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ヨーロッパに新たな危険を生み出すコソボの独立

2008-03-02 | ラジオ
コソボの一方的な独立宣言は、ヨーロッパにとっての新たな危険を生み出す。
次期大統領候補の1人であるロシアのメドベージェフ第1副首相は、ボルガ沿岸
の街ニジニ・ノヴゴロドで有権者との交流会を行い、そのなかでこの様な見方を
明らかにした。
メドベージェフ第1副首相は続けて、次のように述べている。
「広大な地域の安定と安全が危険にさらされている。現在セルビア周辺はマッチ
を一本近づければ、緊張が勃発する一触即発の状態となっている。しかも残念
なことにコソボ独立の決定が広い範囲で支持されている。
率直に言えばヨーロッパを極めて困難な状況に陥れようと、外部から先導されて
いるような印象だ。アメリカはヨーロッパから地理的に遠く離れているため、特に
大きなリスクを負っていないのは当然の事たが、ヨーロッパは再び戦争勃発の可
能性を秘めている」
メドベージェフ第1副首相は、この様に述べている。
AX
ヨーロッパ各地で紛争勃発の予兆は、すでに現れている。
コソボの独立はまだ成立していないが、独立宣言はすでにバルカン地域以外でも
主権国家としての存在を求める多数の地域に、大きな刺激を与えている。
例えばボスニア・ヘルツェゴビナの構成体であるセルビア共和国議会は、独立の
是非を問う住民投票を行なうべきだとの立場を明らかにしている。
またルーマニアのトランシルバニア地方に住むハンガリー人達や、ウクライナ西部
のウクライナ人なども独立を求める動きに出ているほか、グルジアからの分離独立
を宣言しているアブハジア共和国や、南オセチア共和国も独立承認に付いての問
題を提起している。
このほかスペインのバスク地方やスコットランドの民族主義者らも、独立を目指す方
向性に付いて話し合いを行なっている。
未知の国スペイン―バスク・カタルーニャ・ガリシアの
歴史と文化


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しかもこうした動きは始まったばかりだ。
ヨーロッパにはかなりの紛争地帯が存在している。そこでコソボ情勢が法の枠内で
の解決に向かわなければ、そうした危険地域の多くで戦争が起こる可能性がある
のだ。

一方、歴史的な領土の一部を失おうとしているセルビアは、暴力に対抗して行く構え
だ。
これに関連してセルビアのコシュトゥニツァ首相は、アメリカがバルカン問題を法の枠
内に戻し、不法な主権国家の承認を取り消すまで抵抗を続けるとの声明を表している。
セルビアはこうした闘いにおいて、ロシアの支持を期待している。メドベージェフ第1副
首相はコソボ問題の解決をめぐっては、精神的な面だけでなく経済的にもセルビアを
支援していくとの考えを明らかにしている。

さらにメドベージェフ第1副首相はサウスストリーム、南ルートなど大型ガスパイプライ
ン敷設計画へのセルビアの参加は、セルビアの経済分野における多くの問題を解決
するための、大きな可能性を開くものとなるだろうとの考えを示している。

ユーラシアの世紀―民族の争乱と新たな国際システムの出現

秋野 豊
日本経済新聞社


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2月28日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル