新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月28日 その2 「選挙」のことを思う

2024-07-28 11:04:00 | コラム
日本でもアメリカでも重大な選挙がある:

先ほど何気なくNHKにチャンネルを合わせてみたら、アメリカ大統領選挙について、私にとってはジョセフ・クラフト氏以外は知名度が高い権威者が意見を述べておられるところに出くわした。そこで「あーそうだった。オリンピック以外にも我が国には重大な話題があったのだ」と気が付いた次第。この件とメダル獲得を心配するよりも、国内には他にもっともっと重大なことがあると思えてならない。

何処かで先頃回顧した気もするが、昭和30年(1955年)7月以来1994年1月にリタイアするまでの間に営業職以外に経験がなかったので、「営業というか取引の場では如何なる事があろうとも、政治に関する話題を持ち出してはならないのが鉄則である」と教えられたことを金科玉条として守り通してきた。この姿勢はアメリカの会社においても変えることはなかったし、アメリカ人たちとそういう事を論じあった記憶もない。

だが、リタイア後の20年も経ってしまった頃に、ドナルド・トランプ氏と言う私にとってはトランプタワーに住んでおられるとかいうこと以外には何らの予備知識もなかった人物が「泡沫候補」と誹られながらも出てきたのだった。私は選挙期間中から現実に大統領に就任されてからも、その経済・貿易等々の内外の政治についての不勉強というか基本的知識の欠如振りには呆れる前に「この人に大統領が務まるのか」と疑問に感じていた。

それよりも何よりも、20年以上もの間アメリカの企業社会を支配していたのだと思わせられていた経営者たちに接する機会があったので、トランプ大統領のswearwordまで使ってしまう言葉遣いの下品なことには、それこそ「あり得ないことだ」と驚愕させられていた。あれやこれやで、私はトランプ大統領の非常識なこと、実務について無知なことを、感じたままに批判した。

だが、トランプ大統領に在任中に、その粗野で品位を欠いている言葉遣いは、彼の岩盤の支持層である所謂プーアホワイトと彼自身がworking classと言われた労働組合員やそれに準ずる労働者たちに向けたものであると解ってからは、本来は民主党の支持基盤であった者たちを自陣に取り込む為の言うなれば斬新な手法だったと解った。

即ち、嘗てUSTRのカーラ・ヒルズ大使が認められた「初等教育を満足に受けていないか、識字率も低い」階層の者たちにも解りやすく語りかけていたのである。彼等支持者たちはトランプ氏を信じ、トランプ氏に示唆されれば(当人はしていないと否定されたが)バイデン氏の当選を認めさせないように国会議事堂にも乱入したのだと、私は見ていた。

そのトランプ氏は再選を目指して準備おさおさ怠りなく、一時は言葉遣いも穏やかにしたとすら見えた。そこにあの銃撃事件が起きて「不死身のトランプ」を印象づけて指名も獲得した。ところが罵倒してきたバイデン大統領の撤退という予想の範囲内だった事態が生じて、カマラ・ハリス副大統領が後継候補者に指名されるや、悪口雑言で暴言を吐くトランプ氏に戻ってしまった。

「下品な人と事」を嫌う私がもしアメリカの有権者だったならば、一も二もなくハリス副大統領を選択したかも知れない。だが、事はアメリカの大統領選挙であるから、私は何度か取り上げた表現の“It remains to be seen.”という「結果が出るまで待ちます」としか言いようがない。アメリカの有権者たちの中でもインテリ階級にトランプ支持者は少ないのだが、その数はトランプ支持者よりは遙かに少数派である。

先ほど、チラと見た討論会の中で何方かが「アメリカ大統領という地位に女性を選んだらどうなるのか」という意味のことを言っておられた。これをアメリカの女性たちが聞いたら何と言って怒るだろうか。この発言は確か「女性の支持がハリス副大統領に傾きつつある」というのを受けてからのことだったが、外国人である私がこれ以上に云々する必要はない話題だと思っている。

それよりも言いたい事は、我が国は11月のアメリカ大統領選挙よりも前の9月に自民党総裁選が予定されているので、こっちこそが焦眉の急の問題ではないのか。第一に、評判が悪くなる一方と言いたい岸田総理総裁は未だ撤退は表明されていないし、振付師の感が濃厚な木原誠二は「引くことはない」と明言したではないか。

罪なき一般人に聞けば、石破茂氏が常に次期総理(なって欲しい人)の第1位で、次が小泉進次郎氏である。その他には麻生副総裁と菅前総理が推される有力者も目白押し状態だ。現在の我が国が直面する国内外の重要な案件を思う時に、私は4ヶ月も先のアメリカ大統領選挙などどうでも良いとは言わないが、メデイアも我々国民も自民党総裁選に対してより重大な関心を持つべきだろう。「何とか色」のメダル獲得よりもこっちが大事ではないか。

パリオリンピック観戦記

2024-07-28 07:40:21 | コラム
「メダルだ、メダルだ」などと騒ぎ立てるな:

昨日から団体競技を中心に時間が合う限り、我らが代表選手たちに「何とか勝ってくれ」と願って応援し、鍛え上げてきた技術を鑑賞して楽しんでいた。だが、残念ながら世界のランキングの通りにならない結果も出てしまったようだった。それとも「メダル獲得への期待」の重圧に苦しんだのか。

Volley ball(ヴァリーボールと正確に表記したいのだ):
マスコミの報道によれば、男子代表は海外組を筆頭に実力が非常に向上して、世界のランキングも第2位であることから、金メダルとやらの獲得が期待されていた。しかも初戦の相手のドイツは11位ということなので、勝利を期待していた。誰が期待したのかといえばマスコミなのだが。私がテレビ中継で困ったことだと思う事は「アナウンサーが期待を込めて我が方の選手を過剰に讃えるので、聞いている方が錯覚を起こさせられること」である。

この試合ランキングの9位にも及ぶ開きで、如何にも我が代表が勝つものだという希望的観測を込めすぎた為か、再三のそれこそ手に汗握る激しいゲームポイントとマッチポイント奪取合戦の結果で、格下だったはずのドイツにフルセットまで行って負けてしまった。この競技の技術的な事は良く解らなかったが、身長差に加えて我が方には何となく「相手は格下だ」という気の緩みのようなものを感じたのは誤りか。それとも「メダルへの重圧」か。

バスケットボール(男子):
ホーバス氏が監督に就任してから順調に成長し出場権を獲得してから、マスコミ主導で「メダル」への期待が高まっていた。特にNBAで揉まれて実力が向上した八村が参加したので、期待はいやが上にも高まってきていた。昨夜の相手はランキングが3位で、世界選手権を獲っていた実力者のドイツだった。我が代表はといえば28位で、試合では私の目にも実力差は明らかだった。

勿論、身長の差はあったが、リバウンドを獲った数では我が方が多く、フリースローも確実に決めていた。だが、問題はドイツのオフェンスでは外側にスリーポイントシューターをフリーにする組み立てが絶妙で、しかもシューターが殆ど落とさずに決めてしまうので、前半から3ポイントが決まらなかった我が方は劣勢に立たされた。しかも、私の見立てで八村へのマークがそれほど厳しいとは見えなかったが、彼のシュートが決まっていなかった。

確かにホーキンソン(懐かしきシアトル出身でワシントン州立大学卒。昨年2月に帰化)などはリバウンドで活躍し、富樫と河村というダブルポイントガード方式も機能はしていた。だが、シュートが決まらなかったというのか、決め損ないが多すぎると感じていた。ホーバス監督が重点志向されたという3ポイントの決定率が40%を下回っている間にじりじりと差が開いていって、結果としては97対77と、20点差で終わった。

実力差と言えばそれまでだが、史上最強と言えるほど良い選手を揃えても、世界の壁は高かったということか。不思議に感じたことがあった。それはアメリカのNCAAで活躍していた期待の3ポイントシューターの富永が最後まで出てこなかったこと。故障していたとは聞いていなかったので、何かあったのかと訝っていた。捲土重来に期待しよう。

サッカー(男子):
先ほど終わったばかり。U-23に世界ランキングがあるのかどうか知らないが、「アフリカのマリという相手はイヤだな」という予感はあった。我が代表にはヨーロッパ組も多く、キャプテンの藤田を中心に選手の粒が良く揃っていて、綺麗なサッカーを展開してくれていた。アフリカ人たちは我が方と比較すれば、何と言っても足が長く、身体能力が優れているという特徴がある。この試合でもその点は十分に発揮されていた。

我が国の選手たちはもうそろそろ「足の長さの差が、どれほど先方の武器になっているか」を完全に把握して躱していくサッカーが出来ても良くはないかと思って見ていた。どういうことかと言えば「前が空いて相手シュートのチャンス」とばかりに蹴ると、何処からともなく足が出てきてカットされてしまうし、上手く隙間をついて縦一発のパスを通したと思いきや、足が伸びてきたインターセプションという残念なことになってしまうのだった。

マリの戦術にはイヤらしい特徴があった。それは往年の中近東勢の手法で、大して厳しく当たられた訳でもない時や、すれ違いざまにぶつかってしまった時などにグラウンドに倒れ込んでのたうち回ってみせるという、FK獲得狙いの手なのである。この試合でも何度かやって見せた結果で、首尾良く我が代表キャプテンの藤田他1名にイエローカードを出されてしまった。しかも、女性の主審はかなり厳しく反則をとる方だった。

結果としては、私が得点能力を評価してきたJリーグの細谷が右サイドを鮮やかに突破してゴール前にパスを通して混戦になった所に、山本が飛び込んで決めた。その後のアディショナルタイム中にペナルティエリアでのハンドを取られたものの、解説の森岡隆三が言ったのだと思う「未だ決められた訳ではない」の通りになってマリのキッカーが外したので逃げ切って、一次リーグ戦突破に成功した。我が代表たちが真摯に敢闘したことを褒めて終わる。