昨日は、先週開催された「スペイングルメフェア」で出合った バレンシアワイン について書きましたが、昨日も 「スペインワイン&フード商談会2013」 が都内で開催されましたので、続けてスペインワインを紹介したいと思います。
2011年の“リアス・バイシャス”、2012年の“リオハ”に続き、スペイン大使館商務部が2013年のテーマとしてプロモーションを行っているワイン生産地は、 “NAVARRA”(ナバーラ)。
ここは、スペインワインに詳しくない人にとっては、どこ?と考える産地でしょうか。
まず、スペインとフランスとの国境を思い浮かべてみてください。
国境にはピレネー山脈が横たわっているのは知っていますね?
ピレネー山脈の南側の西の端っこから南に広がる地域がナバーラ です。
古代ローマ時代から大きな農園が拓かれ、ブドウ栽培、ワインづくりが行われてきた地域です。
特に、10世紀以降になると、北西部のサンチアゴ・デ・ラ・コンポステーラへの巡礼に向かう人が通り、交易が盛んになります(フランスから向かう人は必ずナバーラを通った)。また、ナバーラの地にも大きな修道院があったため、ワインづくりも発展しました。
もうひとつ重要なのが、ナバーラ王国 の存在です。3世紀にわたり、フランス人による王朝がナバーラを支配していました(1512年まで)。
最初の王となったのはシャンパーニュ伯。飲みなれたワインが飲みたい!ということから、出身地のシャンパーニュから、ブドウ、栽培および技術に携わる人々まで呼び入れます。
そのため、現在のナバーラでは、イベリア半島固有ブドウ品種が67%を占める一方で、カベルネ・ソーヴィニヨン(15%)やメルロ(14%)、シャルドネ(5%)などの欧州大陸の品種(37%)も見られます。
左)Ochoa Crianza 2008 Ochoa テンプラニーリョ100%(輸入元:ミリオン商事)
右)Deyo 2008 Castillo de Monjardin メルロ100% (輸入元:サス)
DOナバーラのブドウ栽培面積は11500haで、スペイン全体の1.2%と小さいながらも、DO内の気候や土壌条件がさまざまであるため、5つのサブゾーンに分かれています。
他の産地同様、川が重要なポイントになっており、エブロ川とその支流の3つの川(エガ、アルガ、アラゴン)の周囲にブドウ畑が広がっています。
カンタブリア海に近い北側の地域は雨量が多く、山がちですが、南下するにつれて土地が平らになり、乾いてきます(北は大西洋性気候、中央部は大陸性気候、南部は地中海性気候)。
土壌、気候が多様性に富んでいるため、ワインも多様性に富むのが特徴 です。
試飲会の前日、プレス向けのプレゼンテーションで紹介されたワインを取り上げてみます。
左)Artazuri 2012 Artazu ガルナッチャ100%
右)Piedemonte Selection 2010 Piedemonte テンプラニーリョ+メルロ+カベルネ
左はガルナッチャ100%の若々しいスタイル(輸入元:ヴィントナーズ)
右は新樽で3カ月熟成させていて、モダンな味わいでした(同:ピーロート・ジャパン)
左)Seis de Azul y Garanza 2010 Azul y Garanza メルロ90+カベルネ10
右)Altos de Inurrieta Reserva 2008 Inurrieta シラー50+グラシアーノ50
左はオーガニックの若い生産者。新樽30%で10カ月熟(同:モトックス)
右は仏アリエ産の樽で15カ月熟成したレセルバ(同:稲葉)
バラエティ豊かなナバーラの 赤ワインは 総生産量の 60%。
1980年代に大陸品種が改めて導入されたものの、その後はテンプラニーリョが拡大。
近年は、ガルナッチャが大きく注目を浴びています。
意外だったのは、実は、ナバーラでは、ロゼワインの生産が盛んなこと。
総生産量に占めるロゼの割合は、なんと 30%
白ワイン(9%)よりも格段に多いんです!
