新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ビッグモーター問題に対する報道機関の姿勢

2023-07-27 07:26:21 | コラム
マスメデイアのこの問題への対応を非難したい:

彼らが待ち望んだ社長(当時)の記者会見があって、漸くこの会社が何をしてきたかを報道するようになった。お笑い種の姿勢であると思う。昨日はNHKでも、ずっとビッグモーターを取材していたという記者が登場して実態(なのだろう)を語っていた。遅きに知ったと思う。NHKはCMを流さない存在だから、もっと忖度なく早く取り上げておいても良かっただろうに。

テレビ局は「車を売るならビッグモーター」のCMを提供して下さるスポンサー様に弓を引けなかったのだろう。かく申す私は10年以上もラジオに出演していたのだから、スポンサーの存在は良く分かっている。でも、今回のような事態に立ち至るまで沈黙してきた彼らマスコミに同情する気にはなれない。

ところで、国交省のビッグモーターの新社長を呼んでの聞き取りだが、余り意味はないと思う。終わった後で新社長は「良く分かって頂いた」という意味のことを言ったが、聴取の内容は「控える」と言った。役員を呼んでも意味はないと思う。前社長は既に「知らなかったので愕然とした」と言ったのだから、元専務も知らなかったという他ないくらいは、国交省も解っておられたと思いたい。実態を知りたいのであれば、現職と元の工場長辺りを呼ぶべきだったのでは。

ある弁護士さんは「詐欺罪は6ヶ月以内の親告罪であるから、今になっては立件できないのでは」との懸念を表明しておられた。まさか、ビッグモーターの経営陣はこれを読んでいたのでは。マスメデイアは事ここに至って損保ジャパンとの深い関係を報じ始めたが、“Better late than never.”とも言ってやれない態度だ。早くこんな不愉快な案件の報道が聞こえて来なくして貰いたいものだ。


ビッグモーターという会社の問題

2023-07-26 07:50:10 | コラム
所詮は「おやじ」個人の会社だったのでは:

私は昭和30年(1955年)に新卒で入社以来5年ほどは、需要家以外にも紙流通業界の卸商(紙類の二次販売店)も担当する営業職だった。その卸商(紙商)であり、多くは社名に「洋紙店」が入っていた店では、社長とその一族が経営する個人企業が圧倒的に多かった。そこでは多くの社長は「おやじ」と親しみを込めて呼ばれ、絶大な権限を持って彼独特の厳格な経営方針の下で店を運営していた。

その手法がどれ程厳しかったかの一例を挙げておけば「外交と業界用語で呼ばれていた営業マンたちは、勤務時間中に社内に止まっていることは許されず、その間はできる限り多くの得意先を回って歩き、少しでも多く受注して帰社することが仕事だった。そのような環境下では「おやじ」に「良い報告ばかりが上がっていき、滅多に悪い話は上がっていかなかったと理解していた。

長々と述べてきたが、昨日のビッグモーターの兼重宏行社長の記者会見を聞いていて、彼が「天地神明に誓って知らなかった」と言わばシレッとして語っていたのは、必ずしも嘘ではないのではと思っていた。それは、おやじ個人が大株主であり、絶大な権限を持ち支配していれば、社長が好まない悪い話が言上されることはなかっただろうと読んだという事。本来あるべき姿としては「社長は良い話は要らない。悪い話を報告に来い」と指示しておくべきではなかったのか。

テレビでのネット上でも「強権的な経営方針で臨んでいたのは、実際には息子で専務の宏一氏だった」となっている。その専務は昨日の会見にも出ていなかったが、早稲田大学出身でアメリカに留学してMBAを取得しているとかだ。そうと知れば、このように想像できる。

即ち、アメリカで経営学を学べば「事業部長はその運営に関しては全権(勿論人事権は含まれている)を与えられている」ので、悪く言えば「個人の好き勝手ができる」とも解釈できるのである。宏一氏はもしかするとその辺りと勝手に解釈して、創業者で最大の株主である父親の威光を借りて専横な振る舞いをしたのではなかったと考えられるのだ。

私が見てきた紙流通業界における数々の「おやじ」の会社でも、このような言わば勘違いの息子に出会ったことは極めて希なことだった。ということは、兼重宏行社長はご子息の指導を誤ったのか、息子の能力とMBAを過大評価して、家業の運営を任せてしまったのかな、などと考えている。

昨日のような支離滅裂とでも評したくなるような記者会見になったのは、社内に社長にどのような内容で語るべき加藤の会見の内容を進言できる秘書役というかその人材もおらず、組織もなかったのだと読める。要するに、7,000億円もの売り上げの会社でありながら、それに相応しい組織も態勢も整っていなかったとのだろう。


