新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月19日 その2 カタカナ語の野球用語の考察

2017-08-19 13:16:38 | コラム
単語を記憶させる英語教育の成果か:

私は以前から「カタカナで表す野球用語はおかしなカタカナ語の宝庫である」と皮肉を言っていた。野球用語は戦時中には敵性語として英語のカタカナ表記が禁じられていたが、今やほとんどの用語は英語とほとんど何ら関係がないカタカナ語になってしまっている。

先週辺りから不順な天候に外出を禁じられて?家に籠もっているので、甲子園の野球中継も見ている。そこで、アナウンサーも解説者も挙って使いまくる好ましいとは思えないカタカナ語も聞いている次第だ。そこで、この際、あらためて野球用語を考えてみようと思い立ったのだ。

特に頻繁に聞こえてくるのが「ストレート」である。これは、その昔は「直球」乃至は「速球」と呼ばれていた真っ直ぐな投球のことだ。これを曲げて「ストレート」と解説中に言い始めたのは間違っていたらご免なさいで、中畑清だと思い込んでいる。

この語源は恐らく“straight”という単語が「直線の、直進する、曲がっていない」を意味するので、英単語の知識が豊富なことを見せたくて使い始めたと善意で解釈することにした。アメリカでの野球用語は“fast ball”だが、ストレート・ボールという表現は聞いたことはない。因みに、何事も大雑把なアメリカでは変化球全て“breaking ball”で括ってしまう。これは心臓系の病を全て“heart attack”と総称するのにも似ている。「心筋梗塞」には“myocardial infarction”という難しい名称があり、救急隊では“AMI”の略語がある。

次に気になるのが、何も甲子園野球だけに限ったことではないが、「インコース」だの「アウトコース」だのと言うのは、如何に英単語の意味を正しく理解していないかを思いっきり表している。学校教育の至らなさである。

理屈を言えば“in”とは前置詞で「~の中に」と位置を示す単語である。打者に近い内側に寄った球筋を示すためには全く不適当な単語である。英語にはこれと似た表現を聞くことはないが、“high on inside”のような言い方を聞くことがある。「内角高め」だ。

「コース」も不思議である。これは名詞で「ある方向への進行または推移」か「方向または進路」とジーニアス英和には出ている。これと「イン」または「アウト」と組み合わせた知恵は素晴らしいが、英語をどう学べばこういう発想になるかと思う時、理解に苦しむのだ。

以上の他にカタカナ語は多々あるが、敬遠の四球(intentional walk)、牽制球(pick-off throw (attempt)、サヨナラホームラン(walk-off home run)、前進守備(draw-in infield)、バックホーム(throw to the plate)等をこのように和訳した知恵は皮肉でも何でもなく、先人は偉いと思うのだ。

畏メル友・O氏は<ええーつ、という感じがします。逆に言えば、「上手く訳したものだ」という気持ちにもなりますね。>との感想を寄せられた。私も同感である。兎に角、唸らせられるほど上手い訳というか、意訳だろう。

上記以外では「エンタイトルド・ツーベース」というのが凄いと思う。これの元の英語は“ground rule double”だから、これを先ず日本の感覚で"entitled two base (hit)"という英語にして、カタカナ語の「エンタイトルド・ツーベース(略してエンツー)」にしたと解釈している。何度か述べてきたが、私は"entitle"等という堅苦しい単語を使って話した記憶がないほど所謂「難しい単語」をこのように使った英語力に正直なところ感心している。

これは決して皮肉っているのではなく、それだけ「単語の知識」のみを与える英語教育の成果がこういう形で表れたのだと思っている。後難を恐れずに言えば、こういう形でしか結果が現れないような教育をしてきたと考えている。

余談の部類だが、私の大好きなカタカナ語の悪影響を示す挿話にこういうのがある。それは
試合を決めるホームランを打った元MLBのアフリカ系の選手がヒーロー・インタビュー(これも純粋なカタカナ語)で「ホームランを打った球は何でした」と訊かれた。球団の通訳は躊躇うことなく“What kind of ball did you hit homerun?”と訳したのだった。

そこで彼は皮肉な微笑を浮かべて「あれは確か野球のボールでフットボールではなかった」と答えたのだった。この話はロバート・ホワイティングという人がその著書に載せたので私は当時書いていたコラムではそのことを断って書くしかなかったのが残念だった。

投球は今では一般的に「球」と言われているが、英語では"pitch"か"delivery"なのだ。私はこれを最初は「投球」と訳し、後に「球」(タマ)に短縮したのだと思っている。だから、通訳さんは“ball”にしたのだろう。

野球用語は言い出せば切りがないほど全部が巧みに意訳されたカタカナ語と言えるだろうと思う。しかし、「ストライク」と「ボール」は意訳しようがなかったようで、戦時中は「よし」と「駄目」(または悪球)だったかと記憶している。


8月19日 その2 カタカナ語の野球用語の考察

2017-08-19 13:11:03 | コラム
>単語を記憶させる英語教育の成果か:

私は以前から「カタカナで表す野球用語はおかしなカタカナ語の宝庫である」と皮肉を言っていた。野球用語は戦時中には敵性語として英語のカタカナ表記が禁じられていたが、今やほとんどの用語は英語とほとんど何ら関係がないカタカナ語になってしまっている。

先週辺りから不順な天候に外出を禁じられて?家に籠もっているので、甲子園の野球中継も見ている。そこで、アナウンサーも解説者も挙って使いまくる好ましいとは思えないカタカナ語も聞いている次第だ。そこで、この際、あらためて野球用語を考えてみようと思い立ったのだ。

特に頻繁に聞こえてくるのが「ストレート」である。これは、その昔は「直球」乃至は「速球」と呼ばれていた真っ直ぐな投球のことだ。これを曲げて「ストレート」と解説中に言い始めたのは間違っていたらご免なさいで、中畑清だと思い込んでいる。

この語源は恐らく“straight”という単語が「直線の、直進する、曲がっていない」を意味するので、英単語の知識が豊富なことを見せたくて使い始めたと善意で解釈することにした。アメリカでの野球用語は“fast>

トランプ大統領が不安だ

2017-08-19 09:22:50 | コラム
アメリカは何処に行くのか?:

トランプ大統領は遂にと言うか何というのか知らないが、最も彼に対する影響力が強いと報じられてきた首席戦略補佐官(物々しい役職名だが、英語では素っ気なく”Chief strategist”のようだ)ステイーヴン・バノン(Stephen K. Bannon)を解任した。この度の白人至上主義問題発生後のトランプ大統領の危うい発言の揺らぎの陰にバノン補佐官の影響があったと報じられていた。

私はアメリカとその文化に直接に接してそれに慣れ親しめるようになってから、何時何処に行っても常に国旗が掲揚され、室内にも置かれているのは、単に愛国心の発露だけではなく、バラバラの階層というか階級、貧富と教育その他による格差による差別、人種、言語等々を何としても統一せんが為の有効な手段とされているのだろうと考えていた。少なくとも、オバマ政権時代まではUnited States of Americaの統一というか統一感はそれなりに堅持されてきたと思う。

そこに「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」を掲げたトランプ候補がトランプ大統領になってからは、私にもある程度は理解できるイスラム教系やメキシコ島の南米からの不法移民を排除する政策が打ち出された。その辺りから、辛うじて維持できていた統一感が崩れて行きかねない傾向が見えてきた。私は白人であるトランプ大統領が「もう後何年か先には、白人が少数民族になるだろう」アメリカにある程度以上の危機感を抱いていたとしても、不思議はないのかも知れないと思って見ていた。

私が23年前までの1年の30%以上を過ごしてきたアメリカには確かに諸々の人種が共存していたし、格差も、不平等も、人種差別も厳然として存在していた。だが、それなりにアメリカという国には何らかの行事の前には全員が起立して声高らかに”O say can you see, by the dawn’s early light ~”と国歌を斉唱する羨ましいような一体感があった。

だが、2009年と12年に訪れてみたカリフォルニア州では、あらゆる場所に現れる韓国系アメリカ人と韓国人が余りにも増えていたのは、予測していたとはいえ驚かされたし、ヒスパニックが嬉々として韓国人に雇われている現象にも目を見張らされた。オバマ大統領が何も積極的な手を打たなかった政策が「アメリカを理想の場所」から「行けば何となる国」に急速に変えてしまったと感じざるを得なかった。

トランプ大統領が就任してから何ヶ月経ったろうか。アメリカにオバマ政権の頃よりも何か目覚ましく改善されたか良くなったことがどれほどあっただろうか。世界の情勢を改善することにトランプ大統領が何らかの形で貢献しただろうか。「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」のスローガンで目指したところは悪いとは言わないが、現時点では何ら良い結果を生み出していない。

NAFTAを再交渉することは「アメリカファースト」の一つの表れだろうが、トランプ様は自国の産業界と製造業の所謂「国際競争力不足」とその原因が何処にあるかを全く無視されているのは危険以上に危ういのである。何度も指摘してきたが、「我が国と中国がアメリカの貿易赤字の原因であって怪しからんから懲罰するのだ」という主張も、極言すれば「彼の無知と国際市場への理解度不足が言わせている」のだと繰り返して指摘したい。

DPRK対策にしても、まさかそれをご存じでないとは思いたくないが「金正恩は自分よりも遅く国家の指導者の地位に就いた習近平と少なくとも対等かそれ以上であると確信している」と報じられていることが示すように、金正恩はトランプ大統領が如何にも自分を格下の小国の指導者の如くに見下したことを言い続けのが、彼の誇りを傷つけられたと怒っているとはお考えにはなっていないだろうと思うのだ。

私はトランプ大統領が「今日までに恰も思い付きだけから、その時々に勝手なことを言いだして、ここまで国内外の情勢を混乱させ、世界中を不安に陥れてしまったこと」を何処まで認識しておられるのかが不安なのである。オバマ政権当時に「世界の警察官」の職と地位を捨てたのだが、トランプ大統領は無意識にその座に戻ろうとするかの如き言動を続けたのだと見ている。それが「アメリカファースト」ではないのか。

トランプ大統領に残された道は「一刻も早くTwitterでの品位に書けた語法での見境なき発言を止めて、先ずはアメリカ国内の状態を就任前の安定度に戻す努力をすることではないのだろうか。敢えて言うが、製造業を知らない人が世界でも嘗ては最強の物造りの国だったアメリカを「再び偉大にする」策は輸入制限くらいしか思いつかないだろう。

大統領と雖も周囲にいるか在野か知らないが、専門的知識と経験を豊富に持つ人たちの助言と忠告を謙虚に聞くべきだろう、仮令それがお好みではなくても。トランプ大統領は専門的な経験と知識を持つ優れた人たちがあれほど多いアメリカの大統領になる為には、”homework”が不十分だったと断じたい。