ナバーラのロゼワインは ガルナッチャ を用い、セニエ法でつくられます。
ナバーラのセニエ法は、ブドウを決して圧搾せず、低温で“かもし”(マセラシオン、果皮を果汁に浸すこと)を行い、発酵が起こらないようにしながら、フルーティなアロマと美しい色を引き出します。その後、発酵させ、フレッシュな白ワインのように仕上げます。
Senorio de Sarria Vinedo No.5 Rosato 2012 Senorio de Sarria
ガルナッチャ100%、きれいに輝く、美しい色のロゼ。口当たりがソフトで、フルーツのニュアンスたっぷり。アペリティフから前菜、魚料理まで、幅広く合わせられて使い勝手がいいのもポイント(輸入元:日西商事)
他の土地よりも雨の恵みがあり、また、エブロ川が流れるナバーラでは、緑の野菜が多く収穫できます。ナバーラが、新鮮な野菜料理を最も多く食べる地域であることも、ロゼワインが好まれる要因になっているようです。
また、現在、軽めで飲みやすいワインが人気なことも、ロゼが多い理由とか。
スペイン大使館の担当官も、「日本食にも合う し、個人的にも大好き」と言っていました。
ロゼが30%もあるなら、試飲会にもさぞかしたくさんのワインがあるでしょう、と期待をしましたが、ナバーラのロゼがなかなか見つかりません。上記のロゼ以外で見つけたのは、以前に紹介したことのあるシリーズ くらいでした。
The Tapas Wine Collection Garnacha Rosato 2012 Blackboard Wines
(輸入元:オーレジャパン)
試飲会場ではナバーラのワイン自体も少なく、せっかくフィーチャーしているのに残念…
Senorio de Sarria Vinedo Crianza 2009 Senorio de Sarria
こちらは、テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドの赤。
この2009年は、英国のSommelier Wine Awards 2013 - Goldと By The Glass awardを獲得。
ちょっと独特の風味があり、2009年なのにハツラツとした若さがあります。
輸入元希望小売価格1600円って、嬉しくないですか?(輸入元:日西商事)
DO NAVARRA 事務局長 ジョルディ・ビダル 氏
1968年マドリッド生まれ、母はフランス人。最初は料理の修行で仏ストラスブールに行くものの、後にボルドーを経てマドリッド工科大学で醸造を学び、ワインの世界へ。その後、さまざまな経歴を経て、DOナバーラ事務局長に就任(6年目)
ナバーラのワインもジョルディさんも、フランスと密接な関係があるんですね(笑)
フランスに統治されていた いにしえのナバーラ王国の歴史、多様性のある土地から生まれる多彩なワイン、ロゼワインのアイデンティティ、豊かな野菜料理、牛・羊肉料理、羊乳からつくられるチーズ(ロンカル、イディアサバル)、オリーブオイルetc...と、いっぱいの魅力が詰まったナバーラの土地にも惹かれます!
ブドウ栽培面積はスペイン全体の1.2%とわずかですが、DOナバーラの原産地としてのワインの売上は、スペイン国内のホテル&レストラン業界第3位で、国内全体でもTOP5にランクインするほどよく飲まれています。
まずは日本で探してみますが、ジョルディさんの話を聞いたら、ぜひナバーラの地に行ってグルメ三昧してみたくなりました
2011年の“リアス・バイシャス”、2012年の“リオハ”に続き、スペイン大使館商務部が2013年のテーマとしてプロモーションを行っているワイン生産地は、 “NAVARRA”(ナバーラ)。
ここは、スペインワインに詳しくない人にとっては、どこ?と考える産地でしょうか。
まず、スペインとフランスとの国境を思い浮かべてみてください。
国境にはピレネー山脈が横たわっているのは知っていますね?
ピレネー山脈の南側の西の端っこから南に広がる地域がナバーラ です。
古代ローマ時代から大きな農園が拓かれ、ブドウ栽培、ワインづくりが行われてきた地域です。
特に、10世紀以降になると、北西部のサンチアゴ・デ・ラ・コンポステーラへの巡礼に向かう人が通り、交易が盛んになります(フランスから向かう人は必ずナバーラを通った)。また、ナバーラの地にも大きな修道院があったため、ワインづくりも発展しました。
もうひとつ重要なのが、ナバーラ王国 の存在です。3世紀にわたり、フランス人による王朝がナバーラを支配していました(1512年まで)。
最初の王となったのはシャンパーニュ伯。飲みなれたワインが飲みたい!ということから、出身地のシャンパーニュから、ブドウ、栽培および技術に携わる人々まで呼び入れます。
そのため、現在のナバーラでは、イベリア半島固有ブドウ品種が67%を占める一方で、カベルネ・ソーヴィニヨン(15%)やメルロ(14%)、シャルドネ(5%)などの欧州大陸の品種(37%)も見られます。
左)Ochoa Crianza 2008 Ochoa テンプラニーリョ100%(輸入元:ミリオン商事)
右)Deyo 2008 Castillo de Monjardin メルロ100% (輸入元:サス)
DOナバーラのブドウ栽培面積は11500haで、スペイン全体の1.2%と小さいながらも、DO内の気候や土壌条件がさまざまであるため、5つのサブゾーンに分かれています。
他の産地同様、川が重要なポイントになっており、エブロ川とその支流の3つの川(エガ、アルガ、アラゴン)の周囲にブドウ畑が広がっています。
カンタブリア海に近い北側の地域は雨量が多く、山がちですが、南下するにつれて土地が平らになり、乾いてきます(北は大西洋性気候、中央部は大陸性気候、南部は地中海性気候)。
土壌、気候が多様性に富んでいるため、ワインも多様性に富むのが特徴 です。
試飲会の前日、プレス向けのプレゼンテーションで紹介されたワインを取り上げてみます。
左)Artazuri 2012 Artazu ガルナッチャ100%
右)Piedemonte Selection 2010 Piedemonte テンプラニーリョ+メルロ+カベルネ
左はガルナッチャ100%の若々しいスタイル(輸入元:ヴィントナーズ)
右は新樽で3カ月熟成させていて、モダンな味わいでした(同:ピーロート・ジャパン)
左)Seis de Azul y Garanza 2010 Azul y Garanza メルロ90+カベルネ10
右)Altos de Inurrieta Reserva 2008 Inurrieta シラー50+グラシアーノ50
左はオーガニックの若い生産者。新樽30%で10カ月熟(同:モトックス)
右は仏アリエ産の樽で15カ月熟成したレセルバ(同:稲葉)
バラエティ豊かなナバーラの 赤ワインは 総生産量の 60%。
1980年代に大陸品種が改めて導入されたものの、その後はテンプラニーリョが拡大。
近年は、ガルナッチャが大きく注目を浴びています。
意外だったのは、実は、ナバーラでは、ロゼワインの生産が盛んなこと。
総生産量に占めるロゼの割合は、なんと 30%
白ワイン(9%)よりも格段に多いんです!
ナバーラのロゼワインは ガルナッチャ を用い、セニエ法でつくられます。
ナバーラのセニエ法は、ブドウを決して圧搾せず、低温で“かもし”(マセラシオン、果皮を果汁に浸すこと)を行い、発酵が起こらないようにしながら、フルーティなアロマと美しい色を引き出します。その後、発酵させ、フレッシュな白ワインのように仕上げます。
Senorio de Sarria Vinedo No.5 Rosato 2012 Senorio de Sarria
ガルナッチャ100%、きれいに輝く、美しい色のロゼ。口当たりがソフトで、フルーツのニュアンスたっぷり。アペリティフから前菜、魚料理まで、幅広く合わせられて使い勝手がいいのもポイント(輸入元:日西商事)
他の土地よりも雨の恵みがあり、また、エブロ川が流れるナバーラでは、緑の野菜が多く収穫できます。ナバーラが、新鮮な野菜料理を最も多く食べる地域であることも、ロゼワインが好まれる要因になっているようです。
また、現在、軽めで飲みやすいワインが人気なことも、ロゼが多い理由とか。
スペイン大使館の担当官も、「日本食にも合う し、個人的にも大好き」と言っていました。
ロゼが30%もあるなら、試飲会にもさぞかしたくさんのワインがあるでしょう、と期待をしましたが、ナバーラのロゼがなかなか見つかりません。上記のロゼ以外で見つけたのは、以前に紹介したことのあるシリーズ くらいでした。
The Tapas Wine Collection Garnacha Rosato 2012 Blackboard Wines
(輸入元:オーレジャパン)
試飲会場ではナバーラのワイン自体も少なく、せっかくフィーチャーしているのに残念…
Senorio de Sarria Vinedo Crianza 2009 Senorio de Sarria
こちらは、テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドの赤。
この2009年は、英国のSommelier Wine Awards 2013 - Goldと By The Glass awardを獲得。
ちょっと独特の風味があり、2009年なのにハツラツとした若さがあります。
輸入元希望小売価格1600円って、嬉しくないですか?(輸入元:日西商事)
DO NAVARRA 事務局長 ジョルディ・ビダル 氏
1968年マドリッド生まれ、母はフランス人。最初は料理の修行で仏ストラスブールに行くものの、後にボルドーを経てマドリッド工科大学で醸造を学び、ワインの世界へ。その後、さまざまな経歴を経て、DOナバーラ事務局長に就任(6年目)
ナバーラのワインもジョルディさんも、フランスと密接な関係があるんですね(笑)
フランスに統治されていた いにしえのナバーラ王国の歴史、多様性のある土地から生まれる多彩なワイン、ロゼワインのアイデンティティ、豊かな野菜料理、牛・羊肉料理、羊乳からつくられるチーズ(ロンカル、イディアサバル)、オリーブオイルetc...と、いっぱいの魅力が詰まったナバーラの土地にも惹かれます!
ブドウ栽培面積はスペイン全体の1.2%とわずかですが、DOナバーラの原産地としてのワインの売上は、スペイン国内のホテル&レストラン業界第3位で、国内全体でもTOP5にランクインするほどよく飲まれています。
まずは日本で探してみますが、ジョルディさんの話を聞いたら、ぜひナバーラの地に行ってグルメ三昧してみたくなりました