話が予期せざる方向に:
ビッグモーターという会社の想像を絶した在り方が報道の通りであれば、こういう悪事を働く会社が本当にあったのかと、驚き呆れていた。社員たちが自発的に「会社のために」と奮起してやってしまうような性質の悪事ではないとしか思えなかった。「まるで漫画の中の出来事のようだ」などと言えば、漫画家に対して失礼ではないかとすら思う悪質さなのだ。
この件の報道が始まって以来、不当な保険請求により被害を被っていたはずの損保会社が静かだったとは思った、だが、そこに何か意味があるのかなどと疑うことなどなかった。ところが、今朝程からテレビでも新聞でも、大手損保会社が「自動車保険等を販売していたビッグモーターに合計37人もの出向者を出している」と報じ始めたのだった。
「なるほど。それで損保会社は静かにしていたのか。彼らはビッグモーターが何をしていたのか承知していたのか。それでは同じ穴の狢と同じではないのか」と思って聞いていたし、新聞も読んでいた。大手損保会社の出向者たちが、何も知らなかったか、見てみぬ振りだったのか、加担していたのかなどは知る由もないことだが、公に何も言わなかったのは、何か意味があったのとか疑われても仕方があるまい。損保会社も責任を問われる事態になるのではないか。
あのような悪さを社員たちが如何に「宮仕え」の身であっても、役員会か上級管理職からの何らかの指示か命令がなくても実行して「会社のため」か「身の安全を図った」とも考え難いのだ。ということは「会社ぐるみ」であり、もしも損保会社まで巻き込んでいたのだったら大事であり、未だ嘗て聞いたこともなかった重大な倫理問題であると思う。こんな企業を存続させるべきかと言いたいが、消滅させれば加担していなかった社員たちの生活に問題が生じるだろう。
マスコミは「社長及び会社が記者会見をしていない」と非難しているが、出てきて素直に罪を認めて、例によってテレビカメラに向かって形式的に頭を下げろとでも言いたいのか。恐らく、テレビカメラの前というか公衆の面前に出て何を言うべきかを、社長以下役員全体が思いつけない事態ではないのか。否定に回れば一層叩かれるだろうし、知らなかったと言えば無責任と真っ向から非難されるだろうし、罪を認めれば恐らく会社は破綻するだろう。
この前代未聞の問題を起こした会社の案件を所管する官庁を、可及的速やかに何処か一つに絞るべきではないか。経産省の問題のようでもあり、国土交通省も関係していそうで、金融庁も調査に入るとか言っている。早く態勢を固めておかないと「日本国の企業はこれほど無秩序で非倫理的だ」などと海外に流されたらどうする。ジャニーズ事務所問題よりも遙かに重い事案で、大恥かきになってしまうのではないか。矢張り「岸田さん。お願いしますよ」と言って終わる。