7月25日 その2 ビッグモーターと損保会社の関係は

2023-07-25 09:00:15 | コラム
話が予期せざる方向に:

ビッグモーターという会社の想像を絶した在り方が報道の通りであれば、こういう悪事を働く会社が本当にあったのかと、驚き呆れていた。社員たちが自発的に「会社のために」と奮起してやってしまうような性質の悪事ではないとしか思えなかった。「まるで漫画の中の出来事のようだ」などと言えば、漫画家に対して失礼ではないかとすら思う悪質さなのだ。

この件の報道が始まって以来、不当な保険請求により被害を被っていたはずの損保会社が静かだったとは思った、だが、そこに何か意味があるのかなどと疑うことなどなかった。ところが、今朝程からテレビでも新聞でも、大手損保会社が「自動車保険等を販売していたビッグモーターに合計37人もの出向者を出している」と報じ始めたのだった。

「なるほど。それで損保会社は静かにしていたのか。彼らはビッグモーターが何をしていたのか承知していたのか。それでは同じ穴の狢と同じではないのか」と思って聞いていたし、新聞も読んでいた。大手損保会社の出向者たちが、何も知らなかったか、見てみぬ振りだったのか、加担していたのかなどは知る由もないことだが、公に何も言わなかったのは、何か意味があったのとか疑われても仕方があるまい。損保会社も責任を問われる事態になるのではないか。

あのような悪さを社員たちが如何に「宮仕え」の身であっても、役員会か上級管理職からの何らかの指示か命令がなくても実行して「会社のため」か「身の安全を図った」とも考え難いのだ。ということは「会社ぐるみ」であり、もしも損保会社まで巻き込んでいたのだったら大事であり、未だ嘗て聞いたこともなかった重大な倫理問題であると思う。こんな企業を存続させるべきかと言いたいが、消滅させれば加担していなかった社員たちの生活に問題が生じるだろう。

マスコミは「社長及び会社が記者会見をしていない」と非難しているが、出てきて素直に罪を認めて、例によってテレビカメラに向かって形式的に頭を下げろとでも言いたいのか。恐らく、テレビカメラの前というか公衆の面前に出て何を言うべきかを、社長以下役員全体が思いつけない事態ではないのか。否定に回れば一層叩かれるだろうし、知らなかったと言えば無責任と真っ向から非難されるだろうし、罪を認めれば恐らく会社は破綻するだろう。

この前代未聞の問題を起こした会社の案件を所管する官庁を、可及的速やかに何処か一つに絞るべきではないか。経産省の問題のようでもあり、国土交通省も関係していそうで、金融庁も調査に入るとか言っている。早く態勢を固めておかないと「日本国の企業はこれほど無秩序で非倫理的だ」などと海外に流されたらどうする。ジャニーズ事務所問題よりも遙かに重い事案で、大恥かきになってしまうのではないか。矢張り「岸田さん。お願いしますよ」と言って終わる。


ジャニーズ事務所という困った存在

2023-07-25 07:29:52 | コラム
嫌悪するジャニーズ事務所のような存在を何とかすべきでは:

以前から「ジャニーズ事務所を蛇蝎の如く嫌悪する」と言ってきた。それは「彼らの頭目である故喜多川某におかしな性癖があると裁判でも認められていたにも拘わらず、マスコミというかテレビ局その他は排除できていなかったこと」に加えて「男宝塚とでも言いたくなる奇妙な品位に欠けた演技をさせて、日本中の若者に珍妙な風俗を流行らせ他だけに飽き足らず、彼らをミーハーに育ててしまった罪」があるからだ。

いや、それどころか嘗て故大宅壮一氏が唱えた「一億総白痴化」を主導し普及させてきたのだ。それに乗せられて、嬉々としてミーハーになっていった青少年が情けないのだ。彼らジャニーズ事務所は進駐軍が主導した「日本国と日本人を骨抜きにする」に加担していたのかと、疑いたくなってしまった。

その彼らの頭目の性癖が世間一般の目にさらされる事態になっても、喜多川の後継社長は一向に反省の態度を示さず「再発防止に努力」などと戯言を言っただけでお茶を濁そうとしていた。喜多川の振る舞いを再現しようとする者が社内にいるとでも言うのか。

私が言いたいことはこの程度ではない。喜多川の振る舞いが事もあろうにUKのBBCが取り上げて報じたのだった。これだけでも好い加減にウンザリなのに、我が国のテレビ局は「遠慮するしかない」とでも言いたいような姿勢に終始し、ジャニーズの批判も非難も一切取り上げなかったし、彼らを使い続けている。

