稿はそういうことを論じる場ではないと思う。
話を印刷用紙に戻せば、確かに景気が回復してくれば、毎朝配達される新聞の折り込み広告も増えるので、小売業界もやっとそこまで競争が出来るところかで復調したかと解るのだ。だが、新聞の月極め購読者は減る一方のようだし、出版物の伸びは芳しくなく、需要の動向の変化が明らかで、紙の本も伸び悩んでいると聞く。これは景気の問題ではなく、世の中の変化をイヤと言うほど見せつけてくれているのだと 解釈している。何れにせよ、紙の需要は減少傾向にあり、景気ではなく「時代の変化の鏡」となっているのだ。
嘗ては3,000万トンを超えていた我が国の紙・板紙の生産量はここ数年間2,600トン台に低位安定している。だが、それでも中国とアメリカに次ぐ世界第3位の製紙国の座は守られている。と言うことは、一般経済の成長率は鈍化しても、それなりに紙の需要が復調してきたと見ても良いのかと、密かに楽観しているのだ。だが、先行きが明るいとは未だ考えていない。