ルシコフ・モスクワ市長の更迭に対し専門家達は、この出来事はモスクワにとっても、また国全体にとっても重い意味を持ったものであったと見ている。
大統領の決定は政治学者たちにとって予想外のもの、意外なものとは見えなかった。というのはここ数ヶ月、ルシコフ市長は解任されるだろうとの噂が、ますます声高に語られるようになっていたからだ。
そうした噂に火が付き燃え上がったのは今年の春のことで、2025年までのモスクワ市の総合発展プランプロジェクトの討議の際だった。
多くの主要な専門家達はこのプランに異を唱え、彼らはもしこのプランが採択された場合は、モスクワの歴史的な、言ってみればモスクワの顔といったものが失われてしまうだろうと主張した。
しかしモスクワ市当局はこのプランを採択し、そのことによってこの決定の裏に、賄賂を受け取った人々の都合があるからだとの話が広がった
おまけに現在に至るまで、この市の複数の官僚達を巻き込んだ、汚職賄賂スキャンダルは、しばしばマスコミを賑わせていた。
多くはあれやこれやの建物の建設の許可を与える際の、手続きに関係したもので、ロシア検察庁付属調査委員会は、この3年間でモスクワ市の然るべき役職に就いていた人物が関わる、24件を刑事事件として告発した。
一方モスクワ市民の間でも不満の声が広がっていた。
事態を抜本的に変える必要がある、人々の我慢の限界というものがやってきていた。これは受けてメドヴェージェフ大統領は連邦大統領として、ルシコフ氏に対する不信を表し彼を更迭した訳だ。
しかしこうしたことはモスクワだけの問題ではない。
ロシア外務省・外交アカデミーの教授は、ロシアの声からのインタビューに対し次のように述べている。
「モスクワ市民はルシコフ解任は、汚職と官僚主義との闘いに沿った実際的なキャンペーンの始まりであり(?)都市や大都市、恐らくは国全体の変革のスタートを意味するものだ捉えている」
教授はこの様に、このような見解を示している。
その一方で多くの専門家たちは、ロシアにおいてようやく今、汚職との闘いが始まったと見るのは正しくないとし、以前からすでにそうした政策が取られて来た、例えば今年4月にメドヴェージェフ大統領は、2年間を期限とした汚職との闘いに関する国家プラン、および汚職に対抗する国家戦略に署名している、そう指摘している。
では新しいモスクワ市長は、一体どういった人物がなるのだろうか。
欧州会議のエキスパート(???)は、次のように答えている。
「連邦当局はモスクワ市長に誰かを任命する前に、その人物がモスクワの公共サービスの諸問題に付いてよく把握してるのか、よく理解しているのか、そして彼はモスクワの交通システム、金融財政システムなどを管理出来るのかどうかを、そうした実務的な能力を先ず考えなければならない」
多くの専門家達は今回のモスクワ市長の更迭は、大変な重要な一歩であったと評価し、汚職との闘いは今後、最高レベルで行われ、こうした活動は途切れることなく続けられていくだろうとの期待感を表している。
※(???)は聴き取れず
※(?)は混信で聴き取れず
10月3日放送 ロシアの声・週刊ラジオ展望