BBCだけで済んでいれば未だ良かったのだが、今度はUNがこうした問題の責任者を2名も派遣して調査に乗り出したのだった。私は海外で何を言われようと反論すべきはチャンと反論しに出向くべきだというのが持論である。ところが、今回は常日頃「たいした威光もないUN」と否定的なことを言ってきたが、そのUNが真っ向から「調査する」と言って乗り込んできたのでは、話が違うと思う。私に言わせれば「途方もない世界的な恥さらしだ」なのだ。

政府が責任を負うべき案件かどうかは知らないが、事が発覚してから今日までマスコミもテレビ局も世論も真っ向から非難攻撃もせず、あの存在を放置してきたが為に、UNまでが乗り込んできたとは大恥ではないのか。たかが芸能事務所すら処分できなかったとは、何事かと言いたくもなる。今日まで知り得た処罰は、ヴァレーボール協会が国際試合の景気づけに使ってきたジャニーズの餓鬼どもを排除しただけだから情けない。

岸田総理や松野官房長官のお手を煩わすような案件ではないと思うが、誰かが立ち上がってあの事務所とテレビ局の姿勢を正すよう動いて頂きたいものだ。私は彼らジャニーズのような下品な連中が大嫌いなのだ。


今さらながら「アメリカの会社論」を

2023-07-24 07:47:35 | コラム
紙パルプ産業界だけに限られた議論か:

今日までに何度も何度も「アメリカの企業社会」と「我が国との比較」を論じて、我が国との相違点も紹介してきた。もう10年ほど前のことだったか、このアメリカの会社論を纏めて、ある経済誌の出版社に提出したことがあった。だが、デスクにアッサリと却下された。理由は「これは紙パルプ産業界のみの事情ではないのか」と「この書き手は無名である」だったとか。

当方が無名かどうかは別にして「紙パ産業界のこと」と決めつけるのは、アメリカをご存じではないと言っているのと同じだと思った。ご存じであるかないとも言えるが、得意とする文化比較論から言えば、雇用の流動性が我が国とは異なっていて非常に高いという(中途採用の世界だという)認識が不足ではないかと思った。

私は19年間ウエアーハウザーから動かないでいたが、その前には同じ紙パルプ産業界のMeadに2年半在籍していた。ウエアーハウザーのその19年間に上下左右を見回して何人がより良い条件の先に移り、自己都合か馘首で去って行き、何人が他業種から新規に採用されていたかということ。言うまでもないが、四大の新卒者の採用はない。

副社長は別組織である地方の工場の現地採用の経理係からの転職者、今でも親しい本部のマネージャーだった人は、東海岸の食品関連の会社から、技術サービスマネージャーは原子力関連の会社から移ってきていた。カストマーサービスのマネージャーの女性は派遣会社か来ていて転職したのだし、副社長秘書は一旦女優業に転出した後で復帰したという具合で、悪く言えば異業種からの転入者の混合体だった。

そういう構成になっているから「君はここに来るまで何処の会社にいて、何の仕事をしていたか」と尋ねるのは失礼でも何でもない世界だった。これだけのことではなく、ビジネススクールの受験資格を考えてみればより解りやすいと思う。今では「実務の経験を4年かそれ以上積んでくること」となっている。長年の知り合いのIntelの精鋭は四大を卒業してから、銀行、証券会社、調査会社を経験していたが、これは彼らの世界ではごく普通のこと。

要するに、経営の幹部か管理職に選ばれる者たちにはMBAが多いこともあるが、色々な業種を経験しているのだ。このような異業種を経験した者たちが集まってその事業部を運営しているのであり、経営を担当する副社長級に上がっていくのだ。であるから「それは紙パルプ産業界に限られた現象である」というのは正確な批判ではないと断言できる。

極端な例と言えるかもしれないことを挙げれば「ウエアーハウザーの9代目にしてファミリー以外からの最初のCEOだったクレイトン氏は、最も小さい部門だった不動産会社の長から紙パルプ林産物会社のCEOに抜擢された後で、United AirlinesのCEOに転出していた」のだ。これだけも三つの異業種を経営していたことになるではないか。私は偶々紙パルプ産業界の中で2回転職していたに過ぎない。

このような仕組みになっているアメリカの会社組織を、我が国の会社と同じだとは考えない方が良いだろうと思う。そう思っているから、我が国に「job型雇用」などを深い慮り無しに導入するのは、如何なものかというのだ。