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混迷を深めるウクライナの政治情勢

2007-04-06 | ラジオ
ウクライナでは政治的な危機的状態が深刻の度を増している。
:ヴィクトル・ユシチェンコ大統領が議会の解散を宣言したのに対し、議会及
び政府で多数派を占める勢力は、これに反発している。
こうした政治的混乱が始まったのは先週で、ユシチェンコ大統領が現在の
連立政権の行動を憲法に違反するものとして非難し、その活動は非合法
的なものであると宣言したことに始まっている。

多くの政治評論家たちはユシチェンコ大統領が、議会と政府との対決姿勢
を鮮明にした理由は、大統領が急速に失われつつある権力を、奪還しよう
と試みていることで説明されると考えている。
またユリア・ティモシェンコ元首相など、いわゆるオレンジ革命でユシチェン
コ大統領を支持したグループも、自らの影響力の低下を自覚し支持回復の
ため、しきりに大統領をたたきつけている。
しかしながらユシチェンコ大統領が見せている行動の最大の理由は、国民
と政府の大部分から否定されている、これまでの政策に大統領が固執して
いる点にあるといって良いだろう。

現在のウクライナ情勢をめぐって、CIS諸国研究所の副所長は次のように語
っている。
「必要なのは事態の本質を見据えることだ。ユシチェンコ大統領はただ単に
古い憲法の下で、自らが保持していた権力を取り戻そうとしているだけでは
ない。彼はその権力を自らが必要している政策を、実施するために利用しよ
うとしている。
しかしながらユシチェンコ大統領にとって最大の問題は、そうした政策が国民
の大部分にとって不利益である点にある。
だから現行の憲法の下でのウクライナ大統領には、大きな権力が保障されて
いるのにも関わらず、ユシチェンコ大統領にはそれだけでは不足している訳だ。
例えばウクライナ国民の大部分はNATOへの加盟をも、またロシアとの対立を
も望んではいない。
しかしながらユシチェンコ大統領は自国の利益よりも、よそからの影響に左右
されるような自らの政策を進めるため、国民の意思や議会の意見に耳を傾け
ずに済む可能性を手に入れることを望んでいる訳だ」
副所長は、この様に語っている。

こうしてあのオレンジ革命から3年半を経た今、ウクライナは再び大変動を迎え
ようとしている。
キエフには当時と同じように、対立するそれぞれの陣営の支持者が集まり始め
た。
分析筋のなかでは両派が対決に踏み切るかどうかは、疑問であるとの声が挙
がっている。
と言うのも対立する一方の派のリーダーである、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ首相
は警察を、またユシチェンコ大統領は軍を、それぞれ抑えているからだ。
こうした事態を受けロシア議会下院国家会議の副議長は、ウクライナの政府が
団結し、新たな対立を深めることの無いよう期待の意を表している。

4月3日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル