新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アメリカの民主党政権の考察

2023-07-03 08:04:03 | コラム
民主党政権は“bad news”であると言ってきた:

“bad news”としたのには他意はない。「悪いお知らせ」の意味だが、「我が国にとってはアメリカで民主党の大統領が選ばれると、余り良いことはない」と長年言い続けてきたから言うのだ。古くはFDRことFranklin Roosevelt大統領、近年ではクリントン大統領、オバマ大統領と、我が国に対して必ずしも好意的ではない方ばかりだった。そこに、現在はトランプ前大統領を僅差で制したバイデン政権が誕生している。

私が見る民主党大統領の有り難くなかった点を挙げておけば、クリントン大統領は我が国を目下と見たのか、無定見に圧力をかけてきていた。紙パルプ産業界に身を置いてきた者として言えば「アメリカから製紙の原料ばかりを輸入して、世界最高の品質であるアメリカの印刷用紙等の輸入を増やさないとスーパー301条を適用する」という身の程知らずの脅迫めいたことを言ってきた。

私は既にリタイアした後だったが「アメリカの針葉樹を主たる原料にした印刷用紙類は、広葉樹を主原料とする国産の高品質の紙に慣れた日本市場には全く不向きであり、根付くことはない」と、1987年に指摘してきた。この事を改めて我が国の業界には「アメリカ製の印刷紙等は恐れるに足らず」と方々で語っていた。事実、21世紀の今日に至っても不発のままだ。この例などは非常に単純な「市場と需要の違い」を弁えていれば、言い出すことなどあり得なかったのだ。

トランプ政権もそうだったが、事ほどさようにアメリカの政府と各種の産業界は「我が国とアメリカとの市場と需要の違いを理解も認識していなかった為に、日本市場に定着できなかった例が多いのだ。手前味噌にはなるが、ウエアーハウザーがアメリカの数多い会社の中でボーイング社に次いで対日輸出で第2位になっていたのは、主として日本のメーカーと競合せず、国産品がない市場を目指して輸出してきたからである。

オバマ政権はクリントン政権とは違って、具体的に特定の品種を挙げて圧力をかけるような行為はなかったが、明らかに我が国を軽視するような姿勢で臨んできた。その裏にあったことが「中国を野放しにした失敗」で、今日のアメリカとの対立の切掛けを作ってしまったと言って誤りではないだろう。そのために、習近平政権が露骨に我が国の属国化を目指し始めたのではないかと、私は推察している。“bad news”ではないか。

バイデン政権である。「日本の防衛費増額は自分から言い出したので、岸田内閣が実践した」というような発言は取り消されたそうだが、エマニュエル大使(Rahm Israel Emanuel)の内政干渉の如き発言にも現れているように「我が国を属国の如くに看做している感」が濃厚である。この点では、過去のクリントン政権やオバマ政権と同様な姿勢であると思っている。“bad news”だと思っている。

高名な田久保忠衛氏は「我が国はアメリカの庇護の下にあるのだから、アメリカを批判するような言動をしてはならない」と言われていた。長年アメリカの会社にいて、そのような「アメリカに養われている国」のようには感じたことはなかったし、属国だと見ているような言辞を弄する人にも出会わなかった。強いて言えば「日本はアメリカの子会社であり、投じてきた資本に見合う配当を得るのは普通の前のこと」の感じて接していたと思う。

長年彼らの中で働いてきた経験から言えば「彼らを外側からだけ見て、マスコミ報道や資料や統計や伝聞だけから判断するのは危険ではないのか」なのだ。実務を担当している階層や、支配階層の者たちの内側に入って本音を聞き出して、実感を得ておかないことには、数多くの人種が集まって構成されているアメリカという国の実態を見定めることが難しくなってしまうと思う。

さらに、支配階層にいる者たちの驚くほど鋭い頭脳からでて来る言動の裏と表を読み切れないと(悪知恵も発達しているという意味だが)、彼らとの付き合いが難しくなると思う。換言すれば「彼らと付き合うのに、性善説信奉の姿勢で臨むのは禁物だ」という事。特に民主党政権は要注意という事でもある。