新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

真相は何処に

2018-05-17 09:02:21 | コラム
トランプ大統領と対中近東政策:

トランプ大統領は公約通りにイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転させた。予想通りと言うべきか何と言うべきか、紛争は起きた。

私は中近東における揉め事と言うかイスラエル、イスラム教徒というかパレスチナ間の絶える事なき紛争について、在職中に某総合商社の2名の中近東駐在経験者に色々と教えられていたものだった。現場を経験してきた彼らの言うことは、アメリカのメディアの fake news ではないが、全く我が国で報道されていることと違っている点が大きな特徴だった。

そこで、その1人に「何故あのような事態になるのか」と教えを乞うたところ「そういう質問が出ること自体、貴方が世界史を十分に勉強してこなかったということ。そんな人に語っても無意味だから、良く高校の教科書でも読み直してきて下さい」と一蹴されてしまった。そこで引っ込んでいる訳にも行かないので、再度辞を低くして依頼してみた。

結果としては語ってくれたが、現地ではパレスチナ人というかイスラム教徒は「我らの聖地を彼らに不当に奪われたのだから、それまでにかかった数千年をかけてでもこれから奪還すると固く誓っている。これは短期決戦ではない。短期間の和平などということは彼らの眼中にはない。そういう視点で見ていて、初めてあの長い紛争の実態が見えてくるものなのだ」と解説された。「聞いてないよ」という思いだった。ということは矢張り不勉強だったのか。

私にとっては未知の世界のことを解き明かされたのだから、それをそのまま受け入れる他はないと思って拝聴した。だが、それが正しいのかどうかには意見の差し挟みようがないのだ。彼ら2人の解説では「第一次湾岸戦争では不当だったのがクエートであって、クエートに不当に奪われた領土の奪還を目指したフセインは間違っていない」となっていたのだった。当時でも、アメリカが仕掛けたことと、マスコミ報道でも政治家の言うことでも、駐在経験者の解説と何故違うのかと訝ったものだった。

私には「中近東における紛争の実態はそういうことだったのか」と受け止める以外はなかったと言うか、アメリカ発の報道と現地にいた者と視点が変われば、かなり異なった絵が見えてくるものかと思っていた。


トランプ大統領と金正恩委員長の首脳会談の雲行き

2018-05-17 08:34:39 | コラム
DPRKが態度を変えてきた:

あのまま順当に素直に6月12日に開催されるのかと密かに期待していたこの世紀の(なのだろう)会談の雲行きを、DPRKが自らの手で危うくしてきた。そういう事態になってみてから「矢張り金正恩委員長はそういう手も準備していたのか」と思わせてくれた。私は以前から金正恩は希代の知恵者であるのか、または余程知能的に優れた参謀が傍らにいるのかと見えると言ってきた。しかも、その参謀役と思しき者は一度もテレビの画面にも登場したことはなかったし、存在が云々されたこともなかった。

ところが、今回の会談の開催を考え直すという、彼自身の発言ではないような手の打ち方は私には、それほど知恵がある方式とは思えないような気もした。だが、金正恩委員長は事ここに至っては、既に2度もあれほど遠ざけていたかの如き習近平主席と2度も会談をして見せたし、昨日辺りの報道では外交団を北京に送り込んで習近平主席と会談して頂いていた。即ち、トランプ大統領が「全ての選択肢がテーブル上にある」と言われても「我が方には習近平主席と中国がついているぞ」と言わんばかりである。

先ほども、テレ朝に4人の所謂専門家が登場して「現実に会談が開催されるのか」に関する予測を展開しておられた。ボンヤリと聞いていただけだったが、悲観的な方の方が少なかったと思う。トランプ大統領は未だ金正恩委員長から聞いていないと言われている。また、DPRK側はボルトン氏を名指して批判しリビア方式の適用を排斥すると発表して見せた。なるほど、如何にも従来のDPRK式の事前の手を打ってきたなと思わせてくれた。彼らは既に米韓軍事演習を理由に、南北閣僚会議を取りやめてる手を講じてきた。

世間では屡々「虚々実々の駆け引き」などとは言うが、中国の後ろ盾を得た金正恩委員長とDPRKは何処まで強気なのか俄に判断できない。だが、明らかに会談が実行された時に自国に有利に展開する為に備えて、トランプ大統領とアメリカ側に彼ら独特の圧力をかけて見せているように思える。そういう北東アジアとでも言うべきかあの民族独特の交渉術に「二者択一」で「イエスかノーか」を迫るアメリカ方式のトランプ大統領がどのように対応されてCVIDを達成されるかは、矢張り全世界の関心事となって行くだろう。

トランプ大統領が果たして席を蹴って立ち去るか、2度か3度の会談にまで忍耐強く持ち込まれるのかは失礼を顧みずに言えば、大変に興味ある見物となるだろう。だが、これとても、素直に順調に(専用機が飛べて?)金正恩委員長がシンガポールまで出向いていくかに懸かっていると思う。