新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何処の何方が如何なる権威の基に決めるのだろう

2022-05-17 08:37:31 | コラム
カタカナ語による表記ことである:

1996年9月頃だったか、未だラジオに定期的に出始めるようになった頃に「ビジネスマンの服装」を採り上げたことがあった。その放送の中で「寛いだ服装」と言いたくて「キャジュアル」と言ったのだった。すると、ジャズの評論家としても著名だったキャスター氏が怪訝な声で「キャジュアルですか」と反応されたのだった。私は不勉強にして、ここで初めてcasualがカタカナ語になると「カジュアル」となっていたと知り得たのだった。思うに、この出来事が切掛けとなってカタカナ語の不合理な点を追及し始めたのだった。

私は何処の何方が如何なる権威があって、外国語その中でも英語の言葉をカタカナでの表記や読み方を決めているのかと不思議に感じている。より解りやすいだろうと思って言えば「何故、原語と異なる表記にするのだろうか、しなければならないのか」なのだ。意味不明だと思った。

その疑問に思う例だと思うのが、今週になってから頻繁に取り上げられるようになった「NATO」である。言うまでもなく「北大西洋条約機構」のことでNorth Atlantic Treaty Organizationである。これの英語での読み方は「ネイトー」である。だが、マスコミは躊躇うことなく「ナトー」にしてしまった。これがローマ字読みであることは明らかだ。だが、何で、世界で通用している「ネイトー」ではなく「ナトー」としなければならないのかが、私には理解不能なのだ。

いえ、何故ローマ字読みにしなければならないのかが不明なのだ。これも、「ナトー」で日本語としての戸籍を得てしまったので、今更どうにもしようがない典型的な例だと思う。

他にも星の数ほどある原語とは異なるカタカナ表記になっている例を、幾つか思いつくままに挙げてみよう。こうする意図は「これって、どのような科学的根拠があってのことなのか」という点にあるのだ。先ずは、今シーズンになって漸く調子が上がってきた(解説者用語では「状態が良くなった」だが)大谷翔平君が所属するLos Angeles Angelsから。殆どのテレビ局も新聞も「ロサンゼルス・エンゼルス」としている。だが、NHKだけは「エンジェルス」としているので、メデイア間では摺り合わせがないようだと知れる。

出来る限り原語に近いカタカナ表記をしてみれば「ロスアンジェレス・エインジェルス」になるだろうし「ロスアンジェリーズ」もあると思う。私がおかしいと思っている点は「何故、元の英語とは異なったカタカナ表記を選んだのか」なのだ。「何処に、英語に近い表記を選ばない理由があったのか」なのだ。

アメリカ人たちの中にはLAの略称を使う人もいる。そういう例があるのだったならば、おかしなカタカナ語にするよりも簡単に「エルエー」で良くはないのかなどと考えてしまう。Angelsだって、何もわざわざ原語とは違う「エンゼルス」にする理由はないとしか思えないのだ。尤も、広辞苑にはgeneralは「ゼネラル」としてあるので、これに準拠したのかとも考えている。General Electric社だって「ゼネラルエレクトリック」と表記されている。本当は「ジェネラルエレクトリック」なのに。

他にも、これまでに何度か取り上げて批判した例も挙げておこう。それはsecurityである。これを、何故マスメディアが「セキュリティ」としたのかは全く理解不能だ。それは、如何なる辞書を見ても、発音記号に従えば「セキュアラテイー」とするのが最も英語の発音に近いからだ。その根拠を問う前に、私が最も奇異に感じていることは、テレビに登場される学識経験者も国会議員の先生方も平気で「セキュリティ」を使われる点だ。何処で英語の単語を勉強してきたのか疑いたくなってしまう。

私は学者の先生方がsecurityの正確な発音が「セキュアラテイー」だと知らないはずはないと思っている。そうだったならば、何故テレビ局や新聞に迎合して「セキュリティ」などと言われるのかが解らないのだ。まさか、テレビ局から彼ら独自の「外来語辞典」でも提供され「これに従うように」などと求められている訳ではないだろうな。正確ではないカタカナ表記の発音を聞かせられては、罪なき弟子たちは「先生がセキュリティと言われるのだから」とばかりに、真似てしまいはしないかと懸念している。

敢えて締め括れば「どのようなカタカナ表記を使われようと勝手だが、それらが本来の外国語とは異なった表記である」くらいは、先生方が機会を求めて、後進の為に表明しておいて頂きたいものだと思っているのだ。