新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

宣伝広告媒体の変化の陰で

2022-05-12 09:02:25 | コラム
ICT化とデイジタル化が進めば:

私がこれまで毎年採り上げた来た「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等への出稿の統計」が示してきたように、4大媒体が衰退の一途を辿ってきた間に、インターネットの広告だけが成長を続けてきたという時の流れがあった。

私はこれがITC化(デイジタル化)の急速な進歩と変化による時代の流れを表しているのであり、最早その流れを押し止めることは不可能だろうと受け止めていた。特に私のように長い年月紙パルプ産業界にお世話になっていた者としては、印刷(紙)媒体の凋落は何とも言えない寂しい出来事なのだ。

だが、低下傾向は何も印刷媒体だけの現象ではないようで、矢張りマイナス成長を続けるテレビ業界にしても、つい先頃「100万円でテレビCMを流せますよ」というような音声を流していた。私はこのような業界のことなど知りはしないが、テレビでコマーシャルメッセージを流す為にはそんな少額の費用では済まないのだろうと考えていたので「時代はそこまで来ているのか」と受け止めていた。栄枯盛衰は世の常だろうが、広告宣伝の業界での進歩と変化は急速なのだと、あらためて認識している。

そこに、偶々あるラジオの現場に携わっている方の声を聞ける機会があったのだ。私はその内容に切実さを感じたので、諸賢のご参考までに引用してみようと思った次第だ。

>引用開始
我々の分野はいまや「古いメディア」と言われるものになりました。新聞・雑誌・テレビ・ラジオのことです。これらを今まで通り続けても、維持することはもうできないという事でしょう。このような変化の時代になってきましたので、インターネットで見られる・読まれるようなコンテンツを積極的に出していこうと、方向転換を始めたばかりです。

情報通信技術の革新は、“護送船団的”だった私たちの業界に、大嵐のような勢いで襲来しています。「ヤフーニュースで注目トピックになる」ことを目指して、4大媒体の何れを問わぬ競争が起きています。それが現実なのです。

今や全国的にラジオニュースの専属スタッフを置いている放送局は、東京・大阪を除いてほとんどありません。東京さえも、アナウンサーが兼任しているか、アナウンサー出身者で維持されているのが現状です。その潮流に逆らうこともできないでしょう。我々が「デイジタル班」に転換するのか、“古き良き”「ラジオを維持する人」になるのか、その判断をする時が迫っているような予感がします。
<引用終わる

この現場の声を知る機会を得て、現場にいて時代の急速な変化と進歩に直面している人たちがどのように現実を認識し、対処して行くべきかを考えているのかが解った次第だ。

印刷(紙)媒体の衰退が止まらないこと即ち、新聞用紙と印刷用紙の需要減退なのだが、情報用紙(帳票等の用紙)の需要も低下傾向にある。だが、「楽々清算」という会社のように、テレビの広告で「未だ紙を使っている」と女性に叫ばせて「如何にも紙を使っているのは時代遅れだ」と言わせている場面があるのは不愉快だ。あれでは紙が悪いのだと言わんばかりだ。

あの場で言うべき台詞は「未だにアウトプットしなければならない帳簿のシステムが古物化した」ではないのだろうか。今日まで情報を紙に印刷して事が処理できていたことを忘れて「未だ紙が」など言わせているCMを作った広告宣伝会社の見識を問いたい思いだ。