ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

フランチャコルタの祖フランコ・ジリアーニ氏の「ベルルッキ Berlucchi」

2019-12-09 18:29:12 | ワイン&酒

今日は、イタリアのスパークリングワイン「フランチャコルタ」の生産者のひとつBERLUCCHI ベルルッキ」を紹介します。

 

 

10月末、イタリアワインの権威あるガイド誌「ガンベロロッソ」のワイン試飲会が東京で開催されました。

1988年に創刊されたガンベロロッソのワインガイド誌は、非常に信頼度が高く、このガイドで最高評価の3グラス(トレビッキエーリ)を獲得することは、イタリアワインの生産者にとって、大きな誇りです。

 

そのガンベロロッソの2019年度版「ベスト・スパークラー・オブ・ザ・イヤー」(ベストスパークリングワイン)に選ばれたのが、「ベルルッキ'61 ナチュール」です。

 

 

それを記念し、ガンベロロッソ編集長マルコ・サベリコ氏と、ベルルッキ副社長パオロ・ジリアーニ氏を迎えた特別ディナーが、東京・南青山の「エトゥルスキ」で開催されました。

 

左)マルコ・サベリコ氏  右)パオロ・ジリアーニ氏

 

フランチャコルタはロンバルディア州のワイン産地で、ミラノの東にあるイゼオ湖畔の南側に総面積約200haに広がっています。

 

この地でのブドウ栽培の歴史は古いですが、瓶内二次発酵で造る「フランチャコルタ」の歴史は若く、その誕生は1961です。

この年、フランコ・ジリアーニ氏が瓶内二次発酵で3000本のスパークリングワインを造ることに成功し、「Pinot di Franciacorta ピノ・ディ・フランチャコルタ」という名を付けました。

このフランコ・ジリアーニ氏が、パオロ・ジリアーニ氏の父です。

 

フランコ氏には3人の子供がいて、パオロ氏は次男で末っ子。

長男のアルトゥーロ氏がCEOで、醸造、生産の責任者を務め、長女のクリスティーナ氏がコミュニケーション部門を、パオロ氏は営業部門の責任者を務めています。

 

パオロ氏に父フランコ氏のことを尋ねると、88歳になり、現在は会長を務めているとのことでした。

 

ベルルッキには、フランチャコルタ誕生の年を名前に付けたキュヴェがあり、スタンダードなのが、「Berlucchi '61 Franciacorta Brut NV」です。

 

 

右)Berlucchi '61 Franciacorta Brut NV

 

シャルドネ90%とピノ・ネロ10%、瓶内二次熟成24カ月。

デリケートなタッチで、しっとりしなやかなスタイルなので、アペリティフにもいいですし、フードとの相性の汎用範囲が広いと思いました。

 

ホタテ貝のインサラータ カブと柚子風味 カブのブレア添え

 

タラと白子のムニエル マントヴァ風

 

和栗のリゾット トリュフ添え

 

 

  

水色のラベルは、Berlucchi '61 Franciacorta Brut SATEN

シャルドネ100%、瓶内二次熟成24カ月。

キメ細かく、繊細で、クリーミー。するする飲めますので、アペリティフにピッタリ。

 

ガンベロロッソ2019年度版の「ベスト・スパークラー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した「ベルルッキ'61 ナチュール」は、3つのヴィンテージ(2012/2011/2009で登場しました。

2019年度版のベストに輝いたのは2011年ヴィンテージです。

 

Berlucchi '61 Franciacorta Brut Nature 2012/2011/2009

 シャルドネ80%、ピノ・ネロ20%。自社畑の最高のブドウを使い、瓶内二次発酵5年以上。仕上げのリキュールを添加しないノンドサージュの辛口です。

 

2012はまだ市場にリリースされていません。

若い柑橘の香りがあり、飲んでみると、味わいもまだまだ若い状態で、エレガント。酸がフレッシュで厚みがあるので、将来に期待大です。

 

2011は、白い花、スイーツ、ミントなどの香りが豊かで、素晴らしいブーケです。

口に含むと、泡立ちが非常に繊細で、クリーミーです。味わいの要素のバランスがよく、フィネスを感じられました。

 

2009は、シャルドネ70%、ピノ・ネロ30%。暑かった年でした。

スイーツ、熟したフルーツの香りがあり、熟成感があります。しっとりとしたニュアンスがあり、酸もしっかりあり、ワインとして楽しめるスタイルになっていると思います。

 

京都七谷鴨の炭火焼き ハーブの香りで

 

Berlucchi Palazzo Lana Franciacorta Riserva Extreme 2008

 

パラッツォ・ラーナは、醸造所に隣接する古い館の名前から。

ボルゴナートの2つの自社畑(ひとつはワイナリーの前にある塀に囲まれた歴史ある畑、もうひとつは離れた丘陵地の畑)のピノ・ネロ100%で造られ、瓶内二次熟成は7年以上。

ベルルッキ最高のキュヴェで、年間生産量は8000本。

 

今回の中でもっとも古い2008年ですが、香りがフレッシュで、柑橘やミネラルの風味がエレガント。広がりががあって力強く、まだまだ熟成しそうです。泡はもちろんクリーミー。

このキュヴェも、ワインとして料理に合わせて楽しみたいタイプですね。

 

 

Berlucchi Cuvee Imperiale Franciacorta Max Rose

 1961年に誕生した「ピノ・ディ・フランチャコルタ」の翌年1962年に生まれたのが、イタリア初の瓶内二次発酵方式のロゼワイン「マックス・ロゼ Max Roseです。

現在は、「キュヴェ・インペリアーレ マックス・ロゼ」という名前になっています。

シャルドネ90%、ピノ・ネロ10%、瓶内二次熟成24カ月。

ピノ・ネロを数時間スキンコンタクトしてロゼの色を出しています。

ドサージュはブリュットよりやや甘めのExtra Dry

 

キイチゴのティラミスと

 

ロゼの色が濃く、美しい!

赤いベリー系の風味がチャーミングで、熟したニュアンスもあり、クリーミーでまろやかな泡もあって、心地よくスルスル飲めてしまいます。

フルーツタルト系スイーツとの相性がよいようで、今回のキイチゴのティラミスとは最高のマッチングでした。

 

 

パオロさんの父フランコさんが初めてフランチャコルタを造ったのは1961年ですが、その後、1967年に原産地呼称DOCフランチャコルタとなり、1995年にDOCGフランチャコルタに昇格しました。

フランチャコルタの歴史は、意外と若かったんですね。

 にもかかわらず、イタリアの瓶内二次発酵スパークリングワインの最高峰と言われているのは、大都市ミラノに近いため、都市に住む舌の肥えた消費者の胃袋を掴んだからでしょうか。

また、フランチャコルタの畑の62%がサステーナブルであり、さらに広げようとしている、ということも、現代の消費者の志向に合っているのかもしれません。

 

 

現在、116のワイナリーがフランチャコルタ協会の協会員です。

数多くの生産者がいて、それぞれが個性あるフランチャコルタを造っていますが、ワイン選びに悩んだ時には、フランチャコルタの功績者フランコ・ジリアーニさんを思い出すのも一案です。

 

 

※ベルルッキ輸入元:伊藤忠商事

 


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