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菅改造内閣を、“鈴が森”国会が待つ 

2011-01-18 22:51:30 | 編集手帳
  1月15日 読売新聞編集手帳

  
  女の尻を追いかけ回す男を、
  「頑張れ、頑張れ」と仲間が囃(はや)す。
  落語『三軒長屋』である。
  その描写に「鈴ヶ森のような騒ぎで…」とある。

  「鈴ヶ森」は東京の地名、江戸時代に刑場があったことで知られる。
  『古典落語 小さん集』(ちくま文庫)の解説によれば、
  「鈴ヶ森のよう」とは大声で声援することの形容という。
  罪人が槍で突かれるとき、
  街道を通る連中が「頑張れ」と声を掛けたことに由来するのだとか。

  前門の野党のみならず、
  後門の党内不満組からも槍で突かれそうな不安を抱えて、
  菅再改造内閣が発足した。

  「消費税」など政権の最重要課題を明確にしたのはいいとしても、
  いかんせん、人材払底の感は否めない。
  野党からの目玉閣僚の一本釣り、
  先の参院選大敗で責めを負った人の官房長官起用、
  参院議長経験者の入閣、
  78歳と高齢の官房副長官――
  ーという異例ずくめの布陣は窮余の一策ならぬ、四策、五策と映る。

  とは申せ、外交・安全保障といい、財政再建といい、
  一国の浮沈を分ける内閣には違いない。
  槍ぶすまの待つ“鈴ヶ森”国会を前に、
  ここはやはり「頑張れ」と声を掛けておく。
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