新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月7日 その2 2~3千万円を撒かないと

2021-12-07 14:59:35 | コラム
新潟県での選挙にまつわる出来事:

自民党新潟県支部は泉田裕彦議員を除名するとか。この度の新潟県政のドントやら言われている県会議員と泉田裕彦議員との間の揉め事(カタカナ語にすれば「トラブル」だろうか?)を連日のように報道されては、呆れもしないし、悲しくも感じないし、怒る気もしないのだ。と言うのは、我が国に於ける政治ではなくて地方に於ける顔役が選挙ともなれば、あのように候補者まで支配している有様というか醜態を、あれほどまでに「これでもか」と見せつけられては、何とも言いようがないのだ。

この状態を見せつけられて思い出したことがあった。それは、これまでに何度か引用したことだ。神奈川県下の某市の選挙管理委員長だった中学校以来の旧友(級友)に「我々の仲間で県下の政界に隠然たる影響力を持つXX君は、何故彼自身で国会に打って出ないのか」と尋ねた時の委員長の答えである。「お前も解っていないな。彼奴は自分から出ていくほどのアホじゃないのだ」だった。「なるほど。政治と選挙とはそういうことか」と素直に納得した。

新潟の一件が、この思い出話と同じ範疇に入るのかどうかまでは解らない。地方で市会議員から県会議員と上昇(なのだろうか)して行ったのだろう、自称か他称なのか知る由もない「ドン」の「当選したかったら2~3千万を惜しんではならない」と勧告した裏だっただろう話を、比例で救われた泉田裕彦議員が暴露したという事案のようだ。選挙、それも特に地方での裏の出来事であるべきことを表に浮かばせてしまったようだ。

泉田裕彦議員は敢えてそんな実態を公開し、星野県会議員が真っ向から捏造だと否定してかかっているようだ。その何とも言いようがない有様をこれでもかと言わんばかりに報道されても、最早驚く気にもならない情けない次元の出来事であると思った。これまでにそういうことではないのかと思わせられてきた「地方に於ける選挙の実態」を、あらためて認識させて貰えたのである。

私は地方の方が志を立て市会議員に当選し、そこで「地方に於ける政治の実態」を学び、次の段階で県会議員と一歩上か横に進んで見識を広め経験を積み。遂には国会の赤絨毯という立身出世があるようだと、朧気ながら感じてきていた。それはそれで個人の意志で進出されたのだから結構なのだが、私にはその間に学習したことは仲間内と議場での駆け引きと後援してくれているだろう人たちを組織化することのように思えてならないのだ。換言すれば「非常に限定された世界の中での生き残り術」を習得しただけで真の政治だとは思えないきがするのだ。

報道によれば、地方の議員さんたちも公費で世界各国の事情を視察に出掛けておられるようだが、その成果についてのテレビ局の報道は何時でも極めて辛辣で「税金の無駄遣い」と決めつけられている。即ち、地方の都市であるとか県という限定された範囲の中での政治というか駆け引きの術を身につけられて、究極的にはそれだけの見識を引っ提げて国会という大海に乗り出してきたのではないのかという気がするのだ。広い世界を見てこられた訳ではなく「井の中の蛙」となっただけではと思うのは僻目か。

星野県会のドンは泉田裕彦議員に「大海に漕ぎ出す為には投資を惜しむな」と教え諭したのだろう。私のように間もなく89歳になろうとする人生で、未だ嘗て一度も居住する地区の議員さんから接触された経験がない者には、想像も出来ないような次元の出来事であるとしか思えないのだ。当事者のドンは音声まで暴露されても、色々と詭弁の如き事を言って責任を回避しようとする姿勢には、情けなさの前に哀れさえ感じさせてくれるのだ。言ってみれば「こういう環境から国会に議員が送り込まれるのでは、安心して任せて良いものやら」という状態だ。

マスコミが星野ドン県会議員と泉田裕彦議員の何れをも叩かないのは、彼らの常套手段だとは思う。また、自民党内からも野党からも何ら非難か批判めいた声が聞こえてこないのは、まさか彼らは身につまされているから何も言えないのではあるまい。誰か一人くらい「あれは新潟県だけの特殊な事例であり、我々は2千万も何も撒くことなしに当選してきた」と胸を張って言って欲しいと思う。そうでなければ「選挙とはこういうものだった。反省している。是非改革しよう」と言ったらどうか。


北京五輪の外交的ボイコット

2021-12-07 09:23:26 | コラム
アメリカのバイデン政権は外交的ボイコットに踏み切った:

バイデン政権は「アメリカに追随するかは関係諸国の判断に任せる」と表明したと報じられている。この件については我が国の報道機関は「岸田政権にとっては容易ならざる判断となるだろう」と、予てから習近平やりたい放題政権に対して何処まで強硬に出られるかと問いかけていた。

そこに岸田総理はあろうことか親中国派の誉れ高き林芳正氏を外務大臣に起用したのだった。これでは益々我が国の判断を難しくしたと、マスメディアは新外務大臣の存在を問題視するかの如き報道をして見せた。その間にアメリカが漸くその外交的ボイコットの姿勢を鮮明にしたし、冬季オリンピックの開催までは2ヶ月を切ったとかだ。

私は「もしかして我が国の態度を決める方法もあるのではないか」と勝手に考えて見た。安倍前総理が「台湾有事は我が国の有事」と言い切ってしまわれたし、対中国の外交と貿易の姿勢をいかにするか、そこに含まれてしまうのかも知れないサプライチェーンとやらを考えても、同盟国のバイデン大統領の決断に従うしかないかとも思える。だが、アメリカとは異なって中国が直ぐ近くにある我が国は今更引っ越すこともできないし、習近平様の逆鱗に触れかねないことをするのが、最上の策とも思えないとの考え方もあるかのようだ。

そこで「戯けたことを言うな」とのご批判か大炎上をも考えた上で、岸田総理に「このようにされたら如何でしょうか」と提案してみたい考えがある。それは、バイデン大統領対しても、習近平に対しても我が国の顔が立つようなことができるとは思えないのだが、我が国が置かれている微妙な立場をバイデン大統領に早急に率直に表明して、反応を探ってみることから始めたらどうかと思うのだ。

バイデン大統領に向かって「我が国は対中国との諸々の関係を熟考した結果で、外交使節団も選手もフルスペックで派遣することにしたいのです。その最大の理由は面子を重んじる中国で君主の如くに振る舞う習近平主席の顔を立てることを優先することです。そこには、ボイコットした際に中国が我が国に対して仕掛けるだろう想定可能な数多くの嫌がらせを考えると、我が方の国益が被るだろう損害が余りにも甚大なので、涙を呑んで外交使節団の派遣を考えた次第です。事情ご賢察の上、何卒ご理解の程を」と告げたら如何ということ。

我が国が外交市場でここまでハッキリと真情を吐露したことがなかったので、鬼でも蛇でもないバイデン大統領は素直に理解して下さる可能性に賭けたら如何かと思うのだ。問題は、その際には玉砕戦法ではなく、contingency planも用意して臨むことだ。それは了解されない場合に備えて「UK他の民主主義信奉国の出方を見極めた上で、大勢がボイコットに傾いたのであればボイコットに踏み切る」という二の矢を準備しておくことだ。

そして、習近平の中国に向けて「我が国はアメリカ他の民主主義国の決定に同調して、北京冬季オリンピックを外交的ボイコットします。宜しくご理解の程を」と通告する選択をするのだ。

とは言ったが、このような情勢判断とボイコットを検討している諸国との話し合いが短期間に簡単に終わるとも思えず、もしかするとそうこうして間に、オリンピックは開催されてしまい、事は有耶無耶に終わってしまうのではないのかとも思える気がしてきた。岸田総理は所信表明演説でこの件に触れておられたかどうまで確認していないが、バイデン大統領に容易ならざる踏み絵を突きつけられた問題のように思えるのだ。