いま、何をしたらよいのだろうか、それは全く不明だ。エコノミストの一部は、2009年の金融危機は投機と貧富の格差に根ざす自由主義的モデルの不安定さとを露呈したのであり、これを拒絶することが必要である、と捉えている。
しかし、他方、社会経済政策の充実した欧州の一部諸国でも、深刻な問題が発生している。もっともスウェーデンや、フィンランドのような国々の社会モデルが魅力を失ったわけではない。
例えば現在、公平と正義を求める気風が流れる韓国では、北欧流の社会経済モデルを導入しようとしている。ただし、その公平と正義を購うための高い税金を、スウェーデンで行われているようには、韓国市民は支払うことが出来ない、という点に問題がある。
同様の状況、すなわち末期的な状況は日本でも見られる。日本国民は税率の引き上げを望んではいない。一方富裕層が拡大することも望んではいない。日本国民は55年体制の遺産を守り、かつ停滞を克服することを望んでいる。
しかし、それは無理な話だ。何らかの具体的な決心を得るために、ラディカルな意識改革が行われねばならない。明治維新にも比すべき大規模な改新が、だ。明治維新当時、伝統と慣習を守るか、国家の主権を護持するかという選択が焦眉の要となって、大胆な決断が行われた。
現在、状況は当時に劣らずドラマチックだ。国家主権喪失の危機とまでは言われないが、日本は既に、世界第2の経済大国たる地位を中国に明け渡してしまっている。
そして今、アジアおよび世界の中でどのような役割を果たしていくかという問題が、いよいよ鋭く日本に突きつけられている。そこには二つの道があるだろう。
第1の道はアジアの隣国たちとの統合を進めていくというものだ。すなわち、中国および韓国との自由貿易圏の創設だ。
この3ヶ国は伝統的に強い共同体意識を共有しているほか、経済における高い相互依存関係でも結ばれている。しかしこの計画は、東京と北京、また東京とソウルとの間の領土紛争の先鋭化によって空転をしている。
第2の道はアメリカの主導する、環太平洋パートナーシップ協定・TPPプロジェクトに参加することだ。
これに参加した場合、日本経済は資本主義の庇護者をもって、自認する大国・アメリカの定めたルールによってプレイすることになる。その場合は、日本経済が相当な急角度で、自由主義的傾向を進めていくことになるだろう。
ところでTPPプロジェクトは、反中国という方向性を明瞭に持っている。TPPへの参加は、日本と中国また韓国の、一大経済共栄圏創設の可能性の埋葬を意味する。
1月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
しかし、他方、社会経済政策の充実した欧州の一部諸国でも、深刻な問題が発生している。もっともスウェーデンや、フィンランドのような国々の社会モデルが魅力を失ったわけではない。
例えば現在、公平と正義を求める気風が流れる韓国では、北欧流の社会経済モデルを導入しようとしている。ただし、その公平と正義を購うための高い税金を、スウェーデンで行われているようには、韓国市民は支払うことが出来ない、という点に問題がある。
同様の状況、すなわち末期的な状況は日本でも見られる。日本国民は税率の引き上げを望んではいない。一方富裕層が拡大することも望んではいない。日本国民は55年体制の遺産を守り、かつ停滞を克服することを望んでいる。
しかし、それは無理な話だ。何らかの具体的な決心を得るために、ラディカルな意識改革が行われねばならない。明治維新にも比すべき大規模な改新が、だ。明治維新当時、伝統と慣習を守るか、国家の主権を護持するかという選択が焦眉の要となって、大胆な決断が行われた。
現在、状況は当時に劣らずドラマチックだ。国家主権喪失の危機とまでは言われないが、日本は既に、世界第2の経済大国たる地位を中国に明け渡してしまっている。
そして今、アジアおよび世界の中でどのような役割を果たしていくかという問題が、いよいよ鋭く日本に突きつけられている。そこには二つの道があるだろう。
明治維新 1858-1881 (講談社現代新書) | |
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第1の道はアジアの隣国たちとの統合を進めていくというものだ。すなわち、中国および韓国との自由貿易圏の創設だ。
この3ヶ国は伝統的に強い共同体意識を共有しているほか、経済における高い相互依存関係でも結ばれている。しかしこの計画は、東京と北京、また東京とソウルとの間の領土紛争の先鋭化によって空転をしている。
第2の道はアメリカの主導する、環太平洋パートナーシップ協定・TPPプロジェクトに参加することだ。
これに参加した場合、日本経済は資本主義の庇護者をもって、自認する大国・アメリカの定めたルールによってプレイすることになる。その場合は、日本経済が相当な急角度で、自由主義的傾向を進めていくことになるだろう。
ところでTPPプロジェクトは、反中国という方向性を明瞭に持っている。TPPへの参加は、日本と中国また韓国の、一大経済共栄圏創設の可能性の埋葬を意味する。
1月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル