リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

コンビニで血まみれ

2011-02-24 07:25:03 | オヤジの日記
公共料金を払い忘れたので、深夜あわてて自転車でコンビニに走った。

レジで支払っているとき、不思議な気配を感じて入り口の方を見ると、20歳前後の若者が入ってきた。

顔が赤い。
赤いと言っても、酔っ払っているわけではない。
鼻から血を流しているのである。

彼が、私の後ろを通り過ぎようとしたとき、右耳の後ろからも血が出ているのが見えた。
それも、けっこう大量に。

それを見て、「血が出てるよ」と私は言った。

男は、「知ってる」と答えて、鼻を押さえた。
表情は、目に何か異常な力が入っているような不気味なものだった。

そして、男が言う。
「痛くねえから、大丈夫だよ」

しかし、鼻と耳の後ろから流れ続けている。

レジの男と顔を見合わせた。

コンビニのマニュアルでは、こんなとき、どうしろと書いてあるのだろうか。
「警察に連絡」とでも書いてあるのか。

しかし、レジの男は立ち尽くすだけで、何の行動も取ろうとしなかった。

血だらけの若い男は、目を血走らせて、コンビニ内をうろついている。
ただ、「痛い」とか、騒ぐことはない。
静かに歩いている。

大丈夫かい? ともう一度声をかけた。

「大丈夫だよ」と男。

大丈夫なら、いいか。

あとは、コンビニの店員に任せよう。
私が口を出すことではない。

支払いを済ませた私は、コンビニを出ようとした。

そのとき、男が「あんた」と言った。

俺のことか?
振り向くと、相変わらず血走ったアドレナリン全開の顔で、男が私を見つめていた。

心臓の鼓動が早くなったが、それを気取られないように、「なんだい?」と答えた。

「三人組だよ」と男が言う。

は?

「外人だったと思う」

ああ・・・・・。

「もし、何かあったら、俺を呼んでくれ。助けてやるから」

もし、何かあったら?
背筋に悪寒が走った。

しかし、血を流しながら、私を心配してくれる彼に、感謝だけは伝えなければならない。

わかった、ありがとう。

男は小さくうなずいて、また店内をうろつき始めた。

私は、「外人三人組」と呪文を唱えるように、早足でペダルを漕ぎ、風のように家に帰った。

外人三人組の姿は、見かけなかったと思う。


血まみれの彼は、あの後どうなっただろうか。

それが、心配